現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > なぜ時代に逆行? スズキ新型「ソリオ」フルHV廃止! 電動化の鍵はトヨタが握る?

ここから本文です

なぜ時代に逆行? スズキ新型「ソリオ」フルHV廃止! 電動化の鍵はトヨタが握る?

掲載 更新 14
なぜ時代に逆行? スズキ新型「ソリオ」フルHV廃止! 電動化の鍵はトヨタが握る?

■スズキ人気車でストロングハイブリッド車を廃止したワケ

 世界中の自動車市場で電動化が進むなか、日本市場でもハイブリッド車の販売比率が年々高まっています。
 
 もはやハイブリッド車は定番化されたといえるなかで、スズキの新型「ソリオ/ソリオバンディット」では、先代モデルに採用されていたストロングハイブリッド車が廃止されました。なぜ、電動化が加速するなかで姿を消したのでしょうか。

増えすぎた軽の白ナンバー! 今後は白が不可になる!?

 1997年にトヨタが世界初の量産型ハイブリッド車「プリウス」を発売してから20年以上経過し、その後瞬く間にハイブリッド車はユーザーへ浸透し、現在日本で販売される大半の新型モデルでは、ガソリン車とハイブリッド車が設定されています。

 ハイブリッド車とは、エンジンとモーターなど複数の動力を組み合わせたシステムを搭載するクルマを指します。

 また、ひと言でハイブリッド車といってもエンジンとモーターの組み合わせ方やモーターの使用度合いによりいくつかの種類に分けられます。

 組み合わせ方においては、「パラレル方式」、「シリーズ方式」、「シリーズ・パラレル方式(スプリット方式)」に分かれます。

 ホンダなどが採用する「パラレル方式」はエンジンを主動力源として、モーターは発進・加速をアシストする仕組みです。

 日産「ノート」などが採用する「シリーズ方式」は、エンジンは発電のみに使用して、主動力源をモーターとする仕組みとなり、基本的にこれらはモーター走行が可能なのが特徴です。

 また、プリウスなどが採用する「シリーズ・パラレル方式」では、エンジンとモーターを上手く使い分け、発進・低速時などでモーターがアシストします。

 モーターの使用度合いによっても、「マイクロハイブリッド」、「マイルドハイブリッド」、「ストロングハイブリッド」と大きく3つに分かれます。

 アイドリングストップや回生ブレーキを主目的にしているのが「マイクロハイブリッド」、このふたつに加えて加速時にモーターアシストをするのが「マイルドハイブリッド」です。

「ストロングハイブリッド」はマイクロやマイルドよりも広範囲にわたる前述のようなモーター走行可能なものを指します。

 こうしたさまざまなハイブリッド車が存在するなかで、プリウスのようなストロングハイブリッド車がもっとも燃費性能が高いとされています。

 しかし、今回の新型ソリオ/ソリオバンディットでは先代モデルで設定されていたストロングハイブリッド車を廃止し、ガソリン車とマイルドハイブリッド車のみに変更しています。

 欧州や中国、北米などでは続々と「ガソリン車/ディーゼル車を2030年から2050年までに販売禁止」する方向性を打ち出しているほか、日本でも2020年11月に政府や東京都が「2030年から2035年に掛けて純ガソリン車の販売禁止」を明言しました。

 そうした世界的な電動化の加速や脱純ガソリン車が叫ばれるなかで、なぜ新型ソリオ/ソリオバンディットでは、ストロングハイブリッド車を廃止したのでしょうか。

 ハイブリッド車の設定について、スズキの開発担当者は次のように話します。

「先代に設定されていたストロングハイブリッド車は、一部のお客さまから好評頂いていたものの、販売台数としては大きく売れていたとはいえません。

 一方のマイルドハイブリッド車については、販売台数的にも好調だったことや、今回の後席や荷室の拡大を重視した結果、ストロングハイブリッド車に搭載するバッテリースペースを確保するのが難しかったという面により、ガソリン車とマイルドハイブリッド車の2種類としました。

 しかし、ストロングハイブリッドシステムの開発をやめたわけではなく、継続して開発を進めています。

 今後、燃費規制やコンパクトモデルのハイブリッドのあり方に変化があった場合には、ストロングハイブリッド車を追加する可能性もあります」

※ ※ ※

 このような背景ゆえに、ソリオ/ソリオバンディットからストロングハイブリッド車が無くなりました。

 しかし、自動車業界における電動化の波は変化が早く、2020年には新型の電気自動車として、ホンダ「ホンダe」が登場。2021年にはマツダ「MX-30」や日産「アリア」が登場します。

 今後、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車などを含めた「電動車」がどのように普及していくのかに注目が集まります。

■スズキの電動化の鍵はトヨタが握る?

