明確に新しく広い車内を備えるスーパーカー
世界的なスーパーカー・ブームの尾は長く、ランボルギーニの野望は次世代へ展開する。だが、1971年のジュネーブ・モーターショーの頃と同じく、創出は簡単ではなかった。
【画像】運転したい衝動へ駆られる カウンタックからアヴェンタドールまで 最新レヴエルトも 全152枚
当初のスタイリングを担当したのは、デザイナーのジョルジェット・ジウジアーロ氏が率いたイタルデザイン社。「L150」のコードネームで数案が検討されたものの、経営陣のゴーサインは得られなかった。
状況を打開するため、フェラーリやアルファ・ロメオのF1エンジニアを務めた経歴を持つ、ルイジ・マルミローリ氏へ指揮者を交代。マルチェロ・ガンディーニ氏と、再びプロジェクトが進められた。
予算は限られ、カウンタックのスチール製スペースフレームと、パワートレインを踏襲することが前提になっていた。なおかつ明確に新しく、広い車内を備えるスーパーカーが目指された。
この頃、ガンディーニはランボルギーニから独立した技術者、クラウディオ・ザンポーリ氏と別のプロジェクトも進めていた。そのチゼータV16Tと差別化されつつ、ロー&ワイドでソフトエッジなディアブロが描き出された。
開発が進む傍ら、1987年にランボルギーニは3000万ドルでクライスラーに買収される。イタリアを訪れた、会長のリー・アイアコッカ氏と設計責任者は、仕上がったばかりのプロトタイプへ試乗。改良すべき点をリストアップした。
販売が伸び悩んだディアブロ
ガンディーニは渡米し、デトロイトでスタイリングのブラッシュアップを進めた。アメリカ人の嗜好へ合わせ、バンパーが変更されリアウイングを追加。フロントフェンダーとサイドウインドウのラインが、テールへ向けてアグレッシブに結ばれた。
設備の改修も加わり、生産開始は計画より遅延。技術者には、最高速度315km/hという目標達成に充分な時間が与えられた。1987年までにV12エンジンは5729ccへ拡大され、独自の燃料噴射システムの採用も決まった。
後に独自のスーパーカー・ブランドを立ち上げる技術者のオラチオ・パガーニ氏は、カーボンファイバー素材を研究。カウンタックの半分以下の重さという、鋼管スペースフレームの強化へ役立てられた。四輪駆動システムの開発も、同時に進行した。
スタイリングは風洞実験で検証。空気抵抗係数のCd値を0.40から0.31へ落とし、時速200マイル(321km/h)という最高速度が達成された。
ディアブロという名は、社内投票で採用。1869年に闘牛士を殺した雄牛の名前だったが、ランボルギーニのモデル名を決める方法が、確立した瞬間でもあった。
量産仕様の発表は1990年。ところが、1980年代を湧かせた好景気は減速し、カーコレクターの資金も縮小傾向に陥った。
告知されていた、パワーステアリングと四輪駆動システムが搭載されたのは、1992年のディアブロ VTになってから。当初15万ポンドだった価格は16万ポンドへ上昇し、販売は伸び悩んでしまう。
積極的に扱うほどまとまりが出てくる
1993年にはディアブロ SE30、1996年にはロードスターと517psのSV、1996年にはレーシングマシンから影響を受けたGT1やGT2と、次々にアップデートが加えられた。しかし、年間500台という目標には遥かに届かなかった。
1999年にフォルクスワーゲン・グループのアウディがランボルギーニを買収。新たな資金で、2000年にフェイスリフトが施されるが、2001年に生産は終了する。
初期の後輪駆動のディアブロは、制御が難しくスピンしやすいことを知っている。それでも、威圧的なスタイリングが気持ちを高ぶらせる。カウンタックより明らかに大きく、車重は300kgも重い。
シザーズドアの後方には、エアインテークが上下に並ぶ。レッドの塗装と相まって、荒々しい走りを想起させる。
アクセルペダルのストロークは長い。踏み込むと、後方のファイアウォールを打ち破る勢いで、重厚なエンジンノイズがキャビンへ充満する。ギア比は長く、景色が霞むような勢いで加速が続く。
