いったんハマればもはや抜け出せない魅力がある個性が強~いクルマ。ただし、個性が強いというのは両刃の剣で、当たり外れも大きい。クルマの没個性化が叫ばれるなか、今、販売されていればそれなりに売れた……かもしれない個性の塊のようなクルマ4台をピックアップした。
文/藤原鉄二、写真/スバル、日産、FavCars.com
高騰必至!! タマ不足のうえに海外流出の危機を迎える平成の名車3選
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トヨタ WiLL Vi(2000年~2001年)
クリフカットデザインを採用したクルマは国産車では超レア。1950~1960年代には海外でもクリフカットを採用したモデルが生産された
1999年8月2日から2004年7月にかけて行われた日本の異業種企業を集めてひとつのブランドを作ろうとしたプロジェクト「WiLL(ウィル)」を覚えているだろうか。このプロジェクトの発起人はトヨタで、発足当初は、トヨタの他に、花王、アサヒビール、松下電器産業(現パナソニック)、近畿日本ツーリストが参加。その後、コクヨ、江崎グリコも参入した。
WiLLブランドのターゲットは、20~30代、いわゆる当時のニュージェネレーション層。独自のマーケティングリサーチにより、この世代の趣向に合わせた商品作りを目指した。
そしてトヨタがリリースしたのが、3車種だ。WiLLブランド第1弾として2000年1月に登場したのがWiLL Vi(ウィル ブイアイ)、第2弾が2001年4月に登場したWiLL VS(ウィル ブイエス)、そして第3弾が2002年8月に登場したWiLL CYPHA(ウィル サイファ)だ。
なかでも、デザインモチーフが「かぼちゃの馬車」というWiLL Viのデザインには度肝を抜かれた人も多いだろう。それまでも、マーチをベースにしたパイクカー、Be-1やPAOなど、奇抜なデザインのクルマは存在していたものの、ここまでのものは国産車の歴史のなかでも初ではないかと思うほどの奇抜さだった。
特に、普通とは逆の傾きになっている「クリフカット」と呼ばれるリアウィンドウの形状がWiLL Viのボディデザインの肝と言えるだろう。国産車としては過去にはスズライト スポーツ 360やマツダ キャロルも採用したデザインで、その後にこれを採用したのはWiLL Viのみ。
プラットフォームばヴィッツのものを使用し、エンジンもヴィッツの1.3リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載。つまり、中身は丸っとヴィッツだ。
メインターゲットは20~30代の女性。蓋を開けてみると、購入者のほぼ半数が20~30代の女性と、トヨタの目論見通りの結果に。また、約8割がトヨタ車を初めて購入した人だったということで、新規顧客の取り込みにも成功。約2年間の販売期間の売り上げたのは1万5758台と、決して多くはない台数だが、トヨタとしては成功を収めたと感じられる一台だったはずだ。
いすゞ ビークロス(1997年~1999年)
VehiCROSSは、Vehicle(乗り物)、Vision(未来像)、Cross(交差)を掛け合わせた造語で、クロスオーバーSUVブームの到来を予見していたような車名だった
ビークロスは、1997年に登場したクロスオーバーSUV。まだこのジャンルが確立されていなかった時代に登場した、先駆けとも言えるクルマだ。
イギリス人カーデザイナーのサイモン・コックス氏が手掛けたエクステリアデザインは個性の塊。ボディの下半分を無塗装のポリプロピレン樹脂パネルとするなど、とにかくクセの強いエクステリアデザインに注目が集まった。
さらに、本革のレカロ製セミバケットシート、エアバック内蔵のMOMO製レザーステアリングを装備するなど、内装にもとことんこだわった。
車両のベースはビッグホーンだったが、搭載する3.2リッターV6DOHCエンジンは、V6エンジンのバンク角の主流が60°や90°のなか、75°という特殊なものだった。
また、4WDシステムには当時の最新システムだった電子制御トルクスプリット4WDが採用されるなど、走行性能へのこだわりもハンパなかった。