 ソリオ/ソリオバンディットのハイブリッド車事情は前述のとおりですが、スズキ全体の電動化では、今後どのような展開が考えられるのでしょうか。

 日本政府や東京都が掲げる脱純ガソリン車ですが、それは2030年から2035年を目処としています。

 つまり、後10年から15年で純粋なガソリン車/ディーゼル車は姿を消すことになるのです。

 そのなかで、軽自動車やコンパクトカー(5ナンバー車)は、普通車(3ナンバー車)よりハイブリッド車販売比率は依然として高いとはいえません。

 とくに、軽自動車ではガソリン車もしくはマイルドハイブリッド車がほとんどとなり、今後ストロングハイブリッド車やさらに電気自動車に移行していくと、開発コストが上昇することから、販売価格も高騰することが予想されます。

 かつての軽自動車は100万円以下、高くても100万円台半ばというモデルが大半でしたが、現在では基本性能向上や安全機能の標準装備化が進み100万円台後半から200万円台半ばとベース価格が高騰しています。

 仮にプリウスのようなストロングハイブリッドシステムを搭載すると、トヨタの場合、同モデルのガソリン車とハイブリッド車の価格差が約60万円、プラグインハイブリッド車であれば100万円ほどとなり、それを軽自動車に当てはめると単純に300万円に近づく価格となり得るのです。

 軽自動車は車体価格が普通車よりも安価な部分が普及した要因として挙げられるため、車体価格の上昇は軽自動車市場の大きな危機ともいえます。

 今後の電動化について、スズキの代表取締役社長・鈴木俊宏氏は次のように述べています。

「今後は、トヨタのハイブリッドシステムを採用する可能性や、価格面などにおいてはハイブリッドシステムの一部パーツを使用して開発することもあり得ます」

※ ※ ※

 今後10年後には、世界各国での規制が強化されることや各メーカーの電動車ラインナップが増えることで競争も激化することが考えられます。

 そのなかで、トヨタは今回のスズキをはじめ、グループ企業のダイハツ、資本提携関係のスバル、マツダといったメーカーは国内外でトヨタのハイブリッドシステムを搭載したモデルを展開予定だといいます。

