注目はGoogle搭載だけでない、地道な改良で洗練された走り
2025年には販売車両の50%をBEVに、そして2030年にはBEV専業メーカーへの転身を目標に掲げまい進するボルボ。現行ラインナップを見渡せば、BEVか、PHEVか、48Vマイルドハイブリッドのいずれかであり、すでにピュア内燃エンジンモデルは消滅している。
一気にすべてをBEVにするわけではなく、これまでもひたすら年次改良を重ねてきたボルボらしく、PHEVや48Vマイルドハイブリッドもアップデートしている。
その一つが2023年モデルのS60、V60およびV60 Cross Countryで、全モデルにGoogle Apps&Serviceを搭載したことだ。
いまボルボがパワートレインの電動化とともに推し進めているのが、Google搭載のインフォテイメントシステムを採用すること。「OK、グーグル」と話しかければ、ナビの目的地を設定したり、好きな音楽をかけたり、電話をかけたり、シートヒーターをオンにしたりできるものだ。メルセデスのMBUXなど自然対話方式による音声操作機能はいまや珍しいものではない。各社が独自にシステム開発を進める一方で、ボルボはGoogleと手を組んだところが最大のポイントだ。システムに話しかけると日本語をスムーズにセンタースクリーンに表示するのだが、その認識精度の高さからも圧倒的なデータ保有量を誇るGoogleのすごさが伝わってくる。そして、自宅にGoogle対応のスマートホーム機器があれば、車内から家の照明を点灯したりエアコンをつけるなど音声でリモート操作できるといった拡張性も強みだ。 試乗車は「V60 Ultimate B4」だった。少々ややこしいが、これまでボルボは内外装の装備などの違いによってグレードを上からInscriptionとMomentumと呼んでいたが、それがUltimateとPlusへと置き換えられた。そして四輪駆動の場合はAWDが加わる。したがってこのモデルは前輪駆動の上級モデルという位置づけだ。
インテリアデザインは基本的に従来モデルを踏襲するが、Google搭載にともないメーターパネルのデザインを一新。メーター内にもGoogleマップが表示できるようになったが、これは視線移動が少なく済むし見やすい。シフトノブはスウェーデン・オレフォス社のクリスタル仕様にアップグレードされている。試乗車にはオプションのBowers&Wilkinsプレミアムサウンドオーディオシステムが付いていたが、音源がラジオであっても素晴らしい音を奏でる。価格は34万円と決して安いものではないが、音楽好きならぜひ奮発したいところだ。エクステリアデザインは小変更にとどまる。ホイールが新デザインになったところが見分けるポイントだ。 パワートレインは従来あったB5が廃止となり、PHEVの「T6」と48Vマイルドハイブリッドの「B4」の2本立てに整理された。このB4は、2L直列4気筒ガソリンターボで、最高出力197ps/最大トルク300N・mで、アシストする電気モーターの出力は14ps/40N・mと、数値としてはこれまでと変わっていない。ところが、走り出してみると圧倒的に乗りやすくなっていることに驚く。1500回転で最大トルクを発生するが、アクセルにそっと力を込めるだけでまるでBEVのようにスッと加速する。
聞けばこの2Lエンジンは、かなりマニアックな変更が加えられているという。VVT(可変バルブタイミング機構)を用いて、吸気バルブのタイミングを制御し、少ない混合気からより多くの膨張圧力を取り出し、エネルギー効率を高めるミラーサイクルテクノロジーを採用しているのだ。そして、ピストンのデザインやインテークマニフォールドの形状、新型オイルポンプなどにも変更点は及ぶ。さらに、B4 のトランスミッションはこれまで8速ATだったものが、湿式デュアルクラッチの7速DCTに変更されている。これによってカタログ燃費(WLTCモード)は12.8km/Lから15.4 km/Lへと約20%も改善されている。
4気筒エンジンにありがちなノイズも聞こえないし、DCTにありがちな低速域でのギクシャク感もまったくない。さり気なくモーターがアシストしてくれることによって日常域でよく使うタウンスピードでの走行が気持ちいい。また、サスペンションの洗練度も上がっているようだ。新デザインの18インチホイールに、タイヤはミシュランのプライマシーの組み合わせだったが、路面からの振動をうまく抑えて、乗り心地はとてもしなやかだ。 そして、安全機能にオプションなしをうたうボルボだけあって、ADAS(先進運転支援システム)にぬかりはない。前走車を追従するACCやステアリング操作を支援するパイロットアシストなど従来機能のアップデートに加えて、この新型では前車発進警告機能とリアの衝突回避被害軽減ブレーキが追加された。
電動化をうたいながらも、既存の内燃エンジンのこともおろそかにせず、年次改良でトランスミッションにまで変更を加えるさまはボルボの良心をみるようだ。Bowers&Wilkinsのサウンドに没入しながらドライブしていると、エンジンノイズもバイブレーションも感じない、まるでBEVを運転しているかのような感覚に陥る瞬間が何度かあった。皮肉なことに内燃エンジン付きでこれほど洗練されているのなら、まだしばらくはBEVじゃなくてもいいかもと思った。 ▲ファインナッパレザーを用いたフロントシートには、ベンチレーションやリラクゼーション機能が備わるボルボ V60の中古車を探す▼検索条件ボルボ V60× 全国文/藤野太一 写真/阿部昌也
ボルボ V60(初代)の中古車市場は?
