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世界が震撼!カルロス・ゴーン会長逮捕

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世界が震撼!カルロス・ゴーン会長逮捕

2018年11月19日、東京地検特捜部は羽田空港に午後4時半頃、プライベート・ジェット機で到着した日産のカルロス・ゴーン会長に任意同行を求め、夕刻に逮捕した。なおこの事件は朝日新聞が事前に情報をキャッチし、羽田空港で飛行機から降りる、任意同行を求められるゴーン氏の姿をキャッチしている。


異例の即日逮捕

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ゴーン会長の任意同行と並行して、特捜部は日産本社、ゴーン会長の東京で滞在するマンションの家宅捜査も行なわれている。また側近のグレッグ・ケリー代表取締役も逮捕された。逮捕の理由は「金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)」だ。こうした容疑で即日逮捕に至るのは異例だ。


そして同日の18時40分に日産は緊急プレスリリースを発信した。プレスリリースの内容は以下の通りだ。
「日産自動車株式会社は、内部通報を受けて、数か月間にわたり、当社代表取締役会長カルロス・ゴーン及び代表取締役グレッグ・ケリーを巡る不正行為について内部調査を行ってまいりました。その結果、両名は、開示されるカルロス・ゴーンの報酬額を少なくするため、長年にわたり、実際の報酬額よりも減額した金額を有価証券報告書に記載していたことが判明いたしました。
そのほか、カルロス・ゴーンについては、当社の資金を私的に支出するなどの複数の重大な不正行為が認められ、グレッグ・ケリーがそれらに深く関与していることも判明しております。
当社は、これまで検察当局に情報を提供するとともに、当局の捜査に全面的に協力してまいりましたし、引き続き今後も協力してまいる所存です。
内部調査によって判明した重大な不正行為は、明らかに両名の取締役としての善管注意義務に違反するものでありますので、最高経営責任者において、カルロス・ゴーンの会長及び代表取締役の職を速やかに解くことを取締役会に提案いたします。また、グレッグ・ケリーについても、同様に、代表取締役の職を解くことを提案いたします」


このプレスリリースからわかるように、日産は内部通報を得て、数人という極秘チームで内部調査を行ない、専門家の評価を受けて検察当局に情報を提供し、特捜部が動いたという構図になる。しかし、「金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)」という容疑は、取締役会のゴーン会長、同じく取締役会のNo.2であるグレッグ・ケリー取締役CEOのみが責任を負うのは不自然で、社長兼最高経営責任者の西川(さいかわ)廣人CEOや他の取締役などいわゆる経営陣が連帯した責任を負うと見るのが一般的だが、検察当局に情報を提供したことでの司法取引があったと考えられる。

西川CEOの緊急記者会見

そして、同日の夜10時から日産本社で西川CEOによる緊急記者会見が開かれた。西川CEOによれば、ゴーン会長、ケリー取締役は内部調査により、役員報酬の有価証券報告書過少記載、投資資金の不正な流用、経費の不正な使用の3種類の不正行為があったという。役員報酬の有価証券報告書過少記載とは、実際の役員報酬より安い(公表)金額を記載したということで、実際はより多くの報酬を得ていたということだ。ただ、この有価証券報告書は当然ながら取締役会で承認されていたはずだ。


投資資金の不正な流用と経費の不正な使用は、一般的な考えでは背任罪に相当するはずだが、現時点では特捜部は捜査中で、西川CEOも捜査中であることを理由に、その不正の理由や不正手法、日産の経理部門の対応などには一切触れることはなかった。ただ、今後はそうした事実が確定すれば、損害に対する賠償請求なども考慮するという。

また、この内部通報を受けるまで西川CEOを始め取締役は全くこうした不正に気づかなかったという。その原因は、ゴーン会長による個人への権力の集中という体制が築かれ、社内ガバナンスが機能しなかったとしている。

今から思えば、2005年からゴーン氏は日産のCEO、ルノーCEOを兼任することになり、その時期から次第にゴーン会長による個人統治、権力の集中が始まり、近年は実務から遠ざかり、側近からのレポートに頼るような現状になっていたと西川CEOは語っている。

