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【くるま問答】ディーゼルエンジンにはターボが必須なのか? その構造から考えてみる

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【くるま問答】ディーゼルエンジンにはターボが必須なのか? その構造から考えてみる

ガソリンエンジンとターボの組み合わせは多いものの、全数ではない。しかし、乗用車用のディーゼルエンジンに必ずターボが組み合わされている。なぜこれほどの差があるのか、モータージャーナリストの片岡英明氏に聞いた。

ディーゼルエンジンとターボの相性がいい、その理由を知ると……
4サイクルのガソリンエンジンもディーゼルエンジンも基本構造は同じ。シリンダー内をピストンが往復するレシプロエンジンだ。しかし、ディーゼルエンジンに点火プラグはなく、シリンダーの上部に燃料を噴射するインジェクターがある。

1970年代のスーパーカー図鑑(1)「ランボルギーニ カウンタック」

ガソリンエンジンは、プラグで燃料と空気の混合気に点火するが、ディーゼルエンジンは空気を圧縮して高温にしたところに軽油を噴射して着火させる。圧縮比は高く、20:1を超えるものも少なくない。さらに、空気に対する燃料の量もガソリンエンジンより少なくて済む。

理論的にはガソリンエンジンより熱効率(燃料から運動エネルギーを取り出せる割合)が高く、燃費もいい。地球温暖化の元凶と言われる二酸化炭素(CO2)を抑えられることから、ヨーロッパを中心にディーゼルが持てはやされてきたのだ。

ただし、高い圧縮比はエンジン音や振動を出す理由のひとつとなる。さらに高圧に耐えるように部品を頑丈にする必要があるからエンジンは重くなる。また、空気中の酸素と窒素が化合して生まれる窒素酸化物(NOx)や不完全燃焼による粒子状物質(PM)の発生も多い。

こうした弱点を、超高圧のコモンレール式直噴技術や微粒子を除去するフィルターDPF、NOx吸蔵還元触媒、尿素水溶液を噴射するアドブルーなどで克服、クリーン化を実現した。

このディーゼルエンジンは、排気圧を利用した過給機でよりたくさんの空気を強制的に送り込むターボと相性がいい。

混合気を圧縮し、吸い上げる空気量で出力を調整するガソリンエンジンは、高温になると圧縮過程で混合気を自己着火させてしまうことがある。また、過給圧を上げると異常燃焼を起こし、ノッキングが発生しやすい。

これに対しディーゼルターボは空気だけを圧縮し、噴射する燃料の量によって出力を調整する。だから、空気の温度が高まっても圧縮過程で自己着火することはない。燃料噴射量だけを調整し、空気の量は一定だから低回転から力強くタービンを回すことができるのである。

ディーゼルエンジンは高回転まで回らないが、低回転から出力とトルクを出しやすい特性に加え、ターボを使えば排気量を大きくすることなく出力とトルクを簡単に上乗せできる。

ディーゼルエンジンにターボが必要なのではない。ガソリンエンジンのターボ化よりも、長所の伸び代が格段に大きいのだ。(文:片岡英明)

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