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ポルシェ ライプツィヒセンター開設20周年「生産から試乗までの理想を実現」

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ポルシェ ライプツィヒセンター開設20周年「生産から試乗までの理想を実現」

ポルシェ第三の新型モデルとして登場したSUVのカイエン。まずはその生産を担当するために新設されたのがライプツィヒ工場である。広大な敷地が確保され、壮大なプロジェクトの第一歩としてそのスタートが切られた。そして20周年を迎えたいま、ここは生産工場だけではないポルシェの一大エクスペリエンスセンターへと成長した。(Motor Magazine 2022年8月号より)

カイエンの生産でポルシェ躍進のシンボルとなったライプツィヒ工場
1990年の初め頃から、同社の歴史始まって以来の経営難に陥っていたポルシェ社はボクスターによって業績を回復。その後、98年に公表された3番目のモデルライン「カイエン」によって、さらなる躍進の時を迎えようとしていた。そのシンボルとなったのが、旧東ドイツ領ザクセン州に新設されたライプツィヒ工場であった。

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フォルクスワーゲン/アウディと共通のプラットフォームを持つカイエンは当初、スロバキアにあるブラティスラヴァ工場で生産される計画だったが、ドイツ国内の自動車産業の空洞化を防ぐと同時に、ポルシェが「メイドインジャーマニー」にこだわった結果、塗装済み状態のボディがブラティスラヴァ工場からライプツィヒ工場に送られて、そこでパワートレーンなどが組み込まれて完成される、という工程が選択された。

そして2002年8月から初代カイエンの生産が始まったのだが同モデルは予想どおりの大ヒット車となった。「予想どおり」と書いたが、カイエンの誕生にはひとつの伏線と慎重な計画があった。

それはまず偶然にも、1989年、フェリー・ポルシェ氏が「ポルシェの性能と品質を持ったオフロードカーを作ったら、きっと売れるに違いない」と語っていたこと。続いて、ボクスターによる業績回復だけでは不十分で第三のポルシェモデルの開発が決定し、それにはアメリカ市場で売れるのが何より重要な要素であったことだ。

候補に挙げられたのは、ミニバンあるいはSUVであったが、SUVオーナーの方が所得が高いという理由でSUVに決定した。そこで開発コードは「コロラド」に決定、グランドチェロキーなどのSUV比較車が用意された。

SUV共同開発の背景とプロジェクトの大いなる成功
しかし当時の財政事情では、ポルシェ社自身でまったく新しいプラットフォームを開発するなどという巨額の投資を行うことは難しかった。そこで1996年に、メルセデス・ベンツが翌年の発売を待っていたMクラス(現在ではGL)のハイパフォーマンスバージョンとする案が浮かび上がり、話が進み始めた。

メルセデス・ベンツとは1991年に500Eで共同開発を行った経験はあったのだが、残念ながらこの計画はキャンセルされてしまった。

そこでポルシェはこのプロジェクトをフォルクスワーゲンに提案した。当時はまだ深い関係ではなかったが、当時のフォルクスワーゲン社長はフェルディナンド・ポルシェ氏の孫であるフェルディナンド・ピエヒ氏だったこともあって、共同で「コロラド」計画を進めることが決定された。その後のカイエンの躍進ぶりは目を見張るばかりで、年間予想生産台数の2万5000台を上回る、3万5000台が出荷されていった。 

その後、ライプツィヒ工場はフレキシブルな生産体制の拡充を図り、2003年にはスーパースポーツカーのカレラGT、2013年からはマカン、2017年にはパナメーラ スポーツツーリスモと、ポルシェにとって重要なモデルを輩出していった。また2013年7月には、生産50万台目のカイエンがラインオフされている。

ちなみにカイエンの生産は、すでに2017年からブラティスラヴァ工場へ移管されてメイドインジャーマニーではなくなったが、「クオリティバイジャーマニー」は保たれている、というわけだ。

開設20周年を迎えたライプツィヒ工場は、2021年時点で従業員数が4457名、8万4875台のマカンと3万3250台のパナメーラ、そして9215台のベントレー車ボディが生産されている。また2019年にはマカンエレクトリックのための拡張工事が始まり、2023年からはエンジン搭載モデルに代わるエレクトリックバージョンの「マカンe」(仮称)の出荷が始まる。

このニューマカンeについての詳細はいずれお届けするが、現行マカンよりもずっとスポーティなSUVクーペ風ボディが与えられているはずだ。このマカンeこそがライプツィヒ工場の新たな年に向かっての第一歩なのである。(文:木村好宏/写真:キムラ・オフィス)

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