■「カローラ」よりも売れていた「クラウン」
近年、日本市場ではセダン人気が低迷し、ラインナップの数も減少傾向もあります。
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しかし、かつてはセダンがファミリーカーやパーソナルカーでもあり、いまと比べものにならないほどの販売台数を誇っていたころがありました。
そこで、人気や話題性で一世を風靡したセダンを5車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「クラウン」
1955年の初代発売から、トヨタ「クラウン」はオーナードライバー向けの高級セダンとして代を重ねてきました。
かつて、主力グレードは2リッターエンジン搭載車だったため、ボディは5ナンバーサイズに収められ、3ナンバーのグレードは前後のバンパーを大きくすることで差別化を図っていました。
そして、1987年に登場した8代目クラウンでは、4ドアハードトップモデルにドアやフェンダーまで専用部品となった3ナンバー専用のワイドボディをラインナップします。
1989年のマイナーチェンジでは、4リッターV型8気筒エンジンを搭載した「4000ロイヤルサルーンG」が追加され、後の「セルシオ」や9代目クラウンの「マジェスタ」に至る、トヨタの大排気量高級車路線を切り開きます。
1989年といえば日産「シーマ」が売れていたので、バブルを象徴するように報じられていますが、実際にはクラウンの販売台数が突出していました。
1990年には歴代最高となる23万9858台を販売するなど、一時期は「カローラ」を上まわるほどの販売台数を誇るほどの人気ぶりでした。
●日産「セフィーロ」
初代日産「セフィーロ」は、糸井重里氏による「くうねるあそぶ」の個性的なキャッチコピーとともに、プロジェクターヘッドライトを持つ特徴的なフロントマスクで、1988年に登場しました。
また、歌手の井上陽水氏を起用した「みなさんお元気ですか」のTVCMも、大いに話題となります。
セフィーロの販売には新たな試みが導入されていて、「セフィーロコーディネーション」と呼ばれるセミオーダーが可能でした。エンジン3種類と、サスペンション3種類による9種類の組み合わせから選択でき、車体色と室内色の組み合わせも高い自由度がありました。
1990年8月にはマイナーチェンジで角形ランプのモデルや4WD仕様や5速ATなどが追加され、1992年には、2.5リッターエンジンが追加されます。
さらに、1990年に追加された「オーテックバージョン」は、225馬力を誇る2リッター直列6気筒ターボエンジン、足まわりではHICAS-IIとビスカスLSD、内装ではイタルボランテ製の革巻きハンドル、コノリーレザーの本革シートなどが採用され、大人の高級スポーツセダンのイメージで販売されました。
●三菱「ディアマンテ」
日本が好景気に湧いていた1990年に、三菱は「ギャラン」の上級セダンとして同社初の3ナンバー専用ボディを採用した「ディアマンテ」を発売します。
外観のデザインはシックで落ち着いた王道のセダンで、ギャランのスポーティさとは対極の位置にありましたが、ユーザーには好印象で受け入れられ大ヒットを記録します。
エンジンは全グレードともV型6気筒を採用し、排気量は2リッター、2.5リッター、3リッターの3タイプで展開。駆動方式はFFと4WDがあり、トランスミッションは5速MTと4速ATとなっていました。
ディアマンテがヒットに至った背景としては、3ナンバー車の自動車税が軽減されたことや、比較的安価なグレードがあったことが挙げられます。
そして、1990年-1991年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得するなど、名実ともに優れたセダンと評価されました。
■バブルが後押しした大ヒットセダンとは
●スバル「レガシィ」
4WDを悪路の走行ではなく、乗用車に搭載して舗装路でも安定して走行できるという使い方を確立したのは、国産メーカーではスバルと、海外メーカーではアウディです。
そのスバルも元々は雪道や砂利道などの、悪路走破性を高める目的で開発されていましたが、1989年に初代「レガシィ」が登場し、新時代の4WD車としてヒットを記録します。
トップグレードでは200馬力を発揮するパワフルな2リッター水平対向4気筒ターボエンジンを搭載。速さと走行安定性が際立つセダン/ワゴンの代名詞となりました。
初代のボディは5ナンバーサイズに収まり、日本での使い勝手が良好で、スキーブームだったことから高速道路から雪道までこなすオールラウンダーとして人気に拍車をかけました。
現在のスバルは水平対向エンジンの4WD車を「シンメトリカルAWD」として、自社のブランド戦略の主力としていますが、初代レガシィ成功なくしてはあり得なかったことでしょう。
●BMW「3シリーズ」
1982年に欧州で発売された2代目「3シリーズ」は、バブル期に日本で大ヒットし、有名な「六本木のカローラ」という言葉を残しました。
3シリーズは1983年から日本に正規輸入され、スペックは同クラスの国産車と大きな差はありませんでしたが、ステータスシンボルとしてBMWのクルマは国産車よりもはるかに価値が高く、若年層を中心に人気を博します。
ボディサイズは全長4325mm×全幅1645mm×全高1380mm(4ドアセダン)と、いまの3シリーズと比べるとかなりコンパクトで、2リッター未満のエンジンならば5ナンバー登録だったということもあり、それも人気を獲得した理由のひとつでした。
当時、3シリーズはBMWのエントリーモデルだったとはいえ、2リッターの国産セダンよりも100万円以上も高価だったということもあり、円高という背景から大量の並行輸入車が販売されていました。
ブームは一過性のものでしたが、BMWをはじめドイツ車のブランドイメージを高めたという功績は、この3シリーズだったのではないでしょうか。
※ ※ ※
ミニバンやSUVが売れている昨今、セダンの復権はそう簡単ではないでしょう。一方で、トヨタ「カローラ」が刷新されるなど、いまでもニーズがあるのは確かです。
走る楽しさはミニバンやSUVよりもセダンが勝っていますので、カローラのようなアプローチでユーザーの若返りを図るのもアリかもしれません。
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