いすゞのこだわり満載のこのクルマ、なんと標準仕様で295万円! このロープライスは驚きだ。しかし、セールスは伸び悩み、約2年で姿を消すこととなった。約2年間の国内販売台数は2000台弱だった。
そして、生産終了の数年後にはクロスオーバーSUVブームが到来。ビークロスの誕生がもう少し遅かったら、いすゞの長寿ブランドとして生き残ったかもしれない。
日産 ジューク(2010年~2019年)
優れた運動性能と高い走行安定性、快適な乗り心地とどれをとっても満足点の出来の良いクルマだったが、エクステリアに関しては、好き嫌いが大きく分かれたデザインだった
2019年に生産が終了した、コンパクトスポーツクロスオーバーの日産ジューク。昆虫を連想させるような押し出しの強い顔面はインパクト大! 販売期間は約9年、それも一代限りで姿を消してしまったSUVだ。
市場は活況を呈するいっぽう、「どれがどれだか見分けがつかない」と、没個性化が著しいと言われるSUV。そのなかで超個性的なフロントマスクを擁するジュークは、ある意味、没個性化へのアンチテーゼと言っても過言ではないクルマだった。
世界初のデュアルインジェクターを採用した1.5リッター、改良型の直列4気筒NAのHR15DEエンジンを搭載、さらに2010年11月には、新開発の1.6リッター 直列4気筒直噴ターボエンジンを搭載した16GTが追加に。
また、4WD仕様の16GT FOURには、左右後輪のトルク配分をそれぞれ調整可能とすることでコーナリング性能を高める、新開発のトルクベクトル付ALL MODE 4x4-iが搭載されるなど、先進的な機能も満載。
さらに、2014年のマイナーチェンジでは、パーソナラパーソナライゼーションを新設定。これは90通りもの多彩なカラーコンビネーションから、自分の好みの色の組み合わせを選択して自分だけのジュークを作り上げることができるというスペシャルパッケージだ。
加えて、197万5320円~346万8960円と、幅広い価格レンジも魅力だった。
正直、すべての面において平均点以上の出来のジュークに売れない要素は見つからない……。ただひとつ難点と言えば、やはり個性全開のエクステリアデザインか? 存在感満点のデザインは日本人には強烈すぎたのかもしれない。
結果的にジュークはモデルチェンジを一度も行うことなく2019年に生産終了となり、かわりに海外で販売されているキックスが後継モデルとなった。ただし、ジュークは欧州では2代目へと進化を遂げ、継続販売されている。
スバル アルシオーネSVX(1991年~1997年)
キャビンの周囲はすべてガラスで覆われるというグラスtoグラスの構造という斬新さと流麗なフォルムは絶賛された。全面ガラス張りとはいえキャビンは高い剛性を確保していた
またか~と思う人もいるかもしれないが、やはり個性の強すぎたクルマとしたとりあげないわけにはいかないのが、アルシオーネSVXだろう。
スペシャルティクーペ、アルシオーネの後継モデルとして、バブル真っ只中の1991年に登した、アルシオーネSVX。デビューした当時、最も注目を集めたのはイタルデザインのジョルジェット・ジウジアーロが手掛けたエクステリアデザインだ。
天井以外のフロント・サイド・リアウィンドウすべてに3次曲面ガラスを採用した、戦闘機のキャノピーを思わせるドーム型のラウンドキャノピーは実に斬新。また、すべてのピラーがガラスの内側に隠すように配置するヒドゥンピラーとするなど、今までの国産車にはなかったこだわりの設計が施されていた。
Cd値0.29という当時としては驚異的な空力特性を実現した美しい流線形のフォルムも大きな話題となった。
しかし、このこだわりの塊とも言えるエクステリアデザインが仇となり、優れた走行性能などの他の部分への注目度は低く……。
結果的に、4年という短い販売期間の総販売台数は約6000台……。セールス的には大失敗だったクルマだが、その個性の強さは歴代のクセ強グルマのなかでもトップレベル。
皮肉なことに、中古車となってからはその人気はうなぎ上り。新車価格が284~400万円だったのに対し、中古車価格は400万円を超えるものも多数で、高値のものだと800万円を超えるものも! 新車時には不人気だったが中古車市場での人気は爆上がりの典型とも言えるクルマとなってしまった……。
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