ペダルレイアウトはタイトで、足捌きが難しい。ヒール&トウでシフトダウンを試みれば、頭が興奮で満たされる。積極的に扱うほど、ディアブロはまとまりが出てくる。
ステアリングホイールは重く、ブレーキペダルの感触は不明瞭。しかし、速度が増すほど印象は良くなる。サスペンションも、感心するほどしなやかに動き始める。リアタイヤが、59.0kg-mのトルクをアスファルトへ伝える。
操縦性のバランスはニュートラルで、運転へ惹き込まれる。それでも、挽回できないスピンへの警戒は欠かせない。
新体制でリセットされた次期モデル計画
当時のフォルクスワーゲン・グループのトップ、フェルディナント・ピエヒ氏は、ディアブロを気に入っていたという。2000年のアップデートではスタイリングだけでなく、サスペンションとブレーキも改良。可変バルブタイミング機構も盛り込まれた。
さらに、アウディの幹部がサンタアガタへ常駐。生産性の向上も図られた。ランボルギーニの、次のフェイズの始まりだった。
1999年の時点で、ディアブロの後継モデルとなる「P147」の開発は進められていた。しかし、新体制のもとで計画はリセット。インドネシアのメガテック社傘下だった頃までは激動の時代といえたが、新たな資金が未来を切り拓いた。
次期モデルのスタイリングを担当したのは、ディアブロのフェイスリフトも担当したリュック・ドンカーヴォルケ氏。当時34歳という若さだった社内デザイナーの彼は、僅か12か月という時間制限より早く、1999年5月に社内了承を取り付けた。
フロントからリアへ滑らかにカーブを描くサイドシルエットは、カウンタックやディアブロに通じるもの。巨大なエアインテークが、前後で口を開く。ライバルのスーパーカーを時代遅れに見せるほどシンプルで、インパクトがあった。
特徴の1つが、モーターで稼働するサイドのエアインテーク。通常はボディ面と一体で、エンジンが一定の温度へ上昇するか130km/h以上の速度に達すると、自動的に立ち上がり外気を導いた。
VWの潤沢な資金で磨かれた技術
インテリアも、ボディと同様に進化。乗降性は改善し、空間にはゆとりが生まれ、内装の設えはフェラーリ水準へ。アウディの部品が部分的に用いられ、品質も高かった。
スチール製スペースフレームと、ウィッシュボーン式のサスペンション、縦置きのV型12気筒エンジンなどは、ディアブロやカウンタックに通じる要素といえた。それでも、潤沢な資金によって技術的には磨かれていた。
ハニカム構造のカーボンファイバーが、シャシーを強化。ルーフとドア以外のボディパネルとフロアパンも、カーボンで成形された。
エンジンはドライサンプ化され、新しい可変バルブタイミング機構を獲得。排気量は6192ccへ増え、重心高は50mmダウン。コンピューター制御によるABSとトラクション・コントロール、四輪駆動システムが、579psの最高出力を受け止めた。
最高速度は331km/hへ到達。シャシー剛性はディアブロ VTから60%増しでありながら、車重は25kg増に留めた。
ムルシエラゴという名前も、ディアブロと同じく雄牛が由来。その牛は1879年のコルドバの闘牛場で、24回の攻撃を受けても戦い続けたという。
路上での印象は、数字以上に軽快。バイワイヤで制御されるスロットルは、従来のインジェクション・ユニットでは想像できない緻密さで、エンジンの回転を司る。6速マニュアルのシフトレバーも、思いのままにスライドできる。
ギア比のクロス感も絶妙。トルクカーブは唸るほどフラット。四輪駆動の安心感が相乗し、ディアブロの追従を許さないペースで突き進む。
この続きは、ランボルギーニ 歴代4モデルを比較する(3)にて。
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みんなのコメント
安いとそういう層にとんでもない飼い方されて傷んでる馬も多かったことだろう
実際その人もシートカバーかけて野晒しだったもんなあ・・・