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超貴重なブガッティ「EB110SS プロトタイプ」がオークションに登場! 由緒正しい個体がたどった経歴とは?

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超貴重なブガッティ「EB110SS プロトタイプ」がオークションに登場! 由緒正しい個体がたどった経歴とは?

今後注目される1台になること間違いなし

2023年12月8日、RMサザビーズがアメリカ・ニューヨークで開催したオークションにおいてブガッティ「EB110SS プロトタイプ」が出品された。今回はいくらで落札されたのか、同車について振り返りながらお伝えしよう。

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4輪駆動システムを採用したEB110

イタリア、モデナ近郊のカンポガリアーノの地に、ブガッティが新たにブガッティ・アウトモビリ社として復活を遂げ、その記念すべき最初のモデルとして生み出したのは、EB110と呼ばれるスーパースポーツだった。

EB110という車名が物語っているとおり、ブガッティの創始者であるエットーレ・ブガッティの生誕110周年を記念して、1991年にパリで発表。多くのスーパースポーツがそうであるように、それから進化を遂げていった。

1993年にはさらに高性能なEB110SSが登場。また1994年以降では同じEB110SSでも複数のエンジンチューニングを選択することが可能になるなど、徐々にオーダーメイド的な感覚を強めていったこともこのモデルの大きな特徴だ。ここで紹介するモデルは、そのEB110SSのプロトタイプだ。

スタンダードなEB110に搭載されたエンジンは(のちにそれはEB110GTと呼ばれるようになる)、3.5LのV型12気筒で、ヘッドデザインはDOHC 5バルブ。それに各気筒で独立した12連スロットルとコイルが与えられ、極め付きにIHI製のターボが4基組み合わされていた。

トランスミッションはオーソドックスな6速MTで、最高出力の560ps、そして最大トルクの610Nmはもちろん当時としては衝撃的な数字ではあったものの、4輪駆動システムを採用したことでEB110はサーキット走行では圧倒的な速さを披露するとともに、扱いやすさを実現したモデルに仕上がった。参考までにその静的トルク配分は前後で27:73とされる。

その走りを支えたもうひとつの大きな理由は、アルミニウムハニカム材をカーボンファイバーでサンドイッチして成型した、エアロスパシアル製のカーボンモノコックで、その軽量かつ高剛性な基本構造体を持つことだろう。

サスペンションは前後ともピロボールアッパーマウントを使用したダブルウイッシュボーン。EB110では航空機産業の名門でもあったメッシュ・ブガッティ社のセミアクティブ・ダンパーも装備されていたが、こちらはよりコンペティティブな性格が強いEB110SSには装備されていない。

最高出力を611psに、そして最大トルクを650psに高めたEB110SSのプロトタイプは5台が製作。このシャシーナンバー「39006」は1993年初頭に製作され、フランスのユナイテッド・テスト・アンド・アッセンブリー・センターで、非破壊テストが行われた。そのテストのために、メカニカル・パーツのないカーボンファイバー製のタブとロールケージのみが製作されたのだ。

そして1993年6月までにシャシーは完成し、RWDシステムが装備され、燃料のホモロゲーション・テストと、アメリカで合法化されたEB110の開発を支援するため、特別に製作されたエンジン(エンジンナンバー「009」)が搭載された。ここでは燃料タンクの不備などが明らかになったという。

サロン・プロヴェで最優秀プレミア・スーパーカーのタイトルを受賞

その後「39006」はカンポガリアーノの本社工場へと戻され、4WDシステムと新しいエンジンを搭載することになる。「0026」のエンジンナンバーを持つ新たなパワーユニットは、それまでブガッティが別のプロトタイプである「GT007」に使用していたもので、「39006」はその後もさまざまなカスタマーからのクレームや質問に答えるため、このモデルを参考に適切な解決策を開発し、のちのモデルに反映させていったのだという。

1995年、ブガッティが財政難に陥った時にも、このプロトタイプは彼らのもとに残されたが、1997年12月にはオランダのカスタマーに売却されることになる。その後このカスタマーは、ドイツのダウアー・レーシングに全面的なメンテナンスを依頼。公道走行が可能なレベルにまでコンディションを回復することを約束した。

ちなみにル・マン24時間レースを制したことでも有名なドイツのダウアー・レーシングはブガッティが解散後、残された未使用部品のほとんどを買い取り、それを使用してダウアー仕様のEB110を製作したことでもよく知られている。

1995年5月、「39006」はオランダのユトレヒトに在住する2代目のオーナーに譲渡された。その後2015年までの間にイギリスで登録され、同年7月にはイタリアのカンポガリアーノでエドニス・V12の開発と生産で有名な、Bエンジニアリング社に送られ、再び本格的なレストアを受ける。2015年のサロン・プロヴェで最優秀プレミア・スーパーカーのタイトルを受賞したことなどは、このモデルの最も輝かしいヒストリーのひとつといえるだろう。

現在の走行距離はわずかに3528km。オリジナルの保証書や車両技術データシートなど、ドキュメントもすべて完備されていることを考えると、このEB110SSプロトタイプは、あらゆる意味で注目に値する1台といえるだろう。先日開催されたRMサザビーズのニューヨーク・オークションでは落札されなかったこの貴重なモデルは、現在でも同社のプライベート・セールで購入が可能である。

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みんなのコメント

4件
  • ナヲキ
    フェアレディーZのZ32に乗ってます。
    何だか、心にズキンと来たフォルムでコメントしちゃいました
  • xtr********
    カウンタックとこの車種が最強だな。
    フェラーリのV12フラッグシップリアエンジンは
    180°Vにしちゃってバランス最悪だし、
    時代を経てでたF50は内容は最高だが
    デザインは2流でグループCカーオリエンテッドにすら見えない位酷い。
    マクラーレンF1も12連スロットルで素晴らしいが、
    3列シートとかよけいなことしたし、
    以降、現代まではAMTとか、DCTで
    ヘタレやお爺さんでも運転出来るように堕落してらからね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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