V50の後継として2011年に登場したミドルサイズワゴン。セダンバージョンのS60と同様にスポーティな走りとスタイルをセールスポイントとしており、ラゲージ容量は430Lとやや小さめであった。よりスポーティなR-DESIGNや、ポールスター・レーシングがチューンを施したハイパフォーマンスモデルなども用意されていた。
2022年12月時点で中古車市場には280台ほどが流通し、その平均価格は約90万円。初期モデルなら30万円くらいから、最終モデルでも150万~250万円くらいで探せる。なお、360ps以上を誇る希少なスポーツグレード「ポールスター」も350万~450万円くらいの相場で、わずかながら流通している。 ボルボ V60(初代)の中古車を探す▼検索条件ボルボ V60(初代)× 全国文、写真/編集部【試乗車 諸元・スペック表】●アルティメット B4型式5AA-ZB420TM最小回転半径5.7m駆動方式FF全長×全幅×全高4.78m×1.85m×1.44mドア数5ホイールベース2.87mミッション7AT前トレッド/後トレッド1.6m/1.6mAI-SHIFT-室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m4WS-車両重量1710kgシート列数2最大積載量-kg乗車定員5名車両総重量1985kgミッション位置フロア最低地上高0.15mマニュアルモード◯標準色ブラックオプション色デニムブルーメタリック、オニキスブラックメタリック、フュージョンレッドメタリック、サンダーグレーメタリック、プラチナグレーメタリック、シルバードーンメタリック、ブライトダスクメタリック、クリスタルホワイトプレミアムメタリック掲載コメント※Googleアプリ/サービスは4年間無償、緊急通報/故障通報サービスは15年間無償型式5AA-ZB420TM駆動方式FFドア数5ミッション7ATAI-SHIFT-4WS-標準色ブラックオプション色デニムブルーメタリック、オニキスブラックメタリック、フュージョンレッドメタリック、サンダーグレーメタリック、プラチナグレーメタリック、シルバードーンメタリック、ブライトダスクメタリック、クリスタルホワイトプレミアムメタリックシート列数2乗車定員5名ミッション位置フロアマニュアルモード◯最小回転半径5.7m全長×全幅×全高4.78m×1.85m×1.44mホイールベース2.87m前トレッド/後トレッド1.6m/1.6m室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m車両重量1710kg最大積載量-kg車両総重量1985kg最低地上高0.15m掲載用コメント※Googleアプリ/サービスは4年間無償、緊急通報/故障通報サービスは15年間無償エンジン型式B420T5環境対策エンジンH30年基準 ☆☆☆☆種類直列4気筒DOHC使用燃料ハイオク過給器ターボ燃料タンク容量60リットル可変気筒装置-燃費(10.15モード)-km/L総排気量1968cc燃費(WLTCモード)15.4km/L└市街地:10.8km/L└郊外:16.1km/L└高速:18.2km/L燃費基準達成R12年度燃費基準70%達成車最高出力197ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm300(30.6)/4500エンジン型式B420T5種類直列4気筒DOHC過給器ターボ可変気筒装置-総排気量1968cc最高出力197ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm300(30.6)/4500環境対策エンジンH30年基準 ☆☆☆☆使用燃料ハイオク燃料タンク容量60リットル燃費(10.15モード)-km/L燃費(WLTCモード)15.4km/L└市街地:10.8km/L└郊外: 16.1km/L└高速: 18.2km/L燃費基準達成R12年度燃費基準 70%達成車
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