現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ホンダが儲かるEVビジネスを展開!? 交換式バッテリーが実現する「電気のバケツリレー」とは

ここから本文です

ホンダが儲かるEVビジネスを展開!? 交換式バッテリーが実現する「電気のバケツリレー」とは

掲載 更新 6
ホンダが儲かるEVビジネスを展開!? 交換式バッテリーが実現する「電気のバケツリレー」とは

■使い方の幅が広がる、ホンダの脱着式バッテリーとは

 2021年3月3日から5日まで、東京ビッグサイトで開催された「第11回国際スマートグリッドEXPO」のホンダ出展ブースでは、同社の新しいプロダクトが多数展示されました。

次期型「プリウス」は超絶進化? トヨタが「全固体電池」に全集中する訳とは

 ホンダ初の量産型EV「ホンダe」や脱着バッテリー式・ハイパワーポータブル電源の「モバイルパワーポッドe」(コンセプト)、そして脱着バッテリー式家庭用蓄電池「パワーストレージe」(コンセプト)。

 さらに、市販予定のビジネス用電動三輪スクーターの「ジャイロe/ジャイロキャノピーe」(市販予定車)や、、インドで実証中の「イーオートリキシャ」という小型の電動車たちです。

 このようにズラリと並んだホンダの新しいプロダクトの実物を見ながら、「なるほど、これが『電気のバケツリレー』なのか」と実感しました。

 ホンダは2019年から、電動モビリティとエネルギーサービスをつなぐ「eMaaS(イーマース)」というコンセプトを打ち出してきました。

 筆者(桃田健史)はこれまで、ホンダの八郷隆弘社長や本田技術研究所の幹部らとeMaaSについて意見交換してきましたが、正直なところ、その実態がつかみ切れませんでした。

 もっとも気になっていたのが、マネタイズ(事業性)です。eMaaSをどうやって、ホンダにとっての儲かるビジネスにするのか、その具体的な内容が見えて来ないという印象があったのです。

 それが今回、量産を念頭に置いたさまざまなコンセプトモデルと、これらを使いホンダが世界各国でおこなっている社会実証の成果を知ることで、「なるほど、こうすればeMaaSを基本とした、儲かるEVビジネスが実現できるのかもしれない」という理解することができました。

 各種の実物について、さらにそれらの関係性について、本田技術研究所・先進パワーユニットエネルギー研究所・エグゼクティブチーフエンジニアの岩田和之氏から詳しい説明を聞きました。

 まずは、電動三輪車です。ホンダは2020年1月に、日本郵便の郵便配達向けに電動二輪車「BENLY e: (ベンリィイー)」を発売し、2020年度中に2000台程度の導入を目指してきました。

 これは、世界的なカーボンニュートラルシフトによる、ESG投資(財務状況だけではなく環境、社会性、ガバナンスを考慮した投資)を意識した企業経営のトレンドにマッチするものです。

 新規開発のジャイロe/ジャイロキャノピーeも、そうしたB2B(事業者向け事業)の観点で今後の成長が期待できるといいます。

 搭載するバッテリーは、ホンダが開発した交換式バッテリー「モバイルパワーパック」。

 今回発表したのは、重量を維持したまま電気容量をこれまでの1kWから1.3kWhとしたプロトタイプで、ジャイロeではモバイルパワーパックを2つ搭載します。

 このモバイルパワーパックを4つ搭載するのが、インドなどで普及している小型タクシーの「リキシャ」です。ちなみにリキシャは、日本の「人力車」が語源とされています。

 岩田氏は「CO2排出量軽減はもとより、リキシャのドライバーにとってガソリン代と電気代の利ザヤを稼いでもらうことも目的のひとつです」といいます。

 リキシャの稼働率を上げるため、充電時間を長く取るのではなく、ホンダ独自の交換式バッテリーステーション「モバイルパワーパック・エクスチェンジャーe」(プロトタイプ)を用意。バッテリーの内部情報はクラウドを通じてデータ解析される仕組みです。

■「電気のバケツリレー」って何?

