現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 620psのグランドツアラーで長距離通勤 マクラーレンGT(1) 長期テスト

ここから本文です

620psのグランドツアラーで長距離通勤 マクラーレンGT(1) 長期テスト

掲載 更新
620psのグランドツアラーで長距離通勤 マクラーレンGT(1) 長期テスト

初回 グランドツアラーとしての能力は

長期テストに先立って、2017年のマクラーレンの試乗レポートを振り返ってみた。

【画像】マクラーレンGTを写真でじっくり スーパーカー・シリーズの720 Sも 全84枚

「驚嘆するほど高い公道での能力、乗り心地や操縦性、素晴らしい使い勝手を、クラスを超えたパフォーマンスと両立させています。しかも、これまでに乗ったどのマクラーレンより、サーキットでの限界領域の懐も深い」

まさにこの内容は、優れたグランドツアラーに求められるものだと思う。だが、マクラーレンGTのものを振り返ると、近い意味の文面は見当たらなかった。詳細テストでは720 Sが満点を掴んだが、GTは評価が伸び悩んでいる。

ミドシップ・スーパーカーをベースとしたGTは、毎日の究極のクルマになってくれるだろうか。既にマクラーレンのスーパーカーは、普段使いしやすい。果たしてGTは、さらに親しみやすい存在といえるのだろうか。

今後数か月の間に、その能力を紐解いてみたい。早速、このマクラーレンGTについてご紹介していこう。

GTは、720 Sが採用するモノケージIIとは異なり、モノセルと呼ばれるカーボンファイバー・タブをベースに作られている。反面、4.0L V8エンジンと電動油圧のパワーステアリングは共有している。

最高出力は620ps、最大トルクは64.1kg-mを発揮する。スーパーカー級の最大トルクは、3000rpm付近まで回せば、9割が引き出せる。

ガリ傷が怖いホイール 開放的なグラスルーフ

長期テスト車のトリムグレードは、ラクス。パイオニア・グレードとは異なり、レザーとアルカンターラのミックスではなく、フルレザーの内装が与えられている。シートは電動だが、ベースグレードでは手動だ。

ボディカラーは鮮彩。ベリーズ・ブルーと呼ばれる目の覚めるような青で、街なかを走っていると、スマートフォンの格好の被写体になりそうだ。英国価格4000ポンド(約62万円)のオプション塗装になる。

パノラミック・プライバシー・ガラスルーフは、1750ポンド(約27万1000円)。もし筆者が自らGTを購入することがあっても、選びたいオプションといえる。ルーフが開くスパイダーは選べないが、大きなガラスが生む開放感は魅力的だ。

ハンサムなグラスブラック・ダイヤモンドカット・アルミホイールは、1650ポンド(約25万6000円)。タイヤはピレリPゼロで、見惚れるようなスタンスに仕上がっている。

他のホイールを履いたGTを目にしたことはあるが、これほど存在感はなかったと思う。また、ここまで縁石へ近づきたくないデザインでもなかった。ガリ傷を避けるため、駐車時には気を使いそうだ。

加えて、特別色のブレーキキャリパーが1270ポンド(約19万7000円)で、プライバシー・ガラスは500ポンド(約8万3000円)。選ばれたオプションは、この程度に収まっている。

GTはマクラーレンのエントリー・モデルに位置付けられ、英国価格は16万3000ポンド(2526万円)から。敷居は低くない。

720 Sとの違いはかなり限定的?

マクラーレンは、モデルラインを3つのカテゴリーに分けている。現在のGTシリーズは、このGTのみ。スーパーカー・シリーズは、720 Sとアルトゥーラ。アルティメット・シリーズは、エルヴァとスピードテールが含まれる。

カテゴリーから想像できるように、GTは720 Sよりソフト。V型8気筒エンジンの最高出力は100ps絞られ、3mmだけだが車高は高い。防音材の量も多いという。

フロントノーズにはリフト機能が付き、130mmへ持ち上げられる。上質なレザー内装で仕立てられていても、車重は1530kgと軽量だ。

720 Sと実際に乗り比べてみると、どれほどの違いを感じるだろうか。直接乗り比べてみても、その差は小さいようだ。GTは、すべてにおいて数%ほど控え目に感じるくらい。

GTはドライバーを中心に爽快に旋回し、操作系の反応は信じられないほど正確。しかし、スポーティさを高める最後の要素が僅かに及ばない。ステアリングは、フロントタイヤを720 Sほどタイトに操らせることはないようだ。

今のところ、真冬の英国だから路面は滑りやすい。GTの味付けがありがたいと感じている。ステアリングは鋭く、フロントノーズが意欲的に反応するものの、冷えた路面でも許容できる範囲。英国郊外の一般道を相手に、巧みに振る舞ってくれる。

筆者は毎日、英国中央部のミッドランズから、南部のロンドン郊外へ通勤している。これから数か月は、マクラーレンGTが通勤手段だ。どんな日々になるのか、心配半分、楽しみ半分といえる。

セカンドオピニオン

マクラーレンGTは、ハンドリング・バランスや操縦特性が生む、ドライビング体験が素晴らしい。だが、グランドツアラーとしての能力には少々疑問がある。

依然として、GTはミドシップのスーパーカーであるように思う。スーパーカーは、沢山の喜びを与えてくれるが、同時にフラストレーションも溜まるクルマだといえる。

担当するピアスが、アルトゥーラが欲しいと感じる場面もありそうだ。あるいは、中古の720 Sの魅力にも気付くかもしれない。 Richard Lane(リチャード・レーン)

