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日産オーラにはなぜ「ノート」の冠が? ”分離”まで視野に入れた思い入れたっぷりの車名

掲載 更新 3
日産オーラにはなぜ「ノート」の冠が? ”分離”まで視野に入れた思い入れたっぷりの車名

クルマにおいてもっとも大切なのは、そのものの善し悪し。だが、販売するうえでそれ以上に大切といえるのが車名である。車名はユーザーとクルマを結びつける最初の接点であり、まず車名を覚えてもらわないことには販売にもつながらない。だから、特に新しい車名の場合、認知度を上げるために自動車メーカーは億単位のお金をかけて、CMなどの宣伝・広告を行っているという。

今回の新型車「ノート オーラ」も「オーラ(AURA)」という新たな車名(サブネーム)を導入。この車名には、じつはハンパではないほど力が入っている。

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ノートオーラは、コンパクトカーの「ノート」に対して、内外装や装備内容、さらにエンジンで発電してモーターにより駆動する「e-POWER」のモーターの出力を向上させるなど、上級に仕立てたモデルである。ノートは2020年11月24日に発表(発売は12月23日)、ノートオーラは約半年遅れの2021年6月15日に発表(発売は21年秋)となったが、両車は同時に企画し、並行開発を行っている。

ノートはコンパクトカーを望む層に最適なクルマとして開発。一方でノートオーラは、今までにないプレミアムなコンパクト車として、これまでの上級車ユーザーにも満足してもらえるようなクルマを目指した。日産いわく、まったく別のクルマとして、モノづくりにチャレンジしてきたという。「ノートとノートオーラはまったく別のコンセプトなので、マーケティング戦略としても別名の新ブランド(=オーラ)でコミュニケーションを図るということを念頭に置いて企画・開発を進めてきました」(日産自動車 日本マーケティング本部 チーフマーケティングマネージャー 丸地隆史氏)。

ノートオーラは、ダウンサイザー層に訴求するクルマとして開発したが、従来のティーダやノートメダリストのユーザーも吸引する役割を果たしている。過去に使用した車名を再登板させる手法も業界では度々見かけるが、その点に関しては「前述のとおり、まったく別のクルマとして新しいプレミアムコンパクトという提案をしたかったこともあり、過去に使用した名称は検討しなかった(丸地氏)」とのことである。


オーラの車名の由来

オーラ(AURA)は、英語で「気品」、「独特の雰囲気」という意味。気品があり、存在感を放つプレミアムなクルマに、との思いを込めて命名。また、ドイツ語の“AURA(アウラ)”には「複製されたものにない、オリジナルだけが持つ輝き」という意味もある。このクルマが、見る人を惹きつける唯一無二の輝きを放つ……そんな存在になるようにという思いも込められている。風格があって独創的、といった意味を連想させる言葉である。

先行して発表したクロスオーバーEV(電気自動車)の「ARIYA(アリア)」と綴りがよく似ているが、電動車両どうしであえて歩調を合わせたのかという点に関しては、「特に意識して似せたということはありません(丸地氏)」とのことだ。

車名の検討段階では、数十にもおよぶ案が出たが、そのなかでひときわ存在感を示していたのが「オーラ」だったという。「たくさんある案のなかから、みんなで『これだ!』という感じで、断トツ、満場一致ぐらいで決まりました。雰囲気とか気品とか、意味合いともマッチしていて、まさにオーラを発散している。新ブランドなので、まずは覚えていただくのが大切ですが、そのとき音の響きが非常に大事だと思います。オーラは誰もが知っている言葉なので覚えやすく、オーラを出すというイメージも頭にスッと入ってきます」(丸地氏)。その名前のとおり、最初の案の段階から、まさに“オーラを放っていた”車名だったのである。

こうして今から2年ほど前に車名が決定。誰もが知っている言葉だけに、他社がすでに登録済みかと思われたが、商標の自動車の分野(第12類)では奇跡的に未登録の名前だった。ただし、商標を出願したところ、他の先願商標との類似が指摘された。商標を使用する分野が被っていたためで、指定商品を見直すことで1年ほど前に無事、「AURA」の商標登録が行われた。まさにこのクルマのために、最良の名前が残っていたのだった。


なぜノートの冠を付けたのか?