 日本の新車市場の5割以上を占める軽自動車やコンパクトカーにおける電動車戦略がどうなっていくのか、この先5年、10年の動きが決め手となりそうです。

こんな記事も読まれています

おお、もしや新型パジェロでは!?!? クラウン風ライトで超絶高級になる予感
おお、もしや新型パジェロでは!?!? クラウン風ライトで超絶高級になる予感
ベストカーWeb
なんちゃってセレブが650馬力の新型ヒョンデ「アイオニック5N」を駆る!「とにかく一度乗ってみて。ヒョンデのイメージが変わるわよ~」
なんちゃってセレブが650馬力の新型ヒョンデ「アイオニック5N」を駆る!「とにかく一度乗ってみて。ヒョンデのイメージが変わるわよ~」
Auto Messe Web
【プロvs素人】データを重ねたら一目瞭然! フォーミュラカー走行で実力差の出るポイントは一体どこなのか
【プロvs素人】データを重ねたら一目瞭然! フォーミュラカー走行で実力差の出るポイントは一体どこなのか
motorsport.com 日本版
アルファ・ジュリアやジャガーFタイプも狙い目 今なら半額!な有能「中古」モデル(3) 高速サルーン/クーペ編
アルファ・ジュリアやジャガーFタイプも狙い目 今なら半額!な有能「中古」モデル(3) 高速サルーン/クーペ編
AUTOCAR JAPAN
「ポルシェ」より「フェラーリ」の登場のほうが盛り上がる! ル・マン24時間レース車検2日目の来場者の反応は?【みどり独乙通信】
「ポルシェ」より「フェラーリ」の登場のほうが盛り上がる! ル・マン24時間レース車検2日目の来場者の反応は?【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
夢、潰える 米新興EV「フィスカー」が破産 資金調達に失敗、資産売却へ
夢、潰える 米新興EV「フィスカー」が破産 資金調達に失敗、資産売却へ
AUTOCAR JAPAN
WRCラリー・ポーランドのエントリーリストが公開。7年ぶり開催の高速グラベルで24歳セスクがデビューへ
WRCラリー・ポーランドのエントリーリストが公開。7年ぶり開催の高速グラベルで24歳セスクがデビューへ
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツ、電動コンパクトSUV『EQB』を刷新。バッテリー容量増強で航続557kmに伸長
メルセデス・ベンツ、電動コンパクトSUV『EQB』を刷新。バッテリー容量増強で航続557kmに伸長
AUTOSPORT web
ヤマハ新型「MT-09 SP」が発売! 上級モデルになり足回りも強化 +約18万で手に入れられる新機能とは?
ヤマハ新型「MT-09 SP」が発売! 上級モデルになり足回りも強化 +約18万で手に入れられる新機能とは?
乗りものニュース
女性歌手、大塚愛が運転姿を公開し話題! 「何の車?」「車種気になる」の声集まる 左ハンドル×ベージュ内装…どんなクルマ?
女性歌手、大塚愛が運転姿を公開し話題! 「何の車?」「車種気になる」の声集まる 左ハンドル×ベージュ内装…どんなクルマ?
くるまのニュース
ブラッド・ピットが主演するF1映画、2025年6月25日に全世界で公開へ
ブラッド・ピットが主演するF1映画、2025年6月25日に全世界で公開へ
AUTOSPORT web
ルノーが中国企業と組む理由 次期「トゥインゴ」でVWと決裂、コスト削減を急ぐ
ルノーが中国企業と組む理由 次期「トゥインゴ」でVWと決裂、コスト削減を急ぐ
AUTOCAR JAPAN
【各地の別荘にそれぞれ置きたくなる?】 ベントレー・ベンテイガに世界各地を具現化した限定モデル
【各地の別荘にそれぞれ置きたくなる?】 ベントレー・ベンテイガに世界各地を具現化した限定モデル
AUTOCAR JAPAN
次世代王者候補ブロック・フィーニーが逆襲。僚友ウィル・ブラウンを降し連勝を達成/RSC第5戦
次世代王者候補ブロック・フィーニーが逆襲。僚友ウィル・ブラウンを降し連勝を達成/RSC第5戦
AUTOSPORT web
【角田裕毅を海外F1ライターが斬る:第9戦】契約延長はめでたいが、ここからが正念場
【角田裕毅を海外F1ライターが斬る:第9戦】契約延長はめでたいが、ここからが正念場
AUTOSPORT web
BMW、前戦ノーポイントからル・マンで2位表彰台。ペース劣るも「最後は笑顔になれた」とファーフス
BMW、前戦ノーポイントからル・マンで2位表彰台。ペース劣るも「最後は笑顔になれた」とファーフス
AUTOSPORT web
1年で終了!? スバル新「BRZ”ファイナルエディション”」発表! 700万円超え&ゴールドホイール採用の「スポーツコンパクト」独に登場
1年で終了!? スバル新「BRZ”ファイナルエディション”」発表! 700万円超え&ゴールドホイール採用の「スポーツコンパクト」独に登場
くるまのニュース
【編集部員が体験してきました】アバルト・ドライビング・アカデミー2024 忘れられない1日に
【編集部員が体験してきました】アバルト・ドライビング・アカデミー2024 忘れられない1日に
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

14件
  • とりあえず少しだけでもモーターアシストを付けておけば2030年以降も生き残れる。今からそっち方面のコストダウンに努めるのが最良って判断じゃないかな
  • 軽自動車は、小さな中により有効に安くが大事。HVはシステムが複雑でエンジンもバッテリーも載せる必要があり軽自動車に向かない。軽EVは近場の使用と機能を割りきり、AC200Vの普通充電で8時間充電可能なバッテリー容量として、航続距離は100kmでもいいので低価格で出して欲しい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

164.8177.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

9.8282.0万円

中古車を検索
ソリオの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

164.8177.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

9.8282.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村