EVの航続距離が延び、充電施設も続々と増えている今日ですが、未だにEVってなにかしら不安があったりするのも事実。漠然と環境によく、乗り味もよくというのはわかるけど、実用性や耐久性についての不安があってEVを選びにくいという人も多いはず。そんな皆さんの疑問や不安を払拭する記事をお送りします。読んで損はナシの記事ですので、ブックマークをしておくと便利かも!?
文:ベストカー編集部/写真:日産
ベストカー2017年11月10日号「EV界の近未来」
■電費、充電、バッテリー劣化……いろいろ迫ります!!
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【1.EVの実際の走行距離っていったいどれくらい?】
自動車評論家にして日本EVクラブの代表を務める舘内端氏によると、「JC08モードで発表されている数値の8割くらいを考えておけば、だいたい問題ない。これはどの車種でも同じだね。まあ、走り方と暖房の使い方にもよるけどね。ハデな加速を繰り返したり、暖房をバンバン使ったりすると、航続可能距離は短くなる。でもEVはエンジン車よりは簡単にJC08モードの数値に近づけられるよ」とのこと。JC08モード航続可能距離×80%と覚えておこう。
(編集部註/新型日産リーフの航続可能距離はJC08モードで400km。これの80%というと320km。比較的近郊の通勤や週末の買い物ユースならこれで充分だが、ロングドライブや旅行に使うことを考えると、出先の充電施設を確認しておいたほうがよさそう)
【2.自宅に急速充電器を設置するといくらかかる?】
ディーラーやSA/PAなどでしか見かけない急速充電器。確かに自宅にあったら便利そうだけど……。これは一般社団法人次世代自動車振興センターに話を聞いた。「電気設備的に現実的ではないと思います。出力50kWなどという電力を供給できる設備は、大規模な施設にしかありません。一般の家庭だとだいたい5kWくらいの容量ですから……」─可能性はゼロなのだろうか。
「う~ん、単相200V入力の小さなものなら可能性もなくはないでしょうが、電気会社との契約電力もかなり大きなものにしないといけないので、毎月の電気代は相当高くなるんじゃないでしょうか。一般の使用なら、200Vの普通充電で充分ですよ」とのこと。
ちなみにそれでも設置を、という人のためにお教えすると、急速充電器本体の価格は150万円くらいからあって、200万~250万円クラスのものが多いもよう。……やっぱり現実的じゃないね。
【3.冬場と夏場、どちらが電費が悪くなる?】
乾電池などは冬になると途端に寿命が短くなるが、果たしてEVのバッテリーもそうなのだろうか? 再び舘内端氏に話を聞いた。「EVのバッテリーも冬のほうがキツイことはキツイね。暖房は冷房に比べて電気を食うから。でも最近はバッテリーがどんどんよくなってきてるし、外気を取り込んでその空気を圧縮することで高温にするヒートポンプ式エアコン(新型リーフのX以上に標準)なんてのもあるから、昔に比べたら、そんなに電気を食わなくなったよ。昔みたいに冬場はJC08モード数値の半分くらいしか走りません、なんてことはなくなった」とのこと。
最近のEVであれば、先述のように夏でも冬でもJC08モード数値の8割は走るそうだ。
【4."V2H"とか"V2G"っていったいなに?】
V2Hは"Vehicle to Home"の意味で、太陽電池などの自家発電装置とEVを接続することで、EVへの充電のみならず、逆にEVのバッテリーを家庭用電源として使えるシステムのこと。V2Gは"Vehicle to Grid"を意味し、EVをスマートグリッドに接続することで、EVのバッテリーを配電網全体の電力として、電力会社が利用するもの。日本のユーザーに関係してくるのは現状V2Hのほうで、すでに日産がリーフで「LEAF to Home」の名称で2012年からシステムを提供している。
自宅への電力供給がEVから可能になった。これが"V2H"である。災害時などに効果が期待される
