車内はアメリカンなラグジュアリー
執筆:Matt Prior(マット・プライヤー)
【画像】欧州上陸 ジェネシスGV70とGV80 欧州で競合するSUVと比較 全145枚
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
まったく新しいモデルが登場した。韓国の自動車メーカーが展開する、欧州では新しいブランドからの新しいSUVだ。その名も、ジェネシスGV70。
耳馴染みのない読者へ簡単に説明すると、ジェネシスとはヒュンダイ・グループが手掛ける上級ブランド。トヨタのレクサス、日産のインフィニティに相当すると考えればわかりやすい。
レクサスやインフィニティと同様に、これまでジェネシスが得意としてきた市場は北米。ただし、彼の地では人気のインフィニティだが、欧州では反応が悪く撤退してしまった。
GV70は、Vの文字から想像するとおりSUV。ジェネシスの70にはステーションワゴン・モデルも用意されており、そちらはG70シューティングブレークと名付けられている。
GV70の全長は4715mm、全幅は1910mm、全高は1630mm。英国のスターティング・プライスは4万ポンド(600万円)を僅かに下回る。欧州向けに開発されており、競合車種はアウディQ5やBMW X3、メルセデス・ベンツのGLCなどが該当する。
早速乗り込んでみよう。ドイツの上級ブランドに伍するべく、車内は豪奢に仕立てられている。開発は主に欧州で進められたクルマだが、アメリカ的なラグジュアリーさが漂う。
運転席からインテリアを観察すると、プラスティック製だと明確にわかる部品は殆どない。ダッシュボードには、サテン仕上げの金属フレームが楕円を描くように配される。ヒーターや間接照明の操作系などが、黒いプラスティックのようだ。
それ以外は、上質なレザーで覆われている。カラーはグレーがブラウンから選べる。
大きなモニターとローレット加工の金属
ダッシュボードの楕円は、ステアリングホイールにも展開される。1970年代の、大胆なコンセプトカーのインテリアを思い出してしまった。
クッションのように大きいパッドの中央に、ジェネシスのゴロマークがあしらわれる。中央の盾形から、翼が伸びている。ロゴはクライスラーのものにも似ている。
ヒュンダイのSUV、ツーソンのように、エアコンの送風口はダッシュボード上部を左右に貫く。そのラインはフロントドアを横断し、リアドアまで伸びている。送風口は、上下へ分断するように、サテン仕上げのメタルトリムで彩られる。
ウッドパネルはない。ドアパネルは、グラフのようなグラフィックで装飾されていた。
中央のタッチモニターは15.4インチと大きく、解像度も精細で高機能。センターコンソールには、ロータリー式のギアセレクターと、インフォテインメント用モニターを操作するロータリーダイヤルが付く。その中央には、タッチパッドが組み込まれている。
ただし、運転中の操作には向いていなさそうだ。ギアセレクターと場所が近く、間違って触れやすいように感じた。慣れの問題かもしれない。
ステアリングコラムから伸びるレバーの先端は、繊細なローレット加工が施された金属で飾られる。動きはとても滑らかで、ドイツ・ブランドのものとは異なったタッチだ。これはこれでラグジュアリーさが伝わってきて、悪くない。
当初は2.5Lのガソリンと2.2Lのディーゼル
フロントシート側の頭上空間は充分。リアシート側も、足元も頭上もゆとりがある。テールゲートは電動。リアシートは、開口部寄りに配されたレバーを引いて折り畳むことができる。
荷室容量は542L。荷室のフロア下にも空間があり、カーゴネットなどをしまえる。
運転姿勢は乗用車ライク。オフローダーのように、着座位置が高いとは感じられない。ドライブモードには、テレインと四輪駆動が用意されているが。
シート高だけでなく、座面を傾けたり、太もも側の座面長を調整することも可能。ステアリングホイールは、もう少し手前に引き寄せられれば尚良い。楕円の装飾の付くスポークは太く、ちょうど握りたいと思う場所でリムを支えている。
