バッテリーの容量拡大 現実の航続距離450km
ヒョンデ・アイオニック5の高性能版「N」には、トルクベクタリングや疑似的なマニュアルシフト機能などが実装され、小さくない注目が集まっている。だがその発売と同時に、通常のモデルにも早くもアップデートが施された。
【画像】フェイスリフトの「完璧なレシピ」 ヒョンデ・アイオニック5 近似サイズのEVはコレ 全153枚
駆動用バッテリーの容量は、これまで英国では58kWhか77kWhの2択だったが、63kWhか84kWhへ増量。今回試乗した車両には、その大きな方が搭載されていた。駆動用モーターは車両後方へ1基載り、228psの最高出力を発揮する。
電費は良好で、現実的な平均値で5.3km/kWh。航続距離は569kmが主張され、実際にも450km程度は走れる。エネルギー効率の良いヒートポンプ式エアコンが標準装備になり、冬場でも大幅に距離が短くなることはないだろう。
大きな容量のバッテリーの場合、急速充電も高速になり、最大260kWへ対応。最大350kWが主張される公共の充電器に繋いでみたが、充電量が60%を超えるまでは200kW以上が維持されていた。
100%が近づくほど受け入れる電力は低下するものの、平均値は177kW。同クラスのフォルクスワーゲンのID.4などより、遥かに充電は高速といっていい。
ボディに新色追加 インテリアも僅かに更新
2024年のアップデートでは、ボディカラーとアルミホイールの選択肢を更新。リアスポイラーが大きくなり、リアワイパーも追加されている。全体的なスタイリングに変更はなく、レトロフューチャーな宇宙船のような容姿は、まったく古びていない。
インテリアにも僅かに手が加えられた。2スポークのステアリングホイールと、硬質なままのドアパネルは不評だったということで、3スポークとソフト加工されたアイテムへ改められている。
センターコンソールのデザインも新しくなった。小物入れの実用性は改善。シートヒーター用のボタンも与えられた。
インフォテインメント・システムも、もちろん最新版に。グラフィックとレスポンスが良くなり、アップル・カープレイとアンドロイド・オートにはワイヤレスで対応する。メーター用モニターのグラフィックも、可読性の良いものへ書き換えられている。
キャビン全体の印象は、従来どおり。少し個性的なインテリアデザインといえるが、レイアウトは一般的なもの。後席側の膝前空間には余裕があり、各部の収納にも不足は感じないだろう。
新ダンパーで快適性向上 後輪駆動の好バランス
改良を受けたアイオニック5で公道へ出てみると、新しいダンパーを獲得し、快適性が従来から高められたのがわかる。ヒョンデによれば、ボディには補強材と防音材が追加され、走行時の質感を向上させたとしている。
サスペンションはソフト志向ながら、フワフワと浮いたような感じはない。高速走行でも安定していて、気を許せる。
しかし、連続するカーブを積極的に走らせると、車重を受け止めるのに苦労する様子が伝わってくる。アスファルトが剥がれた穴の衝撃が、タイヤから強く伝わってくる場面も。もう少し設定を煮詰めても良いだろう。
とはいえ、アイオニック5の特徴に慣れれば、カーブが連続する区間を楽しめるようになる。ステアリングホイールは滑らかなフィーリングで、反応は直感的。後輪駆動らしいシャシーのバランスも好ましい。
運転支援システムには、改良の余地があるだろう。アダプティブ・クルーズコントロールや車線維持支援、速度標識認識といった機能は安定性が低いと感じた。後者2項目は、ステアリングホイールのボタンを押せば解除できるとしても。
中期のフェイスリフトの完璧なレシピ
モデル中期のフェイスリフトとして、今回のアイオニック5の内容は完璧なレシピといえる。英国価格はライバルと横並び。判明していた弱みをしっかり改め、明確な強みはそのまま維持されている。
航続距離が伸ばされ、急速充電の速度は向上。インテリアにも変更を受け、ロードマナーも快適性が高められた。「N」の付かないアイオニック5も、このクラスでは最高の1台だといっていい。
ヒョンデ・アイオニック5 84KWH RWD(英国仕様)のスペック
英国価格:4万5900ポンド(約881万円)
全長:4635mm
全幅:1890mm
全高:1605mm
最高速度:183km/h
0-100km/h加速:7.5秒
航続距離:569km
電費:6.2km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1985kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:84.0kWh
急速充電能力:260kW
最高出力:228ps
最大トルク:35.6kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)
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みんなのコメント
BEVの場合、積載する電池は鉛の塊のように重く、それは今の技術ではいかんともし難いボトルネック…
おそらくこのデカい韓国車の車重は2000kgほど(もしかしたらそれ以上に)あるだろう、まるで50年代のアメリカンフルサイズカー並みだ、
当然タイヤも減るし、燃費、いや電費も悪化するし、ボディ全体の経年劣化も早く進む、さらに公共の道路も余計に傷むだろう
そもそも重いBEVの税金はエンジン車よりも高く設定して然るべきではないのかな
アホか!