昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。今回は昭和61年発売の日産 スカイライン(7代目)だ。
肥満した狼からツーリングカーの雄へ変身!
日産 スカイライン2ドアスポーツクーペ GTS:昭和61年(1986年)5月発売
ハコスカ(3代目)、ケンメリ(4代目)の時代からスカイラインはスポーツセダンであることが宿命であったし、誰もがそう思っていた。元号が令和となった現在でも、スカイラインの名称は外したもののGT-Rを頂点として、クラストップの運動性能を発揮している。
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しかし、昭和60年(1985年)8月に発表された7thスカイラインはこのようなスポーツ性をあえてスポイルして、「豪華さ」をアピールした。当初は4ドアHT(ハードトップ)とセダン、ワゴンという構成で、エンジンはRB20系が積まれている。翌1986年5月には、ようやく待望の2ドアクーペが投入された。その最強モデルが180ps/23.0kgmを発揮するRB20DET型DOHCインタークーラーターボを搭載するGTSツインカム24Vターボだ。
このパワーユニットは1985年10月にフェアレディZに搭載され、鋭いエンジンレスポンスによるパワフルな走行フィーリングで好評を得た新世代ストレート6だった。セラミックターボエンジンと呼ばれ、ターボチャージャーのタービンに軽量かつ耐熱性にすぐれたファインセラミクスを採用。当時のターボエンジンはどうしてもターボラグが付きものだったが、それをほとんど感じさせないシャープなレスポンスがウリだった。
さらに同車では、パワー/エコノミー自動切換式電子制御OD付きフルロックアップオートマチックとの組み合わせも行い、スポーティで快適なドライビングを可能としている。
サスペンションは、フロントにマクファーソンストラット、リアにはセミトレーリングアームという、当時でもすでに古典的な4輪独立懸架。ただ、スプリングバネ定数、ショックアブソーバの減衰力の変更などでスポーティな走りに対応している。車速が70km/hから作動するGTオートスポイラーが装着されたこのモデルは、最高速度は210km/hをオーバーし、0→100km/h加速は9.47秒と動力性能はかなり高い。また1986年9月には4ドアにもGTSグレードを設定し、スポーティ路線を強化した。
さらに1987年8月に発売された800台限定のGTS-Rは、ステンレス製等長エキゾーストマニホールドやT04E型ハイフローターボチャージャー、大容量空冷式インタークーラーなどを採用することにより、パワースペックは210ps/25.0kgmに増大した。同時に従来のRB20DETも、ハイフローセラミックターボの採用で190psにパワーアップされた。
GTS-Rのエクステリアは専用車体色のブルーブラックを採用。さらに専用フロント&リアスポイラー、プロジェクターヘッドランプを採用し迫力を増した。インテリアも、イタルボランテ製本革巻3本スポーク ステアリングホイール、モノフォルムバケットシート、専用トリムクロスを採用した。足まわりはストラットタワーバーや、当時の高性能ラジアルタイヤであるダンロップ・フォーミュラーM2(205/60R15)で固めた。
GTS-RはグループAレースに果敢に参戦し、当時、我が世の春を謳歌していたBMW M3を脅かす存在となった。1988年には総合で4位に食い込むのがやっとだったが、熟成した1989年にはスープラ ターボAやフォード シエラRS500を退けて総合優勝を成し遂げた。翌1990年はスカイラインGT-Rの登場でグループAからは姿を消したが、1986年にRSターボで手にした総合Vを3年ぶりに奪還した功績は大きかった。
日産 スカイライン 2ドアスポーツクーペ GTSツインカム24Vターボ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4660×1690×1365mm
●ホイールベース:2615mm
●重量:1320kg
●エンジン型式・種類:RB20DET型・直6 DOHCターボ
●排気量:1998cc
●最高出力:180ps/6400rpm
●最大トルク:23.0kgm/3600rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:205/60R15
●価格:249万7000円
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