ルノーの新型SUV「アルカナ」は、ハイブリッドのパワートレーンにR.S.(ルノースポール)ラインの内外装をまとったユニークなモデル。そのメカニズムを解説しながら、走りっぷりを紹介しよう。
ハイブリッドに日産の「eーPOWER」を使わなかった理由は?
まずは、ルノー独自のハイブリッドシステム「E-TECH HYBRID(Eテック ハイブリッド)」から説明しよう。走りを理解する上でも、重要なポイントとなるからだ。
ルノー キャプチャー×プジョー 2008×ボルボ XC40を乗り比べてわかったコンパクトSUVのトレンド
ルノーは日産とアライアンスを組んでいるから、日産のパワートレーンを使うことができる。ならば、日産のハイブリッド「eパワー(e-POWER)」を使えば良いのにと思ったのだが、なぜルノーはオリジナルのハイブリッドにこだわったのだろうか?
ルノー・ジャポンの担当者は「将来、市場がすべてEVになるかもしれませんが、その間を埋めるものとしてハイブリッドが必要だと考えています。ですが、100km/h以上の高速域を日常的に使う欧州では、高速域が苦手なeパワーは適さないのです。また、アクセル操作にダイレクトに反応するフィーリングも求められます」と説明する。
具体的に言えば、現在のディーゼルエンジンの代替としてのパワートレーンが必要とされている。それにはeパワーでは物足りない。それを上回るものとして「Eテック ハイブリッド」が開発されたというのだ。
Eテック ハイブリッドの構成は、1.6Lの自然吸気ガソリンエンジン(最高出力94ps/最大トルク148Nm)に、駆動用モーター(49ps/205Nm)とHSGと呼ばれるハイボルテージ スターター&ジェネレーター(20ps/50Nm)という2つのモーターをドッグクラッチマルチモードATでつなげるというものだ。変速機はエンジン側に4速、モーター側に2速あり、12通りの組み合わせができる。具体的には、2速と4速を掛け合わせた8速に、2速と4速を独立して使う6速をプラスする。合計では14速になるが、同じギヤ比のものが2つあるため、使えるのは12通りになる。
ドッグクラッチは、モータースポーツではよく使われており、効率は良いのだが、言わばシンクロ機能のないマニュアルミッションのようなものなので、変速ショックが大きいという弱点がある。そこで、Eテック ハイブリッドでは、HSGでエンジンの回転数を、駆動用モーターで車軸側の回転数を調整して、各ギヤの回転差を吸収してしまうというのだ。回転差がなくなればシンクロなしでもスムーズに、そしてロスなく変速ができる。これはきわめて斬新な手法と言えるだろう。
シームレスでエレガントな走りは、フランス車らしい
システムの概要を把握したところで、まずは乗ってみることにしよう。その前に、停車中のクルマの姿をチェックする。アルカナのスタイリングは、いわゆるクーペSUVなのだが、クルマの上半分だけを見ると、ほとんど4ドアクーペのように見える。200mmの高い最低地上高と、18インチの大径タイヤがSUVであることを主張する。
真横から見ると上下に薄いのにタイヤが妙に大きく感じる、相当に攻めたスタイルだ。それでいながら室内空間は窮屈ではなく、リアシートもヘッドスペースは、身長170cmの筆者には十分。また、R.S.ラインのインテリアはレザーがふんだんに使われており、スポーティかつ高級感がある。
さて、走り出してみると、その加速のスムーズさに驚いた。変速の息継ぎやショックがまったくなく、まるでEVのようにシームレスに速度を上げていく。また、インジケーターを表示すると、走行中は頻繁にエンジンとモーター駆動を使い分けていることが分かる。しかし、エンジン始動時に大きな振動はないし、加速感の変化もない。アクセルを踏んだだけ、どの動力源を使おうと、同じように加速する。しかも、アクセル操作に非常にダイレクトであることも特徴的だ。
インジケーターを見ないと、どのように変速しているのかはほとんど分からないのだが、唯一、新東名の120km/h区間を走行したときに、120km/hでのシフトアップが確認できた。ショックや加速力の変化ではなく、エンジン音の大きさが変わったのだ。それでも100km/hを超えたところでも加速力に変化はない。高速域を求めて、eパワーではなく、オリジナルのハイブリッドを手掛けたことが理解できた。
単純な速さではなく、アルカナとの対話を楽しみたい
もっとも、スムーズではあるけれど、ものすごく速いわけではないのも特徴だ。1.6Lエンジンの最高出力は94ps、モーターは36kw(49ps)。システム総合出力は発表されていないが、ふたつ合わせても150ps程度だ。パワーではなく、スムーズさとダイレクト感、そしてWLTCモードで22.8km/Lという好燃費を求めたパワートレーンなのだ。
ハンドリングと乗り味も独特。フラットライド感が強く、スムーズにハンドルを切った方に曲がってゆく。タイヤのグリップ力でグイグイ曲がるのではなく、しなやかな身のこなしで軽やかにコーナーを抜けてゆく。フランス車らしい、エレガントな走りだ。
スタイルとインテリアを見ると、ビュンビュン飛ばしたくなるような気になるけれど、これはあくまでもSUVのエコカー。目を三角にして飛ばすのではなく、アクセルペダルやハンドル操作に、スムーズかつダイレクトに応じてくれるクルマとの対話を楽しむクルマではないだろうか。(文:鈴木ケンイチ/写真:Webモーターマガジン編集部)
■ルノー アルカナ R.S. ライン E-テック ハイブリッド 主要諸元
●全長×全幅×全高:4570×1820×1580mm
●ホイールベース:2720mm
●車両重量:1470kg
●エンジン:直4 DOHC+モーター×2
●総排気量:1597cc
●最高出力:69kW(94ps)/5600rpm
●最大トルク:148Nm/3600rpm
●モーター(1)最高出力:36kW(49ps)/1677-6000rpm
●モーター(2)最高出力:15kW(20ps)/2865-10000rpm
●モーター(1)最大トルク:205Nm/200-1677rpm
●モーター(2)最大トルク:50Nm/200-2865rpm
●トランスミッション:4速AT(エンジン側)+2速AT(モーター側)
●駆動方式:FWD
●燃料・タンク容量:プレミアム・50L
●WLTCモード燃費:22.8km/L
●タイヤサイズ:215/55R18
●車両価格(税込):429万円
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みんなのコメント
ホンダがフィット3ハイブリッドを出した時に6速デュアルクラッチミッションとモーターを組み合わせてリコールがたくさん出た時を思い出すね。
上手く機能すれば、これはかなり面白いと思うよ。