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ハイブリッド人気の日本になぜディーゼル投入相次ぐ? 欧州メーカーの狙いとは

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ハイブリッド人気の日本になぜディーゼル投入相次ぐ? 欧州メーカーの狙いとは

■進む電動化の波、それでも国内にディーゼルモデルを投入する目的とは

 最近の国内市場では、国産メーカーが新たに投入するモデルの多くにハイブリッド仕様を設定。対して、欧州車メーカーではディーゼル仕様を続々と発表しているのです。

アウディ初のディーゼル車を「Q5」に追加 発売記念の限定車も登場

 とくに、2018年から2019年と直近のタイミングで、ディーゼル仕様を国内初導入している欧州車メーカーも少なくありません。なぜ、世界的に電動化が進むなか、日本市場でディーゼル仕様を発売するのでしょうか。

 2019年2月、アウディ「Q5」、アルファロメオ「ステルヴィオ 」「ジュリア」、プジョー「3008」にディーゼルエンジンを搭載するモデルを追加。2018年には、フォルクスワーゲンも「ティグアン」「ゴルフ・トゥーラン」のディーゼル仕様を日本へ導入しているのです。

 2019年3月に開催された『ジュネーブ・モーターショー』の展示内容や、昨今のニュースを見れば、欧州勢が今、もっとも力を入れているのは電気自動車やハイブリッドといった電動化に他なりません。

 しかし、欧州ブランドは熱心に日本市場へディーゼルエンジン搭載車を導入するのはどうしてなのでしょうか。

 大きな理由として、「そこに性能のよいモノがあるから」というものが挙げられます。従来、ディーゼルエンジンは悪いものではありません。燃費不正が欧州やアメリカであったものの(日本には不正車両は入ってきていない)、本来的にディーゼルは効率が良いのです。

 軽油は、ガソリンよりも安いためランニングコストにも優れ、うまく使えば速いクルマを作ることもできます。たとえばアウディは、ルマン24時間耐久レースにディーゼルエンジンを使って2006年から11年間参戦していますが、その間に5連覇を含む8回の総合優勝をはたしているほど、ポテンシャルが高いといえます。

 欧州車メーカーの多くは、そうしたディーゼルエンジンの可能性にかけて、これまで熱心に研究開発を続けてきました。アウディは、2019年2月のディーゼル導入時に次のように説明しています。

「全車種の平均CO2排出量を2020年までに平均95g/km以下に低減するというヨーロッパの規制目標値に向かったたゆまぬ研究開発を続けていますが、それを達成するためにはハイブリッドなどの電動化技術だけでなく、内燃エンジンそのものの効率と性能向上も欠かせません」(アウディ)

 エンジンなどの重要な技術の開発には、地道な基礎研究が必要であり、良いモノを作るには時間がかかります。アウディのディーゼルエンジンの歴史は30年ほどもあり、過去800万台以上に搭載されてきました。そのような実績の上に、最新の高性能なディーゼルエンジンが生まれているのです。

■国内メーカーではマツダ・三菱の2強?

 一方で、欧州車メーカーのほとんどが、これまで日本と違ってハイブリッドに消極的でした。最近になって盛んに「電動化に力を入れる」といっていても、それは「これから」という話です。

 実情としては、ようやくいくつかのアイテムが揃い出したばかり。一方で、省燃費性能や高性能化を求める声への対応は喫緊の課題。そのような状況であれば、手元にある高性能なディーゼルエンジンを利用するのは当たり前といえます。

 実際に、日本でディーゼルモデルを販売するプジョージャポンは、次のように話します。

「ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの両方を併売するモデルでいえば、だいたい販売比率は6:4くらいですね。ディーゼルモデルはパフォーマンスの良さや経済性の良さで人気があるようです」(プジョージャポン)

 欧州車メーカーの用意するディーゼルエンジンの良さを日本国内のユーザーも認めているということ。実際に売れるというのであれば、欧州車メーカーがディーゼルモデルを日本に積極的に導入するのも当然といえます。

 また、日本におけるディーゼルエンジンへの排気ガス規制は、世界でもトップクラスに厳しく、欧州で走っていたそのものではダメで、日本への特別な対策が必要です。

 最近になって、国内市場にディーゼルモデルの投入が相次ぐ理由には、規制への対応に時間が掛かったと予想できます。前々から日本には、ディーゼルエンジンを導入したかったが時間がかかってしまい、その間に欧州で『電動化への傾注』が進んでしまったというのが実態ではないでしょうか。

 一方、国内メーカーにおいて、ディーゼルを熱心に研究してきたのはマツダと三菱だけです。トヨタは、ハイブリッドが古くからのお家芸、ホンダと日産は以前から電動化に熱心で、スバルもディーゼルをやめてしまった過去があります。

 そのため日本勢からは、あまりディーゼルエンジンの話題が出ることは少ないのです。それも、欧州車メーカーによるディーゼルモデル導入が目立ってしまう理由のひとつといえるのです。

 今後は、電動化が年を追うごとに加速してゆくことは間違いありません。しかし、完全に電気自動車だけの時代になるのは、もうしばらく時間がかかります。

 数年で、すべてが変化することはありえず、下手をすると数十年単位の時間が過ぎるかもしれません。そこまでは、ハイブリッドの時代であり、エンジンはずっと必要ということを意味するのです。

 特性の異なるガソリンエンジンとディーゼルエンジンでは、それぞれの特性に合わせて異なる使い方がされます。結果として、ガソリンエンジンもディーゼルエンジンも、研究開発が進んでいき、『エンジンの時代』は当分終わらないといえます。 【了】

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