 次に、本題である「電気のバケツリレー」についてですが、まず、ホンダeを移動できる大きなバッテリーに見立てます。

 そこからすでに量産している給電装置「パワーエクスポーター9000」を介して、電気を取り出し、モバイルパワーポッドに充電。この中には1つのモバイルパワーパックが入っており、2台並列運転できるので、電気容量は2.6kWhです。

 これを、ポータブル電源とすれば、災害時でも家庭向けに最低限度の電力を確保することができます。

 また、モバイルパワーパックを4つ備える、定置用の「パワーストレージe」があります。

 さらに、すでに発売しているハンディタイプのモバイルバッテリー「LiB-AID(リベイド)E500」を家庭やオフィスで併用することも可能です。

 このほか、トヨタと日野が共同開発した燃料電池バス「SORA」を発電所に見立てて、そこからパワーエクスポーター9000やモバイルパワーボッドeへと、まるで給水車のように電気を配ることができます。

 この考えをもとに、すでに全国各地の防災関連イベントで実演し、地方自治体や電力会社がその効果を十分に認識しているといいます。

 こうしたさまざまな手法の「電気のバケツリレー」を通じて、ホンダが現時点で描いているビジネスモデルがあり、それはフィリピンやマレーシアでの社会実証を通じて得た知見をもとに考えられています。

 具体的には、電動車向けとして搭載するバッテリーはホンダとしてユーザーに販売せず、ホンダの資産として管理することで、バッテリーの稼働率を上げ、また劣化のバラつきを抑えます。

 そして、電動車向けとして活用したバッテリーを、今後はユーザーの理解を受けたうえで、事実上の二次利用として新規パワープロダクツ用として活用するなど、長期的な視野でバッテリーをホンダが管理維持すれば、バッテリーコストを低減でき、二次利用時では十分な利益が出るはずだといいます。

 岩田氏は「各国での実証での“学び”が、四輪EVでのビジネスモデル構築のヒントになるはずです」と、EV事業化への光明を見出したと表現します。

 このところ、ボルボが2030年にEV専業メーカーになると宣言するなど、EVシフトが急激に進みそうな雰囲気になってきましたが、そうしたなかで、ホンダのeMaaSが今後どのような事業として実現するのか、大きな期待を持って見守りたいと思います。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

