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いすゞ「最初で最後」の乗用車!「イルムシャー」にも心躍ったセダン「アスカ」を振り返る

掲載 更新 20
いすゞ「最初で最後」の乗用車!「イルムシャー」にも心躍ったセダン「アスカ」を振り返る

いすゞの乗用車の歴史はアスカで幕が下りた

 いすゞの4ドアセダンの系譜といっても、ベレル、ひいてはヒルマン・ミンクスというと“昔々”の話になる。だが、1967年登場のフローリアン(デザインはイタリアのギアだったが、G・ジウジアーロではなかった)の後継モデルとして1983年に登場したのがアスカだった。 フローリアンは結局1982年まで15年のライフを全うする。1977年に行われた終盤のマイナーチェンジは、117クーペとともに(!)角目4灯が与えられるなどしたものの、さすがに寄る年波には逆らえず1982年10月に生産を終了した(未確認だが“三角窓”があった最後の日本車だったかもしれない)。半年ほど間を空けた1984年4月、フローリアンの後継モデルとして登場したのがアスカだった。当初“フローリアン・アスカ”を名乗った。

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GMのグローバルカー戦略の一翼を担う形でデビュー

 当時いすゞはGMとのアライアンスがあり、そのGMのグローバルカー戦略の一翼を担う形でアスカはデビューした。具体的にはGMのFWDプラットフォームの“Jカー”をベースに生まれたもので、オペル・アスコナ、ホールデン・カミーラ、シボレー・キャバリエ、ポンティアックJ2000、キャデラック・シマロン、オールズモビル・フィレンツァ、ビュイック・スカイホークといった、血の繋がりのあるモデルが存在する。 基本は4ドアのノッチバックセダンで(シボレー、ポンティアックなどワゴン、ハッチバックのバリエーションを展開するメイクもあった)、見れば何となくアスカとは兄弟車のようだったが、エンジニアリング的にはそれぞれのブランドごとに独自の展開がされていた。これは1974年にGM“Tカー”を基本に誕生した初代ジェミニと成り立ちは同じ。だたし、当時の日本車対抗という側面も持ち、その一翼をアスカが担っていたという見方もできる。

横置きエンジンを活かした室内空間も魅力のひとつ

 ともかくそういう経緯で生まれたアスカ。実車は月並みな表現だが、クリーンでシンプルなセダンだった。デザインはまったくのオリジナルで、つぶさに見ればボディ骨格をはじめ、ウインドウガラスなど他車との共通性も見出せた。 全長×全幅×全高=4440mm×1670mm×1375mm、ホイールベース2580mmのボディサイズは国産ミドルクラス相当ながら、エンジン横置きとなるFWDの利点を最大限に活かした、余裕のある室内空間も魅力のひとつ。 アスカが現役の時代に筆者も試乗や撮影で実車を何度か借り出したことがある。インパネに向かって立ち上がる、センターコンソールがなく足元のスッキリした運転席まわりや、上級車並の広い室内に「ほほぉ」と感銘を覚えたもの。 センターアームレスト部に配置されたパワーウインドウスイッチ(ドアまで配線を回す手間とコストが省ける)、初代ピアッツァにも採用されていた、操舵力切り替え式のパワーステアリング。そして、全車に標準の前輪ベンチレーテッドディスクブレーキ、シンプルでスペース効率の高いコンパウンドクランク式リヤサスペンションなど、合理的で有効な装備、機能もポイントだった。 発売当初からエンジンは5機種と、豊富なラインアップだった。フラッグシップは2Lターボで、ほかに2LのNA(2機種)、1.8L、さらにホットプラグ採用の2Lディーゼルが用意された。のちにディーゼルターボも設定している。

クラッチペダルのないMT「NAVi5」も投入された

 メカニズムのトピックとして見逃せないのが、1984年8月に登場した“NAVi5(ナビファイブ)”だ。これはクラッチ&シフト操作をクルマに任せられるロボタイズドMTのひとつで、D5、D3の各ATモードのほか、1、2速固定の走行モードを用意したもの。コンピュータ、センサー、アクチュエーターで構成するシステムは、現在のシングルクラッチ方式の2ペダル車と同様だ。とはいえ当時、一般的な国産市販車ではまだ珍しく、白く四角いシフトノブだけを手で操作して変速、クラッチペダルのないMT車の走行感覚を恐る恐る試した第一印象は今でも記憶に残る。

5速MTのみの設定だったイルムシャー

 もう1台、ピアッツァ、ジェミニ同様に設定されたイルムシャーも忘れられない存在。搭載エンジンは2Lターボ(4ZC1型)で、これに5速MTのみの設定というのが何ともコダワリを感じるクルマだった。外装ではピアッツァ・ネロのような角型4灯ヘッドランプをはじめ、色の選択が可能なフルホイールカバー付きのアルミホイール、リヤスポイラー、irmscherのデカールを装備。 インテリアのはモモのステアリングとレカロシートが奢られた。もちろんサスペンションは、タイヤの接地性を最重視したセッティングとし、フロントスプリングのばね定数、ダンパーの減衰力は下げる方向で仕立てられ、セダンらしい乗り心地とスムースな走りをモノにしたクルマだった。 いすゞ・アスカは“最初“で”最後”のいすゞの乗用車だった。つまり、最初というのはGM・Jカーをベースとしたことによるいすゞ車初のFF車だったこと(FF・2代目ジェミニの登場はアスカより遅い1985年のこと)。“最後”は、スバル・レオーネ、ホンダ・アコード(2世代)とOEMで存続するも、いすゞの乗用車撤退の決断から、2002年を最後にカタログから消えたこと、だ。それまでおよそ半世紀続いたいすゞの乗用車の歴史は、アスカで幕が下りたのだった。

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みんなのコメント

20件
  • >最後”は、スバル・レオーネ、ホンダ・アコード(2世代)とOEMで存続するも

    レオーネではなく初代レガシィかと
  • 懐かしい!あの頃はジェミニやピアッツァ等、いすゞの乗用車も魅力がありましたね。当時は三菱のランタボに2台程乗り継ぎましたが出来ればまた乗りたいと思わせる車がたくさんあります。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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