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目下の究極 ベントレー・コンチネンタルGT W12 マリナーへ試乗 660psへ増強

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目下の究極 ベントレー・コンチネンタルGT W12 マリナーへ試乗 660psへ増強

コンチネンタルGTの頂点 W12 マリナー

ベントレー・コンチネンタルGTシリーズは、最近ラインナップが見直された。グレードによる違いは正直わかりにくいが、フラッグシップのW12 マリナーは別格。ホイール1本とっても、極めて特別だとひと目でわかる。

【画像】目下の究極 ベントレー・コンチネンタルGT W12 マリナー 競合モデルと写真で比較 全158枚

丁寧に塗装され、丹念に磨き込まれた22インチのアイテムは、コンチネンタルGTの頂点に位置するモデルしか履くことが許されない。目が眩むほどの輝きを放つ、ダブルダイヤモンド仕上げのフロントグリルも専用品。それ以外とは、顔つきが明らかに違う。

後ろに回れば、マフラーカッターの本数や直径で主張する。楕円形の4本出しなら、ポルシェ由来の4.0L V型8気筒ツインターボを積むことを示す。最高出力は550psを誇り、グランドツアラーに不足ないパフォーマンスを与えている。

ちなみに、そのエントリー・ユニットを積んでいても、コンチネンタルGTはお高い。マリナー仕様なら、22万8155ポンド(約3673万円)の英国価格が付けられている。

マフラーの数が極太で左右1本ずつなら、ボンネット内には6.0LのW型12気筒ツインターボが載っていることを表している。これは史上最高傑作の1基だろう。

これまで、W12エンジンのコンチネンタルGT マリナーは、最高出力が635psだった。サスペンションはエアスプリングが標準で、ドライビング体験の豊かさも重要なテーマではあったが、最も重視されていたのはラグジュアリーさといえた。

最上級として、装飾には徹底的にこだわられてきた。ロールス・ロイス・レイスと比較される、豪華なクーペとして。

660psまで増強 スピードに準じるシャシー

しかし、2023年に方向性が見直された。新しいコンチネンタルGT W12 マリナーが搭載する6.0L W12エンジンは、660psまで最高出力を向上。シャシーも、ドラマチックな走りを意識したW12 スピードに準じる内容が施されている。

パワーアップしたのは25psだから、ロータス・エキシージ2台ぶんの車重があるクーペには殆ど影響ない範囲といえる。しかし、シャシー側の変化は大きい。

W12 スピードに準じるということは、新しいトルクベクタリング機能付きのリミテッドスリップ・デフと、アクティブ・アンチロールバーなどを獲得したことを意味する。リムジンの、フライングスパー譲りとなる後輪操舵システムも採用する。

郊外の道を最も意欲的に走るコンチネンタルGTといえば、スピードだ。だが、贅沢極まりないマリナーも同等の足腰を得たことになる。

期待通り、コンチネンタルGT W12 マリナーは全能といえる高みにある。確実に先を急げつつ、まったく落ち着きを失わない。別の撮影も兼ねて、今回はテストコースにも持ち込んだ。本域での走りっぷりには、感服せざるを得なかった。

長い直線のスタート地点から右足を深く倒すと、7.5秒後には160km/hを超える。そのさなか、ふんだんなステッチが施されたレザーと、表面に細工が施されたアルミニウム、二重ガラスに包まれた車内は殆ど無音を保つ。

この加速力は、最新のポルシェ911 GT3 RSより鋭い。宮殿のように上質なインテリアを備えていながら。にわかには信じがたいが、計測機械は嘘をつかない。

嵐のように流れる景色 平然とした車内

超高級な素材を惜しみなく用いた内装と、レーシングカー級の瞬発力の両立は、簡単に叶えられるものではない。コンチネンタルGTが現在の量産モデルで最高の1台であり、W12 マリナーが最高のコンチネンタルGTだということを、証明している。

91.6kg-mもの最大トルクは、1500rpmから5000rpmの回転域で生み出される。有能な8速デュアルクラッチATが、途切れることなくシフトアップを繰り返し、4本のタイヤへ漏れなく伝える。景色は嵐のように流れるが、ドライバーは平然としていられる。

ベントレーは、最高速度を控えめに334km/hだと主張する。とはいえ、広大なテストコースなら350km/hは出るだろう。ティアラのようなフロントグリルで着飾っていても。

W12 スピード譲りのシャシーを得たといっても、ドライビング体験が一変したわけではない。大きなボディに軽くない車重であることに変わりはなく、本当の充足感に浸れるとはいえない。本域の8割位までが気持ちいい。

ステアリングホイールには自然な重み付けがあり、レシオも適正。アクセルペダルを中ほどまで倒した状態で、直感的に操れる。アクセルレスポンスは想像以上にシャープだ。

低速域では、8速ATが変速を悩むような場面もある。だが、速度域が上がるとキビキビと仕事をこなす。ドライブモードを引き上げれば、シフトアップの度に豊かな排気音が放たれる。

現在の究極のコンチネンタルGT

乗り心地も素晴らしい。ベストバランスのベントレー・モードを選ぶと、グレートブリテン島の一般道へ最適化されたかのように、流暢に路面を処理する。アスファルトと息を合わせ、ボディはフラットに保たれる。車重も忘れさせる。

ドライバーがその気になってカーブへ攻め込めば、滑らかなテールスライドも披露する。ストレートに戻れば、何事もなかったかのように姿勢を整え、驚異的なトラクションで突進し始める。

W12 マリナーは、完璧といえるだろうか。プラスティック製のシフトパドルや、アンドロイド・オートへ非対応のインフォテインメント・システムは、英国で25万8000ポンド(約4153万円)という価格には相容れないものかもしれない。

V8エンジンのコンチネンタルGTの方が、遥かに安価なことは事実だ。インテリアは充分高級に仕立てられているし、同等に心地良いドライビング体験を享受できる。

フェラーリ812スーパーファストと同等の価格だということにも、触れておきたい。長距離での快適性では劣るとしても、白眉のV型12気筒エンジンが載っている。

とはいえ、現在の最高が組み合わされた究極のコンチネンタルGTだといっていい。少なくとも、今のところは。

ベントレーの主任技術者、マティアス・ラーベ氏は、限定生産のバカラルに並ぶ740psまで、コンチネンタルGTが増強される可能性をほのめかしている。スーパースポーツ仕様として、不満ないパワーが宿るようだ。

ベントレー・コンチネンタルGT W12 マリナー(英国仕様)のスペック

英国価格:28万2360ポンド(約4546万円/試乗車)
全長:4850mm
全幅:1964mm
全高:1399mm
最高速度:334km/h
0-100km/h加速:3.6秒
燃費:7.3km/L
CO2排出量:311g/km
車両重量:2273kg
パワートレイン:W型12気筒5950ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:660ps/5000-6000rpm
最大トルク:91.6kg-m/1500-5000rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック

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みんなのコメント

4件
  • ベントレーはベンツやBMWの様に
    アホみたいなギラギラツートンや無駄デカアホグリルは
    採用しないのかな?
  • 良いなぁ。
    ベントレーは伝統とアイデンティティを守り続け
    しかもカッコイイ。
    マイバッハやロールスロイスが中華系に見えるぐらいの差を感じる。
    ベンツベースぼマイバッハとビーエムのフラッグシップと共有してるロールスだから、中華の影響は結構あるんかな?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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