新型車を相次いで投入し、注目を集めているレクサスの魅力はクルマだけではない! 同ブランドが取り組む「オーバートレイル・プロジェクト」とは? 「レクサス・キャンプ 2023」から考える。
レクサスとアウトドア
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本年7月14日から8月9日までレクサスのホームページで募集していたレクサス・キャンプ 2023が長野県・軽井沢にあるオートキャンプ場、「ライジングフィールド軽井沢」で実施された。
北は宮城、西は兵庫からレクサス・オーナーとそのファミリーの30組が愛車に乗って集まった。SUVの「RX」や「NX」、BEV(バッテリー式電気自動車)の「RZ」もいたけれど、「IS」や「LS」といったセダンの姿もあった。「アウトドアキャンプ未経験の方や、こだわりのギアで本格的にアウトドアを楽しまれている方、大人から子供まで、全ての人が一緒に楽しみ、自然と共生しながら、人や自然とのつながりを深めていくことを目指」す、というイベントの趣旨を参加者が理解していたからだろう。
注目すべきは、副題に「by オーバートレイル・プロジェクト」とあることだ。「オーバートレイル(OVERTRAIL)」とは、「陸路や森林・原野等の未舗装路を意味するOverlandと(人やモノが移動してできた跡、未舗装の小道などを意味する)Trailを組み合わせ、自然とのつながりを想起させたり、道を切り開くイメージを付与した」というレクサスの造語だとされる。造語だけに、意味はあとからより明確になっていくものなのかもしれない。いずれにせよ、オーバートレイル・プロジェクトはレクサスのアウトドアを考える社内プロジェクトとしてスタートし、さかのぼること本年1月13日~15日、千葉県・幕張メッセで開催された「TOKYO OUTDOOR SHOW(東京アウトドア・ショウ)2023」で初披露された3台のコンセプトカー以降、次々に新しいコンセプトカーを生み出している。
2022年のオートサロンで初公開された水素バギーの進化版の「ROVコンセプト2」、昨年末に発売されたRXをベースとする「RXアウトドア・コンセプト」、そして日本未発売の「GX(先代)」をベースとする「GXアウトドア・コンセプト」が最初の3台で、さらに「NX PHEVオフロード・コンセプト」、「RZアウトドア・コンセプト」、そして「GXアウトドア・コンセプト(ジャパン・スタイル)」の3台が追加されているのだ。レクサス・キャンプ2023では、これら6台のコンセプト・カーが緑のあふれたフィールドに集められた。これがレクサス・オーナーにとって目玉のひとつだったろう。
参加費用は6万円から、とそれなりではあるものの、これには4人分の夕食と翌日の朝食、それにキャンプ・ファイアーや薪割りなどのアクティビティの参加費も含まれている。むしろお値打ち、というべきか。屋根の上にテントを載せたRXとGX、いずれかのコンセプトカーで一晩過ごせる、15万円の特別宿泊プランもあったりした。同じクルマのオーナー同士の出会いもあっただろうし、参加者のみなさんにとっては、レクサスオーナーであることのあれこれをしみじみ思う体験になったにちがいない。
ちなみに、6台のコンセプトカーのうち、NX PHEVオフロード・コンセプトの市販化が近いらしい。少なくともLT285/60R18のゴツいオフロード用タイヤを装着したGXのコンセプトは、タイヤのサイズが大きすぎて、ま、だからカッコいいわけですけれど、ホイールハウスに当たったりして、レクサスの社内規定に合わないという。とはいえ、レクサスSUV群にこれらの野生味をトッピングしたモデルが早晩登場し、アウトドアはもちろん、都市の景観にワイルドネスを加味することは疑いない。
未来につながるような取り組みレクサス・キャンプ2023ではコンセプトカーの展示だけでなく、オーバートレイル・プロジェクトのもとで開発中のキャンプ用品や、リンナイと共同開発中の水素バーナーで焼いた地元食材のBBQコーナーが設けられたりもした。
キャンプ用品でいえば、田村工機(TMR)のアルミ削り出しの湯沸かし器とか、応量器という禅宗の修行僧が使う食器にインスパイアされた器とか、レクサスの内装用のウルトラスウェードを内張に用いたフジコーワのアルミケースとか、いずれも興味深かった。
個人的な驚きは、トレイルオーバー・プロジェクトに専任はいない、という点だ。現在、75人ものひとたちがボランティア的に常時活動しているそうで、キャンプ用品の担当者の方も、単にキャンプ好きというだけで、別の仕事を持っている。水藤崇司プロジェクトリーダーもレクサス企画部商品企画室長兼任で、商品企画室長とアウトドアを考えるプロジェクトのリーダーは重なるところがあるにしても、アウトドア専任ではないのだ。たとえばNXの担当者がオーバートレイルの車両開発に参加したり、あるいはレクサス・キャンプ2023というイベントにしても、レクサスのコト事業部が仕切ったりしているという。
ちなみにコト事業部というのは、レクサスのための充電設備とか、九州ななつ星の旅、あるいは屋久島エコ・ツーリズムとか、レクサスオーナーのライフスタイルをより豊かにすべく、あれこれ考えて提供しよう、という部署だそうである。他社に丸投げするのではなくて、そういう部署があること自体、レクサス=トヨタの人材の厚みを想像させる。まして皆、本業とかけ持ちで、新たなプロジェクトにいかにも楽しげに挑んでいる。
水藤リーダーは来年以降もレクサス・キャンプを続けようと考えている。これはレクサスが世界的にブームのアウトドア方面に力を入れていく、ということではない。ラグジュアリーライフスタイルブランドとして多様性に寄り添う。それが基本姿勢という。
この日、軽井沢まで来ていたレクサス・インターナショナルの渡辺剛(たかし)プレジデントも、「アウトドア参入とは考えていない。ラグジュアリー・ブランドとして単にクルマ、モノで満足するのではなく、未来につながるような取り組み、そういう場づくりをしていくことが重要」と、語っている。それには一過性のイベントではダメで、こういう活動を継続していく、と、明言。「プロダクトにつなげることが目的ではない。カーボン・ニュートラルを目指さなければならない時代にあって、未来をどうやってつくっていくのか。そこで自分ができることがあれば、やっていきたい」という決意を述べたのだった。
やれることからやる。ま、世のなか、それしかないわけである。なんにせよ、ニッポン発のラグジュアリー・ブランドは成熟のときを迎えようとしている。と、筆者は思った。
文・今尾直樹 写真・小塚大樹 編集・稲垣邦康(GQ)
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みんなのコメント
トヨタのおもちゃにロッテリアマークつけて高く売りつけてきたんだろ?
長年築き上げてきた歴史を重んじて一切の妥協がない欧州車とは大違いなんだよw