【5.バッテリーを急速充電すると、そのぶん劣化も早い? 継ぎ足し充電は大丈夫?】
技術が発達し150kWで充電できるようになるけれど、そのぶん劣化も早まるのでは? という不安が浮かんでくる。そこで充電技術に詳しいチャデモ協議会に聞いてみた。「電池の劣化は、充電時に電池が高温になることで早まります。そのためチャデモでは車両側の電池システムの温度監視をしながら、温度上昇時は出力を抑えるなど対策をしています」とのこと。チャデモであれば、急速充電=劣化には繋がらないそうなので、安心して充電しよう。
またバッテリーといえば充電池は、中途半端な残量で継ぎ足し充電をすると電池容量が減少するという話があるが、EVでもそういったことが起こるのか? 舘内端氏にその答えを聞いてみた。「現在のリチウムイオン電池では、心配することはありません。気にせず継ぎ足し充電をしてください」。これはリチウムイオン電池には容量が減少する原因である「メモリー効果」がないことと、電池技術が進歩して電池の劣化速度が遅くなったことが関係しているそうだ。
バッテリーの進化は日進月歩。今後も充電時間の短縮や、より効率化したバッテリーの登場は確実だ
【6.ぶっちゃけ先代リーフはいくらで下取りされる?】
新車で376万4000~406万円もした初代リーフ。新型に乗り換えたいけど、下取り価格はいくら? という人も多いだろう。そこで中古車情報に詳しい萩原文博氏に、その実態を聞いてみた。「中古車業界に聞くと、2011年式の走行距離4万kmという車両で、30~35万円という相場のようです。日産のサイトでは2010年式の最安値が7万円という情報もありますが、走行距離などによる劣化を加味したディーラーの下限だと思います」とのことだった。
【7.EVスタンドの普及でEVは普及する?】
「充電インフラが整っていないからEVは普及しないという説もありますが、ダイレクトには関係ありません」と語るのは、舘内端氏だ。舘内氏によると、電気自動車を利用している人の多くは、基本的には家で充電をしており、外に設置されている急速充電器はたまの遠出で必要になるくらいだという。「1日に運転に割ける時間を考えると、多い人で2時間、少ない人で15分くらいです。で、その時間に平均速度をかけると距離が出ますが、平均すると15~30kmなんです」。
この距離ならば、家で充電すれば充分。充電インフラがなければ、EVが普及しないということはないというのが裏付けられるということだ。
新型リーフが登場から2週間で4000台を販売したことからも、魅力的なEVであれば、今の性能でも普及する可能性があるといえるだろう。
■結局、EVはいつが買い時なのか?(TEXT/国沢光宏)
「EVの買い時はいつなのさ?」と聞かれたら、安価な中古車であれば「今でしょ!」になる。従来型リーフ30kWhモデルの中古車相場は、超驚きの激安160万円程度。現時点の安心して走れる航続距離180kmを持つため、まったく問題なし。10年/10万km走って、150km近い航続距離を残す。経験上、充分です。この時点で捨ててもモト取れる。電気料金はガソリン代の4分の1くらいですから。加えて今なら4年間の日産ディーラーにおける充電料金無料サービス付き! こら買うしかないでしょ!
新車だとどうか? 新型リーフを買おうとすれば400万円コース。こらもうハイブリッド車との価格差を考えたら、勝負にならないほどキビシイ。しかも40kWhタイプだと航続距離短くなり、従来型リーフのごとく、遠からず査定9万円(2011年式、24kWh。日産のウェブサイトによる下取り相場情報)と二束三文になってしまう可能性あり。
電気自動車を安心してすすめられるのは、60kWhくらいの電池積んだモデルがハイブリッド車の30万円高で買えるようになった時。私の怪しい予想だと、最短で5年後くらいだと考えます。
日産は2018年に60kWhのリーフをデビューさせる。生産台数が増えればもっと価格も下がるのだが……
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