車名に関してさらに論議を繰り返したのは、むしろ「ノート」の冠を付けるかどうかだったという。「単独ブランドで“オーラ”といったほうがいいというお客様もいらっしゃいますし、ノートを見られているお客様からするとノートの最上級に見えたほうがいいという声もありました。このクルマはもともとノートが発祥で、プラットフォーム、e-POWERを含めてベースはノート。まずはベースとなるノートを打ち出しながら、理解をしていただければと思います。そのうえで、今後ブランドの面で、ティーダラティオが“ラティオ”に、デイズルークスが“ルークス”に発展していったように、最初はサブネームから入ってその後に分割して単体のブランドとして切り離すことも考えられます。また、販売台数面ではノートの冠を付けることによって、ノートシリーズでのカウントになります。今、“電動車ナンバー1”の台数を目指していますので、そういった点でも、きちんと“ブランドを作る”という意味でも、ノートシリーズとして販売することにしました」(丸地氏)。車両開発主管の渡邊明規雄氏も「オーラを別ブランドにしたいという意図と、ノートのブランド力や知名度を活用したいという意図の“せめぎ合い”があった」と語っている。

カタログの表紙や中面でも「AURA/オーラ」を全面に打ち出し、「NOTE」の文字は車両に装着される撮影用のナンバープレートの一部や、表紙右下に小さく記されるのみ。これに関して、「新ブランドということもあるので、ネーミングの浸透を図るために“オーラ”を打ち出しています。表紙右下には正式名称がノートオーラなので、“ノート”を入れています。お客様にこのクルマ=オーラという名前を覚えていただきたいので、コミュニケーション戦略としてこのようにしています。CMでも“AURA e-POWER”という形で訴求していきます」(丸地氏)と説明している。


なぜ宣伝用の車両が「赤」なのか?

CMやカタログに使われている車両のボディカラーは赤(ガーネットレッド&スーパーブラック 2トーン)である。この色を選んだのにも理由があった。「オーラとか、エレガントさ、上品さ、品質のよさ……そういったところをアピールするには、最初から宣伝メインカラーはやっぱり赤だよねと。早い段階に一発で決まりました。“オーラ”の雰囲気もイメージとしてはこういう赤い雰囲気があるじゃないですか。それともマッチしています」(丸地氏)。

CMキャラクターが中谷美紀氏に決まった理由
クルマの認知にはCMのイメージキャラクターの存在も欠かせない。今回、ノートオーラには俳優の中谷美紀氏を起用している。「オーラを放っている方ということで、かなり最初の段階から中谷さんに決まりました。社内には熱烈なファンもおりまして、絶対中谷さんだろうと(笑)。今回はウェブサイトにメッセージを掲載していますが、クルマに乗っていただいたときの感想を、そのままご自分の言葉でストレートに話されています。『私はものを感じたまま話しますので、いいものではないとそういうふうに話せません。こんなにいいクルマで本当に有り難うございます』というお言葉をいただきました。すごくうれしかったですね。本当にポイントを捉えていらっしゃるので、センスがおありですよね」(丸地氏)。

クルマはもとより、車名やCMでも存在感をアピールしているノートオーラ。そこに込めた日産の並々ならぬ思いを感じた。

〈文=ドライバーWeb編集部〉

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みんなのコメント

3件
  • この際、ノートクロス、ノートワゴン作って

    ヤリスとフリードに対抗しろ日産
  • 「クルマにおいてもっとも大切なのは、そのものの善し悪し。だが、販売するうえでそれ以上に大切といえるのが車名である。」

    なんなんだこの断定は?
    なんかコワイわ、オタクっぽくって。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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