英国でのEV生産に大規模投資
日産は11月24日、英国でのEV生産に20億ポンド(約3700億円)を追加で投資すると発表した。人気モデルのリーフ、ジューク、キャシュカイの次世代電動モデルを生産する予定だ。
【画像】日産ジュークが先鋭的デザインで生まれ変わる【日産ハイパーパンク・コンセプトと現行型ジューク(海外専売)を写真で見る】 全28枚
英サンダーランド工場では現在、EVのリーフと並んでガソリンエンジン車のジュークとキャシュカイを生産しているが、いずれも後継車は完全なEVとなる。先ごろ開催のジャパンモビリティショーで披露されたコンセプトカー「ハイパーパンク」と「ハイパーアーバン」からデザインのインスピレーションを得るという。
20億ポンドのうち、最大11.2億ポンドを日産から、残りをバッテリー製造のAESCなどのパートナー企業から調達する。また、詳細は明らかではないが、英国政府からの多額の投資も含まれると見られている。
日産は2021年、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みとして、サンダーランド工場の隣接地にEV生産エコシステムを構築する「EV36Zero」というハブを設立した。当初はEV生産に10億ポンドを投じるとしていたが、今回20億ポンドが追加され、合計投資額は30億ポンド(約5600億円)に上る。
日産の内田誠CEOは、次のように述べている。
「エキサイティングなEVは、カーボンニュートラル達成を目指す当社の計画の中核をなすものです。欧州の主力モデルがEVになることは、日産、産業界、そしてお客様にとって新たな時代への加速を意味します。『EV36Zero』プロジェクトでは、英国最大の自動車工場であるサンダーランド工場を、当社の将来ビジョンの中心に据えています。したがって、当社の英国チームは将来のクルマのデザイン、設計、生産を行い、欧州における日産の完全EV化を牽引していくことになります」
日産の発表に対し、英国のリシ・スナク首相は「すでに英国経済に年間710億ポンドもの貢献をしている英国の自動車産業に対する大いなる信任投票だ」と歓迎した。
先鋭的なEVで欧州市場に大攻勢
日産によると、サンダーランド工場で生産するジュークとキャシュカイの後継車のデザインは、ハイパーアーバンとハイパーパンクの両コンセプトカーに「インスパイアされた」ものになるという。
ハイパーパンクは、折り紙にヒントを得た「多面的で多角的」な表面処理を多用した、大胆なデザインが特徴だ。こちらはジュークに発展していくと見られる。
一方、「流麗でモダンな美しさ」を持つとされるハイパーアーバンは、キャシュカイのベースになると予想される。
すでに明らかになっているように、リーフの後継車は2021年公開のコンセプトカー「チルアウト」をベースに、従来のハッチバックとは異なるクロスオーバーに発展する。日産は以前、2026年に生産開始予定だとしていた。
各モデルの車名や発売時期など、詳細については「後日」発表するという。いずれにせよ、日産は2030年までに欧州でのエンジン車販売を終了する。
3車種のEVは、ルノー・日産・三菱アライアンスのEV専用プラットフォームを採用する見込みだ。ボディサイズからすると、リーフとジュークは小型車用のCMF-BEV、キャシュカイはCMF-EV(アリアと同じ)を使用する可能性が高い。
キャシュカイは、初代モデルは日本でもデュアリスという名で販売されていた。日本での販売終了後は欧州で独自の進化を遂げており、第3世代となる現行型は2021年に発売され、昨年には英国ベストセラー車となった。2007年以来、英国で生産された全自動車の約5分の1を占めており、SUVブームの火付け役として広く知られている。一方、現行型のジュークは2019年から販売されている。
サンダーランド工場には現在、ジュークとキャシュカイ、キャシュカイとリーフの2つの生産ラインがある。
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