■映画「ワイルド・スピード」1作目に登場した伝説のオレンジスープラ
2021年6月20日午前8時半(日本時間)、アメリカ・ラスベガスで開催された世界最大の自動車オークションの「バレット・ジャクソン カーオークション」にトヨタ「スープラ(80型、以下80スープラ)が出品され、落札価格は55万米ドル(日本円にして約6000万円。手数料込)です。
近年、かつての国産スポーツカーが高騰していますが、6000万円の値を付けた80スープラとは、どのようなモデルなのでしょうか。
【画像】驚愕の落札額!6000万円の「オレンジスープラ」を見る!(21枚)
約6000万円で落札された94年式の80スープラとは、2001年に公開された「ワイルド・スピード」(原題:Fast and Furious)の1作目に主人公のブライアン刑事(故ポール・ウォーカー)が所有するクルマとして登場しました。
その後、2作目となる「2 Fast 2 Furious」(2003年)においてもインテリアおよびエクステリアの撮影に使用されたことが、出品車両に添付された証明書によって明らかになっています。
1994年式のタルガトップモデルでアメリカでは「マーク IV(マークフォー)」と呼ばれる世代です。
日本では80スープラですが、アメリカでは「セリカXX(A40/A50)」に当たるモデルから「SUPRA」の車名で販売されていたため、初代A40から数えて4世代目となる80スープラはマークIVと呼ばれています。
今回、ラスベガス・コンベンションセンターに新しくできたウエストホールで開催された自動車オークション「バレット・ジャクソンLas Vegas 2021」(Barrett Jackson)にて「ロット番号744:1994 TOYOTA SUPRA- “FAST&FURIOUS” MOVIE CAR」として出品されました。
バレット・ジャクソンは、カーコレクターのための自動車オークションとして世界最大規模を誇っており、アメリカ各地で年に3、4回開催されています。
今回は6月17日(木曜日)から19日(土曜日)の日程で開催され、744番の80スープラは19日土曜日の夕方16時半過ぎに登場しました。
話題のクルマとあって会場は満員御礼。壇上にも多くの人々が上がってオークションの行方を見守りました。
スタート価格は10万ドル、あっという間に20万ドルから30万ドルと値段が上がり、最後は50万ドルで「SOLD!」。
落札価格は50万ドルですが、実際に落札者が支払うお金はオークション手数料として10%上乗せされるため55万ドル、日本円にして約6000万円という金額となります。
今回、落札された80スープラは映画のために作られた8台のうちの1台です。
ランボルギーニ・ディアブロ純正のキャンディパールオレンジに塗装されたボディには、トロイ・リーがデザインした「ニュークリア・グラディエーター」をサイドに配して特徴的なデザインを構成しています。
さらに、Bomex製フロントスポイラーとサイドスカート、TRDスタイルのボンネット、APR製アルミ製複葉式リアウィング、Dazz Motorsport Racing Hart M5 Tuner製19インチホイールなどを装着し、魅力的なエクステリアです。
80スープラに搭載される純正の3リッター6気筒エンジン(2JZ-GE)は3.1リッターに拡大し、ゼロヨンで勝つためにシングルターボのTurbonetics製 T-66ボールベアリングターボをボルトオンして最高出力は700HP超(約709馬力)。
エグゾーストシステムは、GReddy Power Extreme ExhaustProを搭載、サスペンションはEibachのコイルオーバー(車高調)に交換されています。
■8台の中の1台。出品車両は実際にポール・ウォーカーが運転
一般的にクルマが登場する映画では複数の撮影用車両が作られます。ワイルド・スピード1作目においては、同じ仕様のスープラが8台作られました。
今回、6000万円で落札された80スープラはそのうちの1台で「STOCK NO.1」(予備の1番車)として撮影に使われました。
ちなみに、映画のなかでメイン使用されるクルマのことは「HERO NO.1」(主役1号車)、「HERO NO.2」(主役2号車)などと呼び、予備で用意される車両のことを「STOCK」(予備車)といいます。
予備車のなかには遠くからの撮影にだけ使われるものや、俳優が乗らずスタッフが撮影するだけの車両、片側だけ塗装された車両などもありますが、今回のスープラは「予備1号車」であったものの、敵対している東洋系ギャングジョニー・トランを狙撃するシーンで実際にポール・ウォーカーが運転した車両です。
それが正式な書類で証明されているため、55万ドルというかなり高額な落札となったと考えられます。
製作を手掛けたのは、ディズニー映画「カーズ」の実車モデルや映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアンなどハリウッド映画に登場する有名な車両を手掛けているエディ・ポール氏です。
映画内の80スープラの設定では、タルガトップの5速MT&ツインターボ仕様ですが、8台作られた車両のなかには5速MT&NAエンジンだったり、4速AT&ツインターボだったり、タルガではなくクーペだったり複数の仕様があったといいますが、今回落札された80スープラはタルガトップの4速AT&ツインターボです。
同じ個体は3作目となるTOKYO DRIFTの駐車場シーン(首都高 兜町駐車場で多くの改造車が集まっている)にも登場しています。
TOKYO DRIFTに登場したあとは売却され2年間展示されたあと、コロラドにあるショップで5年をかけてレストアされ、今回のオークション出品に至ったようです。
スープラはもともとアメリカで人気の高い日本車でしたが、映画の人気拡大とともに、また世界的なJDM人気とともに価値がどんどん高まっていきました。
映画の主役であるポール・ウォーカー(2013年に事故死)がプライベートカーとして所有していたこともカリスマ的人気となっている大きな要因であるといえるでしょう。
今回のオークションでは、スープラ以外にも1億1500万円で落札されたメルセデス・ベンツ「300SL(1957年式)」や、1億7000万円のマクラーレン「P1」などの高額車がありましたが、人気ナンバーワンは間違いなくこの477番のスープラでした。
バレット・ジャクソンの公式Facebