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レクサス LS600hのマイナーチェンジはきめ細かな熟成ぶりを実感させた【10年ひと昔の新車】

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レクサス LS600hのマイナーチェンジはきめ細かな熟成ぶりを実感させた【10年ひと昔の新車】

2009年10月、レクサスのフラッグシップである4代目LSが、フェイスリフトと新グレードの設定を中心とした世代初のマイナーチェンジを敢行した。今回は当時ほかのモデルからやや遅れて販売が開始されたハイブリッドモデル「LS600h」の試乗テストの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年2月号より)

レクサスのハイブリッド車に共通したイメージのフロントグリル
2009年10月16日のマイナーチェンジ発表と同時に発売されたのは4.6LのV8エンジン「だけ」で駆動するLS460のみだった。290kW(394ps)の5Lエンジンと、165kW(224ps)の交流同期モーターが発生する力を動力分割機構でひとつとすることにより、圧倒的な動力性能と10・15モード燃費12.2km/Lの環境性能を両立したハイブリッドモデルのLS600hは、少し遅れて11月9日の発売。ここでその全容を紹介しよう。

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今回のマイナーチェンジで最大のポイントとなるのは、やはりLSのエクステリアに初めて変更が行われことだ。もちろん全体のイメージを大きく変えるものではないのだが、グリル、前後バンパー、灯火類、サイドターンランプを組み込んだドアミラー、ホイールなど変更は多岐にわたる。

とくにLS600hで目立つのはグリルの変更だ。先だって新登場したHS250hや、8月に改良を受けたGS450hに似た、横桟が太いものとなった。空気をガバガバ吸い込むかのようなイメージを嫌ったと考えるのは穿ち過ぎかも知れないが、レクサスのハイブリッド車に共通したイメージを持たせようとしたのは確かだろう。これまでLS600hを見分ける最大のポイントは白色LEDを光源とする3連プロジェクターヘッドランプだったが、新型は昼間、遠くからもハイブリッドと識別できる。

ただ、グリル自体のデザイン質感は、細かい横桟の以前の方が奥行きがあって良かった気もする。新型は扁平で、レクサスの特長である「作り込み」があまり感じられなかった。

インテリアはLS460と同じで、センターコンソールの意匠と表示レイアウトが若干変わった程度。460ではオプションだったカラーTFT液晶を使ったファイングラフィックメーターは、600hでは標準装備となる。

スタートボタンを押すと霧に包まれたLSのシルエットが瞬時にメーターに変わる演出はなかなか見応えがあるし、ナイトビューモードでは速度計内に大きく暗視画像を映し出したり、マルチインフォの選択によりエネルギーモニターが位置を変えたりと、描画式のため表情を自在に変える。欲を言えば280km/hスケールの巨大な速度計を中央に置いたメーターレイアウトは、ドライバーズカーとしては面白味に欠けるので、好みでカスタマイズできればより面白いと思う。

もうひとつ、前モデルのオーナーが最もうらやむ改良かも知れないのが、ラゲッジルームの拡大である。バッテリーをリアシート後方に置くLS600hはトランクが狭かったが、小型化とレイアウトの変更によりプラス40Lを実現した。加えて、以前はオプションだったパンク修理キット(スペアタイヤレス)が標準仕様となり、その省スペースと合わせて、トータル420Lの容積を確保した。後から床を掘ったため内部形状はもうひとつスッキリしていないが、ゴルフバッグ4セットが苦労せず積み込めるようになったのは朗報だろう。

このほか今回のマイナーチェンジでは、ボディカラーが入れ替えを含め新色5色が加わって全11色となり、本木目パネルやシートのカラーバリエーションも変更された。全体にちょっと派手めな色合いが増え、選択の幅が広がったのは歓迎だ。さらなる個性を望むなら、シートや木目など3万通りの組み合わせからインテリアを作れるLセレクトももちろん用意されている。

不思議なほど力強さがありハンドリングも楽しめる
さて走りだが、今回試乗したのはLではなく標準ボディ。19インチタイヤとアクティブスタビライザーを備えるバージョンS Iパッケージ(セミアニリン本革シートの豪華仕様)は、LS600hの中でもドライバーズカーとしての資質が最も高い仕様だ。

パワーフィールは相変わらず豪快だ。とくにアクセルを踏み込んだ直後のピックアップの良さは、回り始めた瞬間から最大トルクを発生するモーターの特性をまざまざと見せつけられる。こればかりは6L級の12気筒エンジンも敵わない。

通常のエンジンカーにはない中速域からの不思議なほどの力強さも、LS600hの醍醐味のひとつ。もちろんそうしたシーンを多く味わうほど燃料消費も相応に増すが、穏やかに走ればハイブリッドならではの経済性は得られる。静と動の使い分けの幅が非常に広いのがこのクルマの最大の魅力だ。

ハンドリングもアクティブスタビライザーの効能が大きく、フラットな旋回姿勢を維持するため、かなり楽しめる。19インチタイヤながら乗り心地に粗さもない。AVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション)をスポーツに設定すると多少当たりの強さを感じることはあるものの、バージョンSを敢えて選ぶユーザーから苦情が出るとは考えられない。個人的な好みでは、スポーツモードはもっと思い切って振ってしまっても良かったように思う。

さらに、高速域での直進安定性が増して、外乱が入っても修正舵を入れる回数が減ったし、エネルギー回生も心持ち素早くなったように感じた。発表はされていないが、キメ細かく熟成させているのは間違いない。

ただ、全体の動きを通して、クルマの重さを感じてしまうLS600hの乗り味は変わっていない。ハイブリッドは重量がかさむのは事実だろうが、それよりも重い12気筒ながら格段に軽快な動きを見せるBMW760Liなどを味わってしまうと、LSがやるべきことはまだ少なくないと感じる。(文:石川芳雄/写真:村西一海) 

レクサス LS600h バージョンS Iパッケージ 主要諸元
●全長×全幅×全高:5060×1875×1475mm
●ホイールベース:2970mm
●車両重量:2230kg
●エンジン:V8DOHC+モーター
●エンジン排気量:4968cc
●エンジン最高出力:290kW(394ps)/6400rpm
●エンジン最大トルク:520Nm(53.0kgm)/4000rpm
●モーター最高出力:165kW(224ps)
●モーター最大トルク:300Nm(30.6kgm)
●トランスミッション:電気式無段変速機
●駆動方式:4WD
●タイヤ:245/45R19
●車両価格:1150万円(2009年当時)

[ アルバム : レクサス LS600h はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

21件
  • 今や中期LSでもヤンキーの餌食、ボディーは綺麗だけど職場が砂利駐だからホイルハウスは泥だらけ。
  • エンジン車のLS460バージョンUIパケは良い乗り味でした。プラットフォームが標準ボディー・エンジン車で最適化されていたのではないでしょうか。
    乗り味や内外装の質感だけなら、30系が未だに好きです。(笑)
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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