2024年1月25日~28日(現地時間)、WRC(世界ラリー選手権)開幕戦ラリー・モンテカルロが、モナコをスタート~ゴール地点として行われ、ヒョンデのティエリー・ヌーヴィルが優勝、2位、3位にはトヨタのセバスチャン・オジェ、エルフィン・エバンスが入った。勝田貴元はラリー序盤のスタックから7位まで追い上げるのが精一杯だった。
“ドライモンテ”の罠。タナック、勝田が痛恨のスタック
今年のラリー・モンテカルロはステージ上には雪がなく、ワークスのラリー1勢は一度もスノータイヤを履かないドライコンディションでの戦いとなった。
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だが、スリックタイヤで走るが故に、峠の頂上付近にわずかに残ったブラックアイスや霜でのグリップ変化が、多くのドライバーを悩ませることになる。この罠にいち早く嵌ってしまったのが今年からヒョンデに復帰したオイット・タナックだった。
金曜日のオープニングとなるSS3、7km地点のアイスパッチに乗ってしまったヒョンデi20Nは、リアをスライドさせてアウト側のガードレールに激突。そのままスタックして大きなタイムロスを喫し、早くも優勝争いから脱落してしまう。
続いてトヨタの勝田貴元もまったく同じ場所で姿勢を乱し、やはりアウト側へ。不運なことに勝田のGRヤリスは路肩に固められていた雪の塊の上を乗り越えるかたちでスタックしてしまい、脱出まで5分以上を要してしまう。
タナック、勝田はそれぞれ4位、7位まで追い上げるのが精一杯だった。
トヨタ勢を撃破、ヌーヴィルが逆転勝利
タナックと勝田の脱落で、優勝争いはトヨタのエバンスとオジェ、ヒョンデのヌーヴィルの三つ巴に。
序盤をリードしたのはトヨタで、恒例の木曜日のナイトステージ2SSでエバンスが首位に立ち、ここがホームラリーとなるオジェも金曜日にペースアップして、トヨタが1-2体制を築き上げる。
しかし土曜日になると、金曜日のSS4でスピンを喫して3番手に留まっていたヌーヴィルが見違えるようなスピードを見せた。SS9でベストタイムを叩き出して2番手に浮上すると、続くSS10ではハイブリッドトラブルもあってペースの上がらなかったエバンスをかわして首位に浮上。午後に一旦はオジェに逆転を許したものの、土曜日最終ステージとなるSS14で再びオジェを4.1秒も引き離すベストタイムを出して首位を奪回した。
ヒョンデのヌーヴィルは、日曜日のオープニングとなるSS15でも再びオジェに4.7秒差をつけるベストを出して、モンテ9勝を誇るマイスターの逆転への意欲を喪失させた。
ヌーヴィルは続くSS16でもベスト、最終パワーステージでもトヨタ勢を撃破するベストタイムで、2020年以来のモンテカルロ勝利を確定した。
ヌーヴィルは今シーズンの新ポイントシステムである木~土、日(スーパーサンデー)、パワーステージの3つの得点機でもすべて1位となり、フルポイントの30点を獲得。悲願の初タイトルに向け会心のスタートとなった。
2024年 WRC開幕戦ラリー・モンテカルロ リザルト
次戦WRC第2戦ラリー・スウェーデンは、2月15~18日、北部のウーメオーをホストタウンとして開催される。雪と氷に覆われた森林地帯の未舗装路が舞台となるこのラリーは、今シーズン唯一のフルスノーイベント。ステージは基本的にすべて積雪路となり、そこを金属製のスタッド(スパイク)が埋め込まれた雪道専用の「スタッドタイヤ」で走る。そのため平均速度は非常に高く、例年WRCの全イベントの中で3本の指に入る超高速ラリーとなる。(文:新村いつき)
2024年 WRC開幕戦ラリー・モンテカルロ 結果
1位:T.ヌーヴィル(ヒョンデ i20N ラリー1 )3h09m30.9s
2位:S.オジェ(トヨタ GRヤリス ラリー1)+16.1s
3位:E.エバンス(トヨタ GRヤリス ラリー1)+45.2s
4位:O.タナック(ヒョンデ i20N ラリー1)+1m59.8s
5位:A.フルモー(フォード プーマ ラリー1)+3m36.9s
6位:A.ミケルセン (ヒョンデ i20N ラリー1)+5m34.6s
7位:勝田貴元(トヨタ GRヤリス ラリー1)+8m28.5s
8位:J.ロッセル (シトロエン C3 ラリー2) +10m29.8s
9位:P.ロペス (シュコダ ファビアRS ラリー2) +10m33.8s
10位:N.グライジン(シトロエン C3 ラリー2)+10m45.2s
2024年 WRCドライバーズランキング(開幕戦終了時)
1位 T.ヌーヴィル(ヒョンデ)30
2位 S.オジェ(トヨタ)24
3位 E.エバンス(トヨタ)21
4位 O.タナック(ヒョンデ)15
5位 A.フルモー(Mスポーツ・フォード)11
6位 勝田貴元(トヨタ)9
7位A.ミケルセン (ヒョンデ)6
2024年 WRCマニュファクチャラーズランキング(開幕戦終了時)
1位 トヨタ 46
2位 ヒョンデ 45
3位 Mスポーツ・フォード 12
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