人気のN-ONE、2トーンボディカラーのみルーフ部は一台一台手作業で塗装するという。ちょっと意外! 作業する側は大変だろうが、ユーザーにとっては丁寧な“手仕事”を感じられ、嬉しいんじゃないだろうか。
とかく機械化されロボットも導入されているモノ作りの現場だが、人の手が及ばないとできない部分が今でも意外とある。クルマ界の「なるほど、ここは手作業で完成するんだ」という部分を探る。(本稿は「ベストカー」2013年1月10日号に掲載した記事の再録版となります)
竹製のステアリングホイールってマジか 初代N-ONE レクサスLS&GS レガシィ ベントレー……古き良きクルマ作り手作業の系譜
TEXT:編集部
■竹と木を使った“伝統工芸”の仕立て。レクサスGS&レクサスLS
レクサスGSの竹ステアリングホイール
人の手がかかる、ということはそれだけ時間とお金が費やされるわけだ。そういう意味では高級車の世界には“手仕事”が多く見られる。
なかでも「こりゃ、匠の技だ」と思わせるのが現行レクサスGSの「竹ステアリングホイール」。上写真のとおりステアリングホイールの部分が竹製なのだ!
オプション設定だが、高知県の猟銃製造で知られるミロクという会社が担当し、丸太の竹の切り出しから加工、細くなった11本の竹の結束までを一部機械を使うが基本的に手で仕上げる。驚くのが、その結束した11本の竹をグッと曲げながら削るのも人が行なう。その後、手で磨いて仕上げていく、まさにクラフトマンシップだ。
さらに10月にマイナーチェンジ(メジャーチェンジとも)となったレクサスLSは、その竹ステアリングに加え、木材を使った「縞杢(しまもく)ステアリングホイール」がオプション設定されている。
山形県の老舗家具会社、「天童木工」など3社がかかわり、圧縮した木材をスライスし、そこに現われた縞模様を生かしてステアリングホイールを専門職人が作るという。
なんと67の工程を経て、約38日かけて「縞杢ステアリングホイール」は完成。合板から生まれる絶妙な木目の雰囲気がLSにお似合い。
そのほか、LSには職人の手でクリアに磨き上げられた亜鉛製サイドウィンドウモールや、インパネの革部分の巻き付けと裁断など、人が作業する部分がけっこうある。
手仕事が多いと、クルマの質感が増すということは事実といえそうだ。
ウインドウまわりが「サイドウィンドウモール」
■張り具合を見ながらタワーバーを取り付ける、スバル STIレガシィts
工場のラインに乗せないでチューニングするSTIのtsシリーズ。
300台限定スタートで現在販売中はレガシィtsになるが、リアサスリンクや4本出しスポーツマフラーなどチューニング部分は手作業で行なうわけだが、フレキシブルタワーバー、これがちょっと特別。
このタワーバーを取り付けるのにテンションのかかり具合をチェックしながら設置する、という職人ワザがキモになるという。
また、シートの赤色のステッチなども手作業で、こういう部分に所有の満足感がある。
■2トーンのみルーフは1台ずつ手作業で塗装 ホンダ N-ONE
ホンダ N-ONE。2トーンボディカラーのオプションは7万8750円~。基本的に2人ひと組で手塗り作業を行ない、ベテランと若手が組む場合が多いという
N-ONEに限らず、クルマの塗装は通常、専用ロボットが自動で塗る。が、そのN-ONEの2トーンボディカラーのみルーフ部は手塗りで行なうそうだ。気温や湿度に応じて調合した塗料で一台ずつ人の手で仕上げていく。なんだか感動的だ。
でも、なぜ手塗りなのか? 一度ベース色を全体に塗ることから始め、その後、テープとシートを使ったマスキング(保護)作業を行なう。機械でもできなくはないが、人が行なったほうが厳密な作業ができる。
そして、その流れでルーフの塗装の吹きつけに入るが、現時点では人がやったほうが確実で丁寧で細かい仕上げになるので、手作業に。なお、2トーンの販売比率は約25%で最初の受注数1万5000台の場合、3750台が2トーンになる。手仕事を受けたN-ONEが続々と走り出している。
■意外! タイヤ作りの一番重要な部分に人の手が関わっていた
一般的なイメージとして、タイヤは溶かしたゴム原料を機械でもって成型する……という感じだが、この「成型工程」が実は手作業ということがブリヂストンへの取材でわかった。
タイヤ作りの工程を簡単に説明すると次のとおり。
01)合成ゴムや天然ゴム、カーボンブラックなどの原料を混ぜ、トレッド部とサイド部を作る。
02)ナイロンなどの原糸でコードを作る。
03)ゴムを圧縮してスチールベルトを作る。
04)ワイヤーでリング状のものを作る。
以上の01)~04)で部材が揃ったわけだが、それらの各部材を、大きなドラムのようなものを使ってタイヤの形に貼り付ける「成型工程」、この工程が人の手がないとできないという部分。
機具を使うが、人の感覚が必要なのだ。こうして“生タイヤ”ができていく。ブリヂストンの彦根工場では最大で1日約4万6000本の乗用車用タイヤができるが、すべて人間を通して完成する。すばらしい!
■なんと車種別にチューン! 音にこだわるカーナビを手仕事で仕上げる「Tuned by Alpine」
これは「ビッグX EXシリーズ」
アルパインのカーナビ「ビッグX EXシリーズ」(約19万8000円)と、「VIE-X007Wシリーズ」(約13万8000円。
いずれも予想実勢価格)が10月に発表されたが、これらがタダ者じゃないところは、音にこだわり、車種別専用に対応した人の手によるチューニングを“音のマイスター”が施してあるところ。
プリウス、プリウスα、ヴェルファイア、フィット、ムーヴなど45車種別に最適な音を出すためにチューニングされているのだ。なんという手間暇のかけかた!
広報担当者はこう熱く話す。
「車種専用セッティングとよく耳にするけど、それだけでは本物じゃないと思います。音のデータベースをもとに、“人間の手、耳”を通じて仕上げていくのがこのシリーズ。音楽といってもクラシック、ロックとジャンルによる聴こえ方が違う。そういう部分を含め、音のマイスターが総合的に車種別に細かく音響をチューニングするわけです」
デジタル商品ではあるが、人の感性を大事にする点が凄い。
ヴェルファイアの隣で人の手により丁寧にチューニング
■手で縫って、削る。超高級車の世界をのぞいてみた。[ベントレーの場合]
フラッグシップのミュルザンヌ。価格は3380万円から
超高級輸入車の手仕事の世界はどうなんだ、とベントレーに取材してみたら、まさに“手仕事の宝の山”状態。広報担当はこう話す。
「ミュルザンヌ、コンチネンタルGTなど、ほとんどのモデルが手作業で作られる部分が多いです。シートや車内パネル向けなどの本革や木材などの選別、加工、組み付けまでを手作業でやっていますね。工場に入ると、生地を縫うためのミシンが60台ほど並んでいたりして、一見クルマの工場には見えないエリアもあります(笑)」
例えば本革、各モデルで平均400ピースも使われており、専門職人がいるという。縫製に携わる熟練職人は24名おり、左上写真のように手縫いでステアリングに本革を貼り付けていくのもお手の物。
また、内装の木目担当には職人が80人おり、ウッドパネルの磨きなども手作業で行なうそうだ。ベントレーは想像以上に手仕事が盛り込まれている!
このステアリングを含め、ステッチを入れるのも手縫いだ。職人ワザが光る
(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
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ボルトの締め付けトルクも記録してあるとか。