運転環境としては、充分に良好。メーター用モニターには、死角を映すカメラ映像を表示することもできる。いいアイデアだ。
英国へ当初導入されるGV70に載るエンジンは、2.5Lの4気筒ガソリンターボか、2.2Lの4気筒ディーゼルターボ。今回試乗したのはディーゼルの方だった。カタログ上ではCO2の排出量は189g/km。燃費は14.2km/Lがうたわれる。
このエンジンは最高出力210ps、最大トルク44.8kg-mを発揮し、GV70を不満なく走らせる。アイドリングは静かで、気張ることなく滑らかに発進。ノイズも静かで、8速ATがしずしずと変速を続ける。
ステアリングホイールにはシフトパドルが付く。数秒間利用しないと、自動的にドライブへ切り替わるようだ。停止時にブレーキを自動でかけてくれる、オートホールド・ボタンもある。
静かで安楽な走りと乗り心地
アクセルペダルを踏み込むと、8速ATは速やかに数段シフトダウン。それでもエンジンノイズはハミング程度。車重は2010kgあるが、0-100km/h加速は7.9秒とまずまず速い。
だが、ディーゼルエンジンの本分は急加速ではない。適切なギアを手早く選び、静かで安楽な走りを続けるのが良い。
乗り心地もジェントル。ボディの動きはしっかり抑制できていて、ベースに硬さはあるものの、隆起部分を超えてもボディの平穏は保たれる。だが、表面の波打ちは伝わってくる。路肩のはみ出し防止用の凹凸を通過すると、その存在を隠さない。
左右で異なる入力がタイヤへ伝わるようなうねった路面でも、ボディの揺れは最小限。コーナリング時や加減速時でも、ロールやピッチを抑え込んでくれている。
ステアリングホイールは、このクラスとしては重め。メルセデス・ベンツの感触に近いと感じた。ボンネットは長いが、左右のエッジが視線に入り車幅感覚は掴みやすい。
試乗車は四輪駆動だったが、シャシー設定は後輪駆動側に振ってある。コーナーからの脱出時、ステアリングホイールの操舵感や感触はほぼ変化せず、重めの感触が滑らかでリニア。まとまりが良く、トルクステアもほぼない。
歓迎できる新ブランドの新モデル
GV70のドライビング体験には、ソリッドな重厚感がある。淡白な印象で、後輪駆動の特性を匂わせるものの、俊敏に操ろうという気にはならない。車重が2tもあるから、当然ではあるが。
走行中の車内はとても静か。ロードノイズや風切り音は小さくないはずだが、乗員にはほとんど聞こえてこない。高速走行時でもタイヤからのノイズが遮断され、気流が作るハミングへ気づく程度だ。
ジェネシスGV70には、強く関心を抱かせられた。ドライビング体験はメルセデス・ベンツのSUVに通じるところがある。他のモデルとも違っていて、快適な移動手段として歓迎したいという気持ちになる。
スリリングさはないが、中型のSUVとしては目的を外すモノではない。パワーを掛けても破綻しないハンドリングは備えているし、コーナリング時の姿勢も自然で評価できる。車内はとても静かでもある。
パワートレインのラインナップは、拡充する必要があるだろう。だが、アメリカンな上級さを感じさせるSUVとして、ジェネシスGV70の印象は良い。新たな競合モデルが出現した。ようこそ、英国へ。
ジェネシスGV70 2.2D ラグジュアリーライン AWD (英国仕様)のスペック
価格:4万2820ポンド(642万円)
全長:4715mm
全幅:1910mm
全高:1630mm
最高速度:214km/h
0-100km/h加速:7.9秒
燃費:13.5-14.2km/L
CO2排出量:189g/km
車両重量:2010kg
パワートレイン:直列4気筒2151ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:210ps/3800rpm
最大トルク:44.8kg-m/1750rpm
ギアボックス:8速オートマティック
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みんなのコメント
燃えるかコケるかしか能がないメーカーの車など誰が欲するのだろうか
ハンドル軽くてフラフラな上に交差点曲がるだけでタイヤが鳴いてたよ?