テストデータ

価格

モデル名:マクラーレンGT ルクス(英国仕様)
新車価格:16万3000ポンド(約2526万円)
テスト車の価格:17万2170ポンド(約2668万円)

オプション装備

ベリーズ・ブルー・エリート塗装:4000ポンド(約62万円)
パノラミック・プライバシー・ガラスルーフ:1750ポンド(約27万1000円)
グラスブラック・ダイヤモンドカット・アルミホイール:1650ポンド(約25万6000円)
ポリッシュド・スペシャルカラー・ブレーキキャリパー:1270ポンド(約19万7000円)
プライバシー・ガラス:500ポンド(約8万3000円)

テストの記録

燃費:7.1km/L
故障:なし
出費:なし

こんな記事も読まれています

山頂キャンプ・グランピングが楽しめる「OZE-HOSHISORA GLAMPING&CAMP RESORT」2024シーズンの営業がスタート!
山頂キャンプ・グランピングが楽しめる「OZE-HOSHISORA GLAMPING&CAMP RESORT」2024シーズンの営業がスタート!
バイクブロス
「ガソリンスタンドの屋根」が“平ら”なのはなぜ? 雨や雪が降ったらどうなる? 屋根に隠された驚きの「工夫」とは
「ガソリンスタンドの屋根」が“平ら”なのはなぜ? 雨や雪が降ったらどうなる? 屋根に隠された驚きの「工夫」とは
くるまのニュース
スタバのドリンクが飲みたいぞ! ラーメン食べたい! 失敗しないSA・PA選びは「スマホアプリ」の活用が正解だった
スタバのドリンクが飲みたいぞ! ラーメン食べたい! 失敗しないSA・PA選びは「スマホアプリ」の活用が正解だった
WEB CARTOP
東京アウトドアショー2024が開催! NEWS小山氏の愛車やランクル特別展示も
東京アウトドアショー2024が開催! NEWS小山氏の愛車やランクル特別展示も
くるくら
驚速パロウが大荒れのレースを制す。ポール・トゥ・ウインで今季2勝目/インディカー第8戦ラグナ・セカ
驚速パロウが大荒れのレースを制す。ポール・トゥ・ウインで今季2勝目/インディカー第8戦ラグナ・セカ
AUTOSPORT web
勝者フェルスタッペン「早々にラッセルを抜いたことが鍵。マクラーレンほど強くなかったが、全員でベストな仕事をした」
勝者フェルスタッペン「早々にラッセルを抜いたことが鍵。マクラーレンほど強くなかったが、全員でベストな仕事をした」
AUTOSPORT web
カツデンのスチール製カーハウス「CARKUREGA」の問い合わせが累計500件を突破
カツデンのスチール製カーハウス「CARKUREGA」の問い合わせが累計500件を突破
レスポンス
115万円から! 日産「新型コンパクトSUV」発表! 日産“唯一”の生き残りマシン! MTあり&全長4m以下の「新GEZA」インドで登場
115万円から! 日産「新型コンパクトSUV」発表! 日産“唯一”の生き残りマシン! MTあり&全長4m以下の「新GEZA」インドで登場
くるまのニュース
ロングランやタイヤの耐久テストなどテスト項目満載なのが耐久レース!! EWC第2戦 スパ8時間レース レーシングライダー大久保光のレースレポート
ロングランやタイヤの耐久テストなどテスト項目満載なのが耐久レース!! EWC第2戦 スパ8時間レース レーシングライダー大久保光のレースレポート
バイクのニュース
リレーアタック対策は100均グッズでできる? 色んなもので実験してみた。
リレーアタック対策は100均グッズでできる? 色んなもので実験してみた。
くるくら
ビートルの元は軍用車だった? 庶民でもクルマが買える世の中にするために作られたクルマ達
ビートルの元は軍用車だった? 庶民でもクルマが買える世の中にするために作られたクルマ達
ベストカーWeb
英国の小型EVが新記録、メルセデスAMGより速い
英国の小型EVが新記録、メルセデスAMGより速い
レスポンス
「まさかお前が…!?」 セダンやクーペから「“SUV”に変身していた」意外な国産車3選
「まさかお前が…!?」 セダンやクーペから「“SUV”に変身していた」意外な国産車3選
くるまのニュース
アストンマーティンの大苦戦はしばらく続く? アロンソ「今は多くを語らず、改善を続けるのみ」
アストンマーティンの大苦戦はしばらく続く? アロンソ「今は多くを語らず、改善を続けるのみ」
motorsport.com 日本版
シトロエンの小型SUV、『C3エアクロス』EVは航続300km以上…受注開始
シトロエンの小型SUV、『C3エアクロス』EVは航続300km以上…受注開始
レスポンス
どこでも好きにお客を乗せられるワケじゃなかった! タクシーの営業区域ってなに?
どこでも好きにお客を乗せられるワケじゃなかった! タクシーの営業区域ってなに?
WEB CARTOP
「タイレルP34」と「レイナード93D」に見惚れる!手作りの6輪F1タイレルP34を追え!Vol.10
「タイレルP34」と「レイナード93D」に見惚れる!手作りの6輪F1タイレルP34を追え!Vol.10
旧車王
【MotoGP】ライダー刷新のアプリリア、マルティン&ベッツェッキの超強力ラインアップも「それが唯一の疑問」
【MotoGP】ライダー刷新のアプリリア、マルティン&ベッツェッキの超強力ラインアップも「それが唯一の疑問」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村