■レクサス「LCコンバーチブル」って、どんなクルマ?
LAオートショー2019にて、オープンモデルとなる「LCコンバーチブル」が世界初公開されました。オープンモデルの登場は2014年に生産終了した「IS-C」以来6年ぶりです。なぜ、このタイミングでオープンモデルを復活させたのでしょうか。
レクサスのオープンモデル6年ぶり復活!新型「LCコンバーチブルモデル」2020年夏に日本発売
2017年に登場したレクサス「LC」は、純粋なコンセプトカーだった「LF-LC」をモチーフに、従来の枠に囚われずに全てを一から開発した次世代レクサスを象徴するモデルです。登場以来、国内外で高い評価を得ており、日本では計画以上の販売台数だったといいます。
元チーフエンジニアで現在は、エグゼクティブバイスプレジデントの佐藤恒治氏は、次のように語っています。
「LCが属するセグメントは販売比率の半分がオープンモデルという状況です。そのため、構想段階から検討はもちろんクーペ開発時もオープンを想定した設計をおこなっていました。しかし、いざオープンの開発を始めると構想とリアルで異なる部分も多く、結果としてこのタイミングになりました」
これまでレクサスのオープンモデルを振り返ると、屋根は「SC」や「IS C」ではメタルルーフが採用されていましたが、LCコンバーチブルはレクサス初となるソフトトップです。その理由はなんでしょうか。
佐藤氏からチーフエンジニアを引き継いだ武藤康史氏は、「SC/IS Cは一台で全てを賄う必要があったのでメタルトップを採用しましたが、LCはクーペがあるので役割を分けるにはソフトトップのほうがいいという判断です。さらに走りの部分でいうと『重量増をできるだけ抑えたい』という想いがありました」と語っています。
※ ※ ※
ちなみにトヨタブランドでもソフトトップ採用のオープンモデルは少なく、「セリカ」「MR-S」「カムリ ソラーラ(北米専売)」などです。
そのためサプライヤーと共同開発ではあるものの、知見や経験を高めるために自らの手で色々なトライもおこなったといいます。
外観デザインは、オープン化による解放感はもちろん、ボディサイズに変更ありませんがクーペよりも伸びやかな印象を受けます。
ソフトトップは非常にコンパクトかつ軽量に設計されていますが、幌は4層構造にすることで骨が目立たない構造なうえにクローズドボディ並みの静粛性を実現。
また、オープン時もベルトラインやリアの造形の工夫による空力性能やウィンドディフレクターの採用などにより不快な風の流れも抑制。オープン時の快適性も考慮されています。
ちなみにソフトトップの開閉は、センターコンソールのボタンを押すだけで15秒から16秒で完了。50km/h以下なら走行中でも操作可能です。
じつは開閉時のスピードにもこだわりがあり、「ゆっくり→速く」のアクションはふすまを開ける際の作法を参考にしたといいます。
インテリアは基本的にはクーペと同じですが、オープン化に合わせてシート表皮や空調(レクサスクライメイトコンシェルジュ)やサウンドシステムはコンバーチブル専用に変更されています。
リアシートはソフトトップの収納スぺースとの兼ね合いでクーペよりも狭くなっていますが、それでも4人乗りをキープした点は評価できます。ちなみにラゲッジスペースはクーペ並みの容量を確保しているそうです
パワートレインは、5リッターV型8気筒ガソリンエンジンに10速ATの組み合わせとなります。筆者(山本シンヤ)はキャラクター的には3.5リッターV型6気筒ガソリンエンジン+モーターを組み合わせたマルチステージハイブリッドの組み合わせのほうがふさわしいと思ったのですが、「コンバーチブルだからこそ、こだわりのNAサウンドを楽しんで欲しい」(武藤氏)とのことでした。
足回りは、オープン化に伴い床下ブレースやアルミダイキャスト製のリアサスペンションタワーブレースなどにより補強。サスペンションはクーペのベースモデルの走りを引き継ぎつつ、「味付け」という意味では見た目に見合ったエレガントさを重視したコンバーチブル専用セットになっているそうです。
オープン化による重量増が気になるところですが、アルミ化されたフロントロアアーム、コイルスプリング、ホイールなどの軽量化も同時におこなったことで、車両重量はクーペ+80kgに抑えられています。
また、今回おこなわれたボディ補強の知見などは、将来的にクーペにもフィードバックされるはずです。
「格好と性能を両立させた一台に仕上がりました。日本は四季があるのでオープンカーには厳しい環境ですが、楽しむキッカケになってくれるといいなと思っています」(武藤)
そんなLCコンバーチブルの正式発売は2020年夏ごろを予定しています。
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