つまり、ゴーン体制のもとで少人数によって不正が行なわれ、他の取締役などの経営陣は実態を把握できなかったのだ。内部調査の結果を弁護士などと相談し、ゴーン会長、ケリー代表取締役の解任を行なう必要があると判断し、11月22日に緊急取締役会を開催し、両名の解任決議を行なう予定となっている。

西川CEOは、今後の社内統治は少数の人間に権力を集中させないシステムにすること、ルノー、日産、三菱のアライアンスはこれまでと同様に緊密に連携しながら展開を行なうと語っている。日産ではカリスマであり絶対的な唯一の権力者であるゴーン会長の影響力は今回で一掃される。西川CEOはあくまでも不正行為に対して対応するだけだと語っているが、一種のクーデターという見方もできなくはない。

今回のゴーン会長による不正問題と、どのように関連があるのかまだ不明で、エビデンス(証拠)は存在しないものの、日産は11月11日に国税庁により2017年3月期のタックスヘイブン(租税回避地:英領バミューダ諸島)に保有する子会社を巡って200億円強の申告漏れを指摘されている。申告漏れによる追徴課税は約50億円だ。この200億円は自動車ローンのための保険料の支払いといわれているが、その実態が不明で、金額的には今回のゴーン会長の不正問題と近似している。この辺りは今後しだいに明らかになるのを待つ他はない。

カリスマの終焉?

ブラジル出身のレバノン人で、フランスで国立高等鉱業学校を卒業し工学博士となったカルロス・ゴーン氏は、ミシュランの上席副社長を経て、1996年に当時のルノーのルイ・シュバイツァー会長にスカウトされ上席副社長に就任。1999年に経営危機に陥った日産にルノーが出資したため、日産COOに就任し、日産リバイバル・プランを策定し、主導することで2003年までの4年間で2兆1000億円の有利子負債を返済し、日産のV字回復を実現した。

ミシュランの経営体質の改革、ルノーでの業績の立て直し、そして日産の奇跡とも言えるV字回復を成し遂げ、ゴーン氏は世界が認めるカリスマ経営者となった。日産ではその後、最高経営者兼会長のCEOに就任し、ルノーでも取締役会長兼CEO、2社アライアンスのCEOにも就任している。さらに2016年の日産の出資により三菱自動車がアライアンスに加わると、益子CEOを継続任用し、コーン氏は会長に就任した。この結果、2017年からは日産では西川廣人氏が代表取締役社長兼CEOとなり、ゴーン氏は取締役会会長となっている。


ルノーでは2018年に取締役会長兼CEOの任期を終え、退任すると予想されたが、結局、CEOに再選されている。
ただ、フランスはマクロン大統領が就任した結果、ルノーの株式を持つフランス政府はルノーが議決権を行使して日産を吸収合併することを求める声が大きくなっているが、ゴーンCEOはこれまでのアライアンスを維持する政策を主張している。いずれにしても、ゴーンCEOはルノーにおける任期は長くないと考え、No2の座に、ティエリー・ボロレCOOを選んでいる。ボロレCOOはミシュランの出身で、その後フランスの大手サプライヤーのフォルシア社を経て2012年にルノーのCCO(チーフコンペティティブ・オフィサー)としてルノーのクルマづくりの指揮を取り、商品力の高いクルマの開発を行なうなど業績を上げ、COOに昇進している。


日産は11月22日に緊急取締会を開いてゴーン、ケリー両名の解任を行なうが、ルノーも11月19日にプレスリリースを発表し、緊急取締役会を開き、今後の対応の決定することと、新たなCEOを選出するとしている。

そして日産の株式の44%を保有し、日産に対して議決権を持つルノーは、新たな取締役を日産に送り込むのか、それは誰なのか・・・ルノーと日産との関係はまた新たな局面を迎えることになる。

日産 関連情報
日産自動車 公式サイト

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