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2000kmツーリングで感じた、新型ディフェンダーが奮い立たせる「冒険心」とは?【前編】

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2000kmツーリングで感じた、新型ディフェンダーが奮い立たせる「冒険心」とは?【前編】

Land Rover Defender 110 HSE × Defender 110 SE Explorer Pack

ランドローバー ディフェンダー 110 HSE × ディフェンダー 110 SE エクスプローラーパック

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堂々たるオーラを放つ新型ディフェンダー

ランドローバーのアイコニックなモデルがついに新型へと生まれ変わった。軽量アルミの新アーキテクチャーD7xや最新のインフォテインメントシステムを採用する新型ディフェンダーは、我々の期待を裏切らない仕上がりをみせてくれるのか。2000kmのロングツーリングに2台を連れ出し、新型ディフェンダーの魅力にモータージャーナリストの吉田拓生が迫るレポートを前後編にわけてお届けする。(前編/後編)

「SUVの中でもクロカン4駆の原種に近く、当然のように泥っぽいモデル」

地を這うように車高が低く、ドアが斜め上に跳ね上がるようなスポーツカーが上陸するわけでもないのに、これほどシーンがザワつくことがあるだろうか? しかもそれはSUVの中でもクロカン4駆の原種に近く、当然のように泥っぽいモデルだ。

ランドローバー ディフェンダー。我が国における知名度はレンジローバーの方が遥かに上。それでもランドローバーの歴史を辿ってみれば、原初の血統を受け継いでいるのは軍用車のような武骨なボディを纏ったディフェンダーの方なのである。

今から1年ほど前に、新型ディフェンダーのプロトタイプを都内で見かけたことがあった。複雑なカモフラージュが施された車体には大きく#BEST4×4FARと書かれていた。存在を隠したいのか主張したいのか? ただ確実に新型ディフェンダーの完成が迫っていることだけは実感でき、期待を寄せていた。

「タフな機能性に重きを置くこの手のクルマに理屈っぽい話は必要ない」

そして今回ついに、エアコンの冷気が溜まった地下駐車場で2台の新型ディフェンダーと邂逅した。カモフラージュはされていないが登録はされている。どちらも5ドアモデルの110で、パワーユニットはガソリンのインジニウム4気筒を搭載している。我々に与えられた時間は72時間。であればすぐに旅に出てしまったほうがいいだろう。

原初のランドローバーことシリーズ1は1948年のデビューなので、今回の新型のディフェンダーのフルモデルチェンジを「72年ぶり」と表現するメディアもいるが、ディフェンダーと名乗ってからはちょうど30年となる。だがタフな機能性に重きを置くこの手のクルマに理屈っぽい話は必要ないだろう。何しろ新型は誰がどう見てもディフェンダーらしいスタイリングを与えられており、リヤクォーターの上には特徴的な小窓すら備わっているのだ。

先代ディフェンダーのボディはアルミ板を曲げてリベット留めしただけのような原始的なシロモノで、例え新車でも雨漏りする個体があった。だがスロバキアの工場で生産される新型ディフェンダーは、先代の形状的な特徴を引き継いでいるが、少し離れたところから眺めてもクオリティの高さが窺える。しかも見る者を夢中にさせるような愛嬌と遊び心が随所に見てとれる。

「新型のレンジローバーだと言われても信じてしまうほど乗り心地が良い」

先代のディフェンダーは当然のようにラダーフレームを採用していたが、新型はモノコックボディを採用している。D7xと呼ばれるプラットフォームは現代ランドローバーの多くが採用しているアルミニウム製だが、ディフェンダーのために新開発されたものだという。これは電動化を視野に入れた、という昨今にありがちな理由とともに、さらなるロングホイールベース版や商用トラックのようなボディ形状への発展性を含めたものだと思われる。

モノコックと聞くといまだにオフロード純粋主義者は怪訝な表情を浮かべるものだ。だが新型ディフェンダーのスタイリングを眺めていると、そんなエクスキューズはさすがに時代遅れではないかと思えてくる。5ドアモデル(110)に標準装備されるエアサスによって自在に変化する車高や切り詰められたオーバーハングは、オフロード走行に対する欲望を剥き出しにしている。特にエクスプローラーパックと呼ばれるアクセサリーパックが組み込まれた1台は、砂や埃の多い状況で路面から離れて高い場所から吸気を得る「レイズドエアインテーク」を装備しているほどだ。

夜の都内に走り出した新型ディフェンダーには心底驚かされた。十分に騒音が抑えられていて、これが新型のレンジローバーだと言われても信じてしまうほど乗り心地が良く、上質な乗り物だったからだ。ステアフィールも滑らかだし、クロカンSUVであるにもかかわらず、純正装着のタイヤとのマッチングの良さにも感心させられる。

「ターボラグすら荒々しい個性としてプラスの印象に転ずる」

だが果たしてこの優等生ぶりを歓迎して良いのかという考えも過る。シリーズ1からディフェンダーに至るランドローバーの一族は、本国イギリスでは一貫してワークホースとして扱われてきた。それは我が国で言うところの軽トラックやワンボックスのような存在であり、泥だらけの長靴で躊躇なく乗り込める気さくな感覚が重宝されてきたのである。

とはいえ新型ディフェンダーを流行の最先端をゆくプレミアムSUVと捉える日本のカスタマーにとって、この動的質感の高さは理想的なものに違いない。ステアリングのスポークには最新のランドローバーと同じような配列でスイッチ類が並んでおり、2020年製の新型車らしくACCだけでなくレーンキープアシストも備わっている。

8速ATの捌きも的確だし、スポーツカーに載っていると物足りなさを感じる2.0リッターガソリンのインジニウム4気筒も、ディフェンダーの心臓としては悪くない。時おり時代遅れなターボラグが顔を覗かせることがあるが、それがかえってディフェンダーらしい荒々しい個性としてプラスの印象に繋がっている。

(後編へ続く)

REPORT/吉田拓生(Takuo YOSHIDA)
PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)

【SPECIFICATIONS】

ランドローバー ディフェンダー110 HSE

ボディサイズ:全長4945 全幅1995 全高1970mm
ホイールベース:3020mm
車両重量:2240kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1995cc
最高出力:221kW(300ps)/5500rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/1500-4000rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前&後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後255/60R20
車両本体価格:812万円

【問い合わせ】
ランドローバーコール
TEL 0120-18-5568

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