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そんなに良いの!? どこが良いの!? 快進撃ボルボの真価と本音の評価

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そんなに良いの!? どこが良いの!? 快進撃ボルボの真価と本音の評価

 輸入車のボルボが2年連続で“今年の車”に!? 日本カー・オブ・ザ・イヤー(2018-19)は、ボルボ XC40が最優秀のイヤーカーに選ばれた。昨年のボルボ XC60に続いて輸入車初の2連覇となる。そもそも、輸入車のイヤーカー選出は、5年前のフォルクスワーゲン(VW) ゴルフが初。ボルボの2回を入れても、39回開催された同賞のうち僅か3回だけしかない“レアケース”だ。

 もちろん、良いクルマだからこそ、ボルボ XC40はイヤーカーに選出されたわけ……なのだが、「(価格が)相応に高いんだから良くて当たり前」、「また輸入車なの?」という穿った見方もできる。実際、ボルボ XC40の価格は389万円~で、実質的な購入価格は400万円超。高級車か? といえば微妙な線ながら、少なくとも“誰でも買える大衆車”という価格ではなかろう。

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 とすれば、気になるのは、その値段を差し引いても優れた商品といえるか。いわば「言うほど良いクルマなのか」ということ。最近のボルボってそんなに良いの? 

文:御堀直嗣(日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員)


写真:編集部

転機は2010年! 大きく変わったボルボの商品力

 輸入車の2連覇は今回のボルボが初めてのことである。実際、近年のボルボの商品性は目覚ましく向上している。“近年”とは、ボルボが中国資本傘下となった2010年以降のことである。

 その前、ボルボは1990年代の世界的な自動車業界再編の中で米国フォードの傘下となった。同じく、日本のマツダもフォード傘下となっている。これにより、ボルボもマツダも、フォードと部品の共通化がはかられ、プラットフォームやエンジン・トランスミッションなどを共通としながら、その中で独自の商品性を追求してきた。

 その後、ボルボもマツダもフォード傘下を離れて独自路線を歩むことになった。マツダのその後の活躍は、魂動デザインの独創性や、SKYACTIVエンジン、シャシー性能の向上、物づくり革新による生産性の改善は広く知られるところであり、2012年の新世代商品群第1弾であるCX-5以降、マツダ車の人気は高まり、販売台数を伸ばしてきた。

 同じように、中国資本に支えられたボルボも、2012年のV40以降、日本での人気を急速に高めている。操縦安定性においても、ポールスターと呼ばれるスポーティ仕様を中心に実力を上げ、今日では標準的な車種においても操縦安定性と乗り心地の調和のとれた、乗って、運転して快い商品力を身に着けている。

 また、排気量2.0Lの直列4気筒を超えるエンジンは作らないと割り切り、ガソリンとディーゼルの設計を共通化するとともに、過給や電動化などで上級車種への対応と環境性能の両立をはかっている。

最新のボルボは「何」がそんなに凄いのか?

 ことに、3年前にXC90から導入された新開発のプラットフォームによる商品群は、その後のV90、S90、XC60、V60などへの展開が進むに従い熟成の度合いを高めている。そしてXC40は、新プラットフォームの小型車版として初の導入であり、今後小型の車種へと展開されていく。

 また、車種の構成において、ボルボは上下の関係を否定し、40シリーズが廉価版で、90シリーズに至る上級車種になるほど高級といった従来型の価値観を覆そうとしている。

 それを靴に例え、フォーマルな装いの際に履く靴と、よそ行きな装いの時に履く靴、そしてカジュアルで遊びに出るときに履くスニーカーといったように、同じ人でもTPOで靴を履き替えるように、クルマも、その人のライフスタイルや、用途によって選び方が違っていいはずだとする。

 なおかつ、同じ車種でも、グレード分けとは上級と下級ではなく、その人の好みに応じた選択だとする。

 そのなかに、ボルボらしい造形や品質、動力性能や操縦安定性、そしてボルボならではの安全を基本的価値として保つクルマづくりを推進している。

 XC40についても、小型SUVならではの個性を発揮した外観の造形があり、それは上級車種とは違った躍動感を表している。室内も物入れなどを充実し、日々の生活や仕事の中で必要な荷物や道具を整理して収められる機能性を上級車種に比べ充実している。その配慮は、日本の軽自動車での取り組みのようでさえある。

 クルマとしての基本性能の充実と、「車格」という言葉を否定する選択の幅を持った商品体系、そして顧客の要望に応える商品性の充実により、今日のボルボは選んで損のない満足度の高い製品となっている。その意味で、2年連続のイヤーカーの称号は伊達ではない。

“最高点”を最も集めた1台はカローラだった

 一方、選考委員一人に与えられる投票数のうち最高の10点をもっとも多く得たのはトヨタ カローラスポーツだった。しかし、トヨタはクラウンも選考対象車だったため、得票が2台へ割れることになった。

 筆者も、10点はクラウンに投じた。次の6点は三菱 エクリプスクロス、4点をホンダ クラリティPHEV、そしてXC40に3点、VWポロに2点の配点だ。

 クラウンは、これまでロイヤル/アスリート/マジェスタと個性を分けた選択肢を用意してきたが、新型では改めてクラウンという価値を一つに集約してきた。そのなかに、ロイヤル/アスリート/マジェスタの特徴も集約されている。

 そして、ドイツのニュルブルクリンクで試験走行を行うなど、世界的な4ドアセダンと競合する走行性能を磨きながら、同時に、国内専用車として伝統的なクラウンらしい乗り味を残してもいるのである。

“日本に最適な国産車”の減少と満遍なく評価されたボルボの総合力

 世界の自動車市場において、日本市場の販売寄与率は下がってきており、日本の国情に最適な新車が減ってきている。

 その点では、カローラスポーツもグローバルカーとして開発されており、今後国内市場を視野に入れた4ドアセダンとステーションワゴンが追って発売される予定だが、少なくともカローラスポーツは世界を視野に作られている。

 それに対し、競合他社と遜色ない走りと、独自の乗り心地を満たしたクラウンを、日本の消費者の一人として応援したかったというのが、私の10点の理由だ。

 エクリプスクロスもクラリティPHEVも、グローバルカーではあるが、日本車として完成度の高いクルマである。その2台は、カローラスポーツやXC40、ポロと比べても遜色ない魅力あるクルマだ。

 事実、クラリティPHEVをのぞいて、それら各車はトップ5に入っている。またクラリティPHEVは、イノベーション部門の特別賞を受賞している。

 今年の日本カー・オブ・ザ・イヤーは、混戦模様であったといえる。いずれも、魅力あるクルマがそれぞれの個性を発揮していた。

 そのなかで、選考委員60名のうち59名が何らかの配点をし、全方位で商品力を磨いたXC40がイヤーカーになったといえるだろう。

>>日本カー・オブ・ザ・イヤー 2018-2019の最終結果をチェック

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