こ、これアウトランダーじゃね!? 決算説明から見えた[日産PHEV第1号車]は三菱からのOEMか?
こ、これアウトランダーじゃね!? 決算説明から見えた[日産PHEV第1号車]は三菱からのOEMか?
ベストカーWeb
日産「フェアレディZ」にワゴンが登場!?  実は「ステージア」ベースで「リーフ」リアゲートを移植…車検をとって公道走行可能なカスタムカーでした
日産「フェアレディZ」にワゴンが登場!? 実は「ステージア」ベースで「リーフ」リアゲートを移植…車検をとって公道走行可能なカスタムカーでした
Auto Messe Web
実はサーキットより面白い? 本気のオフロード走行のススメ SUV人気の裏にある魅力
実はサーキットより面白い? 本気のオフロード走行のススメ SUV人気の裏にある魅力
AUTOCAR JAPAN
「オートモビリア」って、なに? ミニカーや古本などがずらりと並んだ「アミューズメントゾーン」にはキャンギャルも登場して熱気に包まれてました
「オートモビリア」って、なに? ミニカーや古本などがずらりと並んだ「アミューズメントゾーン」にはキャンギャルも登場して熱気に包まれてました
Auto Messe Web
「これが売れなかったら四輪撤退…」→超ロングセラーに! 世界の「シビック」を生んだ“妙な納得感のある理論”とは
「これが売れなかったら四輪撤退…」→超ロングセラーに! 世界の「シビック」を生んだ“妙な納得感のある理論”とは
乗りものニュース
沼にハマる 『レトロモビル2025』でフランス車の魅力に迫る 高い技術力と芸術的デザインの融合
沼にハマる 『レトロモビル2025』でフランス車の魅力に迫る 高い技術力と芸術的デザインの融合
AUTOCAR JAPAN
トヨタ「86」&スバル「BRZ」用クラッチは「歯打ち音」を低減!「ヤリス」用は半クラが扱いやすい…待望のアイテムが「小倉クラッチ」からリリース!
トヨタ「86」&スバル「BRZ」用クラッチは「歯打ち音」を低減!「ヤリス」用は半クラが扱いやすい…待望のアイテムが「小倉クラッチ」からリリース!
Auto Messe Web
先端の「クマ」も再現 ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(2) 受賞多数のオープンボディ
先端の「クマ」も再現 ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(2) 受賞多数のオープンボディ
AUTOCAR JAPAN
帽子を焦がしたレーシングシャシー ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(1) バラバラからの再生
帽子を焦がしたレーシングシャシー ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(1) バラバラからの再生
AUTOCAR JAPAN
トヨタ勝田貴元、惜しくも優勝逃す2位フィニッシュ……3.8秒差で僚友エバンスに軍配|WRCラリー・スウェーデン
トヨタ勝田貴元、惜しくも優勝逃す2位フィニッシュ……3.8秒差で僚友エバンスに軍配|WRCラリー・スウェーデン
motorsport.com 日本版
スズキの超ハイルーフ「本格SUV」に期待大!「ジムニー」超える“悪路走破性”に「まるで軍用車!?」な斬新デザイン採用! 日常から“アウトドア”まで大活躍の「エックスヘッド」コンセプトがカッコイイ!
スズキの超ハイルーフ「本格SUV」に期待大!「ジムニー」超える“悪路走破性”に「まるで軍用車!?」な斬新デザイン採用! 日常から“アウトドア”まで大活躍の「エックスヘッド」コンセプトがカッコイイ!
くるまのニュース
10トン超えのバッテリーを搭載して航続距離500km……ってホントにエコ? 大型トラックはBEVよりもFCVのほうが最適解
10トン超えのバッテリーを搭載して航続距離500km……ってホントにエコ? 大型トラックはBEVよりもFCVのほうが最適解
WEB CARTOP
被災3年…ついに架設スタート! 阿武隈川を渡る国道399号“軽くなる”新しい橋の姿は?
被災3年…ついに架設スタート! 阿武隈川を渡る国道399号“軽くなる”新しい橋の姿は?
乗りものニュース
“ランクル250”をハードコアにカスタマイズ!? オフロードチューニングのスペシャリストが最新コンプリートカー「AT37」を発表!
“ランクル250”をハードコアにカスタマイズ!? オフロードチューニングのスペシャリストが最新コンプリートカー「AT37」を発表!
VAGUE
FDJ2がMIDホイール一色に! 公式ワンメイク化でドリフトシーンに新時代到来!!…大阪オートメッセ2025
FDJ2がMIDホイール一色に! 公式ワンメイク化でドリフトシーンに新時代到来!!…大阪オートメッセ2025
レスポンス
【特集】レッドブルの非情なドライバー育成……しかし彼ら以上にドライバー育成に注力してきた存在はゼロ
【特集】レッドブルの非情なドライバー育成……しかし彼ら以上にドライバー育成に注力してきた存在はゼロ
motorsport.com 日本版
前の車との「車間距離」めちゃ大事! でも運転中「どうやって」測る!? 「高速」や「一般道」で適切な車間を取る方法とは
前の車との「車間距離」めちゃ大事! でも運転中「どうやって」測る!? 「高速」や「一般道」で適切な車間を取る方法とは
くるまのニュース
まるでリアルRPG!? 目指せ鈴鹿8耐優勝! レーシングライダー石塚健が新チーム立ち上げを発表
まるでリアルRPG!? 目指せ鈴鹿8耐優勝! レーシングライダー石塚健が新チーム立ち上げを発表
バイクのニュース

みんなのコメント

6件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

451.0495.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

229.8495.0万円

中古車を検索
Honda eの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

451.0495.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

229.8495.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村