グローバルでもっとも売れているボルボはXC60だが、その中でもスポーティな方向に仕上げられているデザインは魅力に溢れるクルマだった。(Motor Magazine 2019年2月号より)
不満だと感じる所がまったく見つからない
運転席に座った瞬間、「コレコレ、このシートがRデザインだよなぁ」と思いつつ、いつものようにスタートスイッチを右に捻りエンジンを始動させる。ここまでは“普通のXC60”と同様だ。しかし、ここから特別になる。
運転免許証の番号、12桁の意味。最後のひと桁でアレがわかっちゃう!【くるま問答】
Rデザインモデル特有のオープニング画面の演出がメーターパネルに表示されるのだ。それを確認してから、セレクターをドライブに入れて走り始めた。するとすぐに「このクルマはXC60の中で一番いいかもしれない」と感じた。ハンドルを数度回し、アクセルペダルを少しだけ踏み込んだだけなのにそう感じてしまった。
ほんの数百mしか走っていなかったので、それはまだ半信半疑だったのだが、設定された試乗コースのワインディングロードを往復した時点で、それは確信に変わっていた。「T6 AWD RデザインがベストXC60だ」と。これはグローバルでも日本でも売れるのは当然だろう。
いつも試乗するときは、ついついアラ探しをしてしまう。悪いクセだ。そして今回も同じように運転しながらいろいろとチェックしていたのだが不満だと感じる所がまったく見つからない。
XC60のデザインは文句なくSUVの中では秀逸だ。サイズも大きすぎるわけでもなく小さすぎるわけでもない。インテリセーフという名前でパッケージされている先進安全運転支援システムやそのほかの機能、装備も十分以上に装着されている。オプションで選ぶ装備もほとんどない。さらにインスクリプションやモメンタムには付いていないパドルシフトもこのRデザインにはある。細部までチェックしたがやはり“アラ”を見つけることができなかった。
高回転まで一気に吹け上がるT6は本当に気持ちがいい
XC60のランナップの中で今回試乗したRデザインには、エクステリアにも特別な演出がある。その中でも専用のマットシルバーカラーのドアミラーカバーは、好きなアイテムのひとつである。ほかにもシルクメタルフレームにクロスブラックのハニカムグリルは、ひと目でこのクルマがRデザインであることを主張している。
T6 AWD Rデザインのアルミホイールは8.5J×21インチの5トリプルスポークのダイヤモンドカット。カラーはマットブラックだ。
当然、インテリアにも特別な演出がなされている。シート素材、スポーツシート、ステアリングホイール、スカッフプレート、シフトノブなど多くのRデザイン専用アイテムが装備されているのだ。
さて、試乗に戻ろう。レッドゾーンまで一気に吹け上がるT6エンジンの気持よさは格別だ。適度に締め上げられしなやかな足を実現する専用のスポーツサスペンションも、Rデザインの好印象にひと役買っている。路面の凸凹が大きい所を通っても乗員に嫌な乗り心地を伝えてこない。
そして今回は、もう1台のD4 AWD Rデザインにも試乗した。2L直4ディーゼルターボエンジンの搭載で、エクステリアやインテリアの専用装備品はほぼT6と変わらない。そしてディーゼルエンジンだけあって 全域でトルクフルで扱いやすい。長距離を走る人にはこちらがオススメだ。
XC60を選ぶ多くの人がD4を選ぶのも当然なのだが、こうしたSUVにも走る気持よさがあり、そんなパフォーマンス重視派ならば、このT6 AWD Rデザインはターゲットの1台としてリストアップするのがいいと思う。(文:千葉知充)
ボルボ XC60 T6 AWD Rデザイン 主要諸元
●全長×全幅×全高=4690×1915×1660mm
●ホイールベース=2865mm
●車両重量=1890kg
●エンジン=直4DOHCターボ
●排気量=1968cc
●最高出力=320ps/5700rpm
●最大トルク=400Nm/2200-5400rpm
●トランスミッション=8速AT
●駆動方式=4WD
●車両価格=724万円
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