■クラウンセダンついにお披露目! 中国での人気はいかに!?
2022年7月15日に世界初公開された16代目となるトヨタ「クラウンシリーズ」。
すでに先行して新型「クラウンクロスオーバー」が日本などで発売されていますが、新たに新型「クラウンセダン」も中国でお披露目されました。
【画像】全長5m!? 新型クラウンセダンが凄い! さらにクラウンSUV&ミニバンを見る!(33枚)
2022年12月30日より広東省広州市で開催されている「広州モーターショー2022」にてお披露目された新型クラウンセダンが中国で公開されるのは初めての事例となります。
トヨタが誇る高級セダンであるクラウンは、2022年7月にフルモデルチェンジをおこないました。
新型クラウンはクロスオーバー、スポーツ、セダン、エステートの4ボディタイプが同時に発表されるという前代未聞の展開で国内外ともに大変な反響となりました。
そのうち、日本でクラウンクロスオーバーは2022年9月より先行して販売されており、徐々に街中でも見る機会が増えています。
クロスオーバー以外のモデルは2023年の発売予定と案内されている以外は、依然として詳細が明らかとなっていません。
このようななか、2022年7月の発表イベントのみに姿を現したクラウンセダンが、広州モーターショー2022の場に登場しました。
広州モーターショーは例年11月に広東省広州市で開催されている国際的なモーターショーです
しかし、2022年は会場である「広州国際会展中心」が新型コロナ感染症拡大の影響で野戦病院へ転用された影響で、開催が延期となっていました。
その後、12月に入って急遽12月30日より開幕することが発表され、無事に開催を迎えました。
広州で開催されているということもあり、とくに広州に本拠地を置く「広州汽車」系の合弁会社(広汽トヨタや広汽ホンダ)が新型車などの大きな発表をおこなう傾向にあります。
2022年の広州モーターショーでは、11月に先行して発表されたクラウンクロスオーバーの中国仕様「クラウンスポーツクロス」が展示され、受注の開始を発表しました。
そしてその同じ場所において、新型クラウンセダンの展示もおこなわれた形になります。
展示された新型クラウンセダンは2022年7月に発表されたときと姿は変わりませんが、そのかわりに装着されている化粧プレートはクラウンの中国語名「皇冠」表記になっています。
クラウンは日本独自のモデルとよく勘違いされていますが、実は違います。
初代クラウンは評価が散々であったものの、1958年にアメリカ合衆国へ輸出され、販売もおこなわれました。
また、中国では1964年4月に最初のクラウンが上陸し、1980年代から1990年代にかけて大変な人気となりました。
香港では一般用だけでなく、香港の象徴的な存在である「香港タクシー(香港的士)」としても長きにわたって親しまれています。
2018年からは「コンフォート ハイブリッド」の名前で香港にて展開されている「ジャパンタクシー」が従来のクラウンから置き替わりつつありますが、今でも香港の街中は多くのクラウンが走っています。
中国本土では販売低迷によりクラウンの輸出販売を一時期終了していましたが、2005年には「現地生産」という形で復活、中国本土に王冠のエンブレムが舞い戻りました。
中国仕様として新たに復活したクラウンは第一汽車との合弁会社「一汽トヨタ」が生産・販売をおこなってきましたが、2020年4月には従来のセダンモデルの製造を14代目モデル(S210)で終了、その15年間続いた歴史に幕を下ろすことになります。
その後、2021年には大型SUV「ハイランダー」の姉妹車として「クラウンクルーガー」、そして「ヴェルファイア」を「クラウンヴェルファイア」として発表し、クラウンの名前が1年間の空白期間を経て復活しました。
そして、このたび登場したクラウンスポーツクロスとクラウンセダンが、中国における「新生クラウンファミリー」に加わることとなるのです。
まだ具体的な仕様が明らかでないにもかかわらず、セダンモデルを中国でお披露目したことには大きな意義があると考えられます。
■クラウン専門店オープン? クラウン×セダンの人気は根強い?
中国では世界的なトレンドであるSUVはもちろんですが、依然として保守的な自動車のボディタイプである「セダン」が大きな人気を誇ります。
このような市場が形成されている中国において、しばらく姿を消していた「セダンのクラウン」への需要は大きかったに違いありません。
この需要を鑑みて、グローバルモデルのクラウンスポーツクロス、そしてセダン需要への回答であるクラウンセダンを中国では「新型クラウン」として展開することになったのでしょう。
また、新型クラウンは大きな特徴のひとつとして、中国での現地生産ではなく、輸入車として販売されるであろう点にも要注目です。
広州モーターショーで展示された両モデルには、今までクラウンを中国で生産してきた「一汽トヨタ」のエンブレムや、もう一方の合弁会社「広汽トヨタ」のエンブレムも見当たりません。
セダンモデルはまだコンセプトの段階なので理解できますが、販売を開始したクラウン スポーツクロスにも装着されていないということは、それは現地生産車ではなく、輸入車になるということを意味しています。
中国では輸入車に対して非常に高い「15%」の関税を課しており、自動車メーカーはよほどの高級モデルやハイパフォーマンスモデルでない限りは、販売価格の高騰を避けるために中国国内で生産をおこないます。
ちなみに、中国国内での生産は今まで中国メーカーとの合弁が必須となっていましたが、2018年に電気自動車、2020年に商用車、そして2022年に全車種を対象にそのルールは撤廃されました。
高い関税を課せられるにもかかわらず、トヨタがクラウンを輸入車とする思惑は明らかとなっていません。
ですが、ひとつ明らかなのは販売価格が高くなったとしても消費者はクラウンを買い求めるだろうと判断したことです。
セダン最後(14代目モデル)の現地生産モデルは25万800元(邦貨換算:約476万7600円)から37万4800元(約712万4879円)で販売されていました。
それに対し、新型クラウンスポーツクロスは2.5リッターハイブリッドが36万9000元(約701万5000円)、2.4リッターターボハイブリッドが42万9000元(約815万5200円)で販売されています。
物価や為替の変動、装備の違いなどもあって一概に比較はできませんが、それでも販売価格は上昇していることに変わりなく、価格から見ても立派な「輸入高級車」に位置づけられるでしょう。
トヨタは中国で「クラウン」ブランドをさらに加速させるため、「クラウン専門」のディーラーを中国全土にオープンさせていくことも発表しています。
それだけ中国ではクラウンが特別視されてきており、これからもされるということでしょう。
ボディタイプが増えたとしても、クラウンの本流はセダンタイプであることに変わりはありません。
セダン人気が未だ根強い中国において、新たにクロスオーバーセダンとなったクラウンスポーツクロス、そして2023年登場予定のクラウンセダンがどのように受け入れられるか、注目です。
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