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フォルクスワーゲンTクロス1.0 95ps仕様に試乗 ファッションだけではない実力派

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フォルクスワーゲンTクロス1.0 95ps仕様に試乗 ファッションだけではない実力派

もくじ

どんなクルマ?
ー VW製クロスオーバーの末っ子
どんな感じ?
ー 95ps仕様でも走りは必要十分
ー コンパクトでも想像以上に広い車内
ー 少し高めでも納得できる完成度
「買い」か?
ー コンパクト・クロスオーバーの有力候補
スペック
ー フォルクスワーゲンTクロス1.0 TSI 95 SEのスペック

初試乗 DS3クロスバック CMPプラットフォーム採用初モデル 純EVに期待

どんなクルマ?

VW製クロスオーバーの末っ子

フォルクスワーゲンは自社のモデルラインナップを増やす方法として、時流に沿った、シンプルな手法を選んだようだ。今年から新しくファミリーに加わったクルマは、Tクロス。市場の嗜好をうまく掴んでいるとは思う。

搭載されるエンジンは2種類となる予定だが、現在のところ英国での択肢はひとつのみ。フォルクスワーゲン・グループの3気筒1.0ℓターボガソリンユニットとなる。最高出力は2段階が設定され、トランスミッションは3種類から選べる。

前回、スペインはマヨルカ島で試乗したのは、同じユニットでも2段階の中では高出力の方となる、114ps仕様に6速マニュアルという組み合わせだった。今回試乗するのは、5速マニュアルに95psという組み合わせで、価格も安く、出力もローエンド。ちなみに、7速ツインクラッチATという選択肢も用意されている。

もしディーゼルエンジンがお望みなら、すでに他の地域では販売が開始されている、95psの1.6TDIが今年末に英国にも追加される予定。ただし、フォルクスワーゲンの市場調査によると、コンパクト・クロスオーバーの購入層でディーゼルエンジンを選択するのは5%程度と見込んでいるという。

フォルクスワーゲンのSUVには、ティグアンよりひと回り小さなTロックというクルマもある。Tクロスにとっては兄的な存在で、例えば150psの1.5TSIを搭載したり、価格的な面でも兄の縄張りを脅かすような計画がないことはいわずもがな。今回は英国の道で、その完成度を確認してみたい。

どんな感じ?

95ps仕様でも走りは必要十分

試乗車は、モデルレンジの中でも最も人気となるであろう中間グレードのSEだった。装備も極めて充実しており、ルーフレールにフロアの高さが可変できるラゲッジスペース、アダプティブ・クルーズコントロール、前方走行支援システムにアップコネクト・インフォテインメントシステムなどが装備されている。エントリーレベルのSから1810ポンド(26万円)高となるが、内容を考えれば納得できるだろう。

このTクロス、とても快適で車内も広々。乗り心地もよく運転しやすい。以前レポートした114psの1.0 TSI SELとその印象に大きな違いはない。英国の道でも良く熟成された、角の取れた印象を与えてくれることも同じだ。

一方で1.0 TSIの最高出力は95psに留まっている分、走りの活発さは上級グレードの114ps仕様より目減りしていることも事実。それでも走りの印象が、特に遅く感じられたり、いらついてしまうようなものではない。

運転席の調整しろも充分に確保されており、シートも大きく、体格のいい男性でも快適なドライビングポジションを取ることができる。また頭部、肘周りや足元の空間にも余裕を感じられる。

コンパクトでも想像以上に広い車内

2列目シートのスライディング機能は標準装備。荷室が狭くて構わないのなら、後部座席の膝周りに贅沢な空間を生み出すこともできる。その反対もしかり。だが、実際にスライドさせる場面はそう多くはないはず。後部座席は一般的な身長の大人なら不足のない広さがあるし、ラゲッジスペースの床面を下げることができるから、コンパクトなボディながら想像以上に大きな荷物も積むことができるはず。

インテリアデザインは、フォルクスワーゲンの標準的なしつらえ。やや単調にも感じるが、オプションのデザインパッケージを選択すると、差し色で華やかさを加えることができる。オレンジ色が好きならば。

インテリアの質感も取り立てて素晴らしいわけではないが、優れている。もしエントリーグレードのゴルフのかわりにTクロスを選ぶ場合、若干だがインテリアで見劣りする部分に気付くかもしれない。しかし、SUVの若々しさに惹かれているだろうから、動機を阻害するほどのものではないだろう。

1.0ℓエンジンは3気筒独特のビートを伴い、回転数を上げていくとそれなりにうるさい。4気筒ではないことが音質面でもわかるものの、通常のクルージング時なら全体的にスムーズでマナーも良い。

少し高めでも納得できる完成度

5速マニュアルということで、ギア比のステップも大きいため、2000rpm以下でのピックアップはやや鈍重なのは否めない。しかしレスポンス自体は良いし、パフォーマンスとしては余裕に溢れているとまではいかないまでも、不満を感じることもないだろう。

追い越し時などで6000rpmまで回転を上げれば、比較的速やかに追い越しを完了することもできる。ムキになってアクセルを踏み込むようなことは不要なはずだ。

路面の大きなコブや、轍などを越えた時のボディコントロールは、制限速度で走っていてもどこか接地感の薄い浮ついた印象がある。Tクロスのボクシーで背の高いボディと、柔らかいスプリングとの組み合わせによるところが大きいと思う。だとしても、ハンドリングの正確性や高速走行時のスタビリティに悪影響を及ぼしてはいない。

コーナリング時にはボディロールも示すが、シャシーの反応に変化はなく、コーナリング中のフィーリングにも安心感がある。高速道路を走行中の横風や、不意なくぼみなどでステアリングを取られることもない。低速域での静かやさ、幹線道路を流している時の減衰力の効いた乗り心地も充分に優れている。少し高めの価格設定でも、納得できる完成度だ。

「買い」か?

コンパクト・クロスオーバーの有力候補

もしコンパクト・クロスオーバーをお探しで、スタイリングだけではない、クルマとしての完成度も備えたモデルを探しているのなら、Tクロスは有力な候補になるだろう。洗練性は充分に高く、たとえ114psではなく95psのSEグレードを選択したとしても、ドライバビリティの面で感じる劣等感は、ごく限られている。

加えてフォルクスワーゲンのクルマとして期待される、大人な雰囲気や充分な車内スペース、実用性の高さも備わっているうえに、エクステリアデザインも充分に目を引きつける力を持っている。前回以上に、推奨モデルとしてわれわれの評価も高まった。コンパクト・クロスオーバーというセグメントで、高い人気を獲得することは明白だと思う。

フォルクスワーゲンTクロス1.0 TSI 95 SEのスペック

■価格 1万8805ポンド(272万円)
■全長×全幅×全高 4110✕1756✕1559mm
■最高速度 180km/h
0-100km/h加速 11.5秒
■燃費 17.2km/ℓ
■CO2排出量 131g/km
■乾燥重量 1245kg
■パワートレイン 直列3気筒999ccターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 95ps/5000rpm
■最大トルク 17.8kg-m/2000-3500rpm
■ギアボックス 5速マニュアル

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