現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 快適、でも時にBMWらしく軽快なフラッグシップSUV「X7」

ここから本文です

快適、でも時にBMWらしく軽快なフラッグシップSUV「X7」

掲載 更新
快適、でも時にBMWらしく軽快なフラッグシップSUV「X7」

試乗の舞台はアメリカ テキサス州。ピックアップトラックが街中にまであふれる中で見ると、それほどでもないかと勘違いしそうになるが、実際にはBMW X7、見た目の迫力が相当のものであることは間違いない。

全長5151mm×全幅2000mm×全高1805mmという堂々としたサイズもさることながら、連結された過去最大級のサイズのキドニーグリル、その大きさを強調するかのように天地に薄い形状とされたLEDヘッドランプなどによって描かれるフロントマスクは威圧感に満ちている。日本の都市に置いたら、一体どんな風に見えるのかは興味をそそる。

ハイソカーから貴重なスーパーカーまで、あらゆる旧車が集合!──オートモビルカウンシル2019リポート Part.2

もっとも、目が慣れればこの顔もそれほど強烈なものとは思えなくなってくる。スタイリング自体も最近のBMWの中ではクリーンとすら感じられるもので、やはり悪くはないと思うのだが、どうだろうか?

外から見るとやや威圧的だが、室内に入るとX7は非常に開放的だ。視点が高く、またベルトラインが低くてガラス面積も広いから、閉塞感とは無縁。大きなラジエターグリルのおかげで高くなったフード先端まで運転席から見渡せるから、車両感覚を把握しやすく、大きいクルマを操るという心理的な圧迫感がずいぶん緩和される。

もちろん空間的にも余裕は十分。シートは3列が標準で、2列目は左右独立の2座とベンチの3座から選べる。2列目はスライドとリクライニングが可能で、3列目にスペースを割り振っても、まだまだ余裕で寛げる。その3列目も大人2名に十分な広さが確保されている。より高いヒップポイント、独立したエアコンの装備により、閉所が苦手な筆者でもストレスを感じることなく座っていることができた。

しかも視線を上げれば、前、中央、後の3つのセクションに分かれた大型パノラミックグラスルーフによって開放感がさらに高められていて、BMWでありながらこのクルマ、2列目、3列目シートの方が優遇されているかもしれないと思わせる。それだけには留まらない。オプションのスカイラウンジを選べば、このルーフに埋め込まれたLEDが1万5千もの光のパターンで夜のドライブを演出してくれもするのだ。

もっとも実際のニーズとしては3列フル乗車よりも、広大なスペースを遊び道具を積むために使いたいという方人が多いに違いない。荷室容量は3列目を起こした状態で326ℓ。3列目の電動バックレストを折り畳めば750ℓとなり、2列目まで倒せば最大で2120ℓにも達する。

改めて、今回の試乗車である直列6気筒3.0ℓターボエンジンを搭載するX7 xDrive40i Luxuryに乗り込む。運転席まわりのデザインはX5にほぼ準じたもので、BMWライブコクピットが採用され、センターディスプレイは大型タッチスクリーンに。その上で、8シリーズにも使われていたクリスタルを用いたシフトノブを用いるなど、よりラグジュアリーな方向に仕立てられている。

その走りも、まずはラグジュアリーな雰囲気を濃厚に味わわせるものだった。非常に乗り心地が優しく、そして静かなのだ。

標準の4輪エアサスペンションは、COMFORTモードにすると驚くほどソフトな設定となり、路面の荒れたところも大きなうねりも、包み込むように受け止め、いなしてしまう。試乗車はオプションの22インチタイヤ&ホイールを履いていたのだが、思わずあとでサイズを再確認してしまったほどである。

エンジン音、ロードノイズ、風切り音などあらゆるノイズが抑え込まれた高い静粛性は、二重構造とされたバルクヘッドなどボディ側の徹底的な対策、そしてリアゲート以外の全面への遮音ガラスの採用などの効果だという。おかげで1-2列目間は自然に会話を楽しめるし、3列目から話しかけられても聞き逃すことはない。

特等席は2列目。乗り心地はソフトな上にホイールベースの真ん中に座るからフラット感が高いし、フロアが安っぽく振動することもない。視界も上々だから本当に快適に過ごせる。独立2座のいわゆるキャプテンシート仕様は、下手すると7シリーズからユーザーを奪ってしまうかもしれない。

もっとも、そこはBMWだけにドライバーを退屈させるようなことはない。さすがにCOMFORTモードのままで速度を上げていくと、大きな入力に対して揺り返すような動きに見舞われることもあるが、それも一発で収まる。そもそもホイールベースが長いから直進性は良好。自然とまっすぐ走ってくれる。

そしてSPORTモードで走ったワインディングロードでは、BMWらしい意のままに操れる感覚をしっかりと堪能させてくれた。後輪も操舵するインテグレーテッドアクティブ・ステアリング特有の癖はあるが、それでも車体の大きさ、背の高さを忘れさせる切れ味のいいコーナリングには、ついついペースが上がってしまった。

スポーツ・アクティビティ・ヴィークルと BMWが呼ぶ、SUVラインナップの頂点として据えられるX7は、存在感たっぷりの外観に余裕のスペース、そして従来のBMWのイメージを覆すような静かで快適な走りで新たな魅力をアピールしつつ、根底では期待に違わない駆け抜ける歓びも決して忘れていない、魅力的なクルマに仕上がっていた。単なるX5のロング版ではない独自の魅力が、そこにはある。先行するライバルたちの中でも埋没することなく、独自のポジションを築くことができそうだ。

嬉しいことに、日本導入まではそれほど待たされることはなさそう。ラインナップは直列6気筒3.0ℓディーゼルエンジン搭載モデルからとなる線が濃厚である。

こんな記事も読まれています

次期デリカD5はこうなってほしい!! 唯一無二の価値を持つSUVミニバンへの期待
次期デリカD5はこうなってほしい!! 唯一無二の価値を持つSUVミニバンへの期待
ベストカーWeb
フェルスタッペン予選5番手「ベガス用リヤウイングを作らないという方針がハンデに」タイトルには有利な位置を確保
フェルスタッペン予選5番手「ベガス用リヤウイングを作らないという方針がハンデに」タイトルには有利な位置を確保
AUTOSPORT web
佐藤万璃音、2025年もユナイテッド・オートスポーツからWEC世界耐久選手権にフル参戦
佐藤万璃音、2025年もユナイテッド・オートスポーツからWEC世界耐久選手権にフル参戦
AUTOSPORT web
やっぱたまらんなV型エンジン!! [スカイラインNISMO]とレクサス[IS500]の[パンチ力]にひれ伏した件
やっぱたまらんなV型エンジン!! [スカイラインNISMO]とレクサス[IS500]の[パンチ力]にひれ伏した件
ベストカーWeb
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
AUTOSPORT web
エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
AUTOCAR JAPAN
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
AUTOSPORT web
2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
ベストカーWeb
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
Auto Messe Web
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
AUTOSPORT web
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
AUTOSPORT web
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
AUTOSPORT web
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
AUTOSPORT web
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
AUTOCAR JAPAN
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
Auto Messe Web
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
AUTOCAR JAPAN
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1390.01764.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

569.01540.0万円

中古車を検索
X7の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1390.01764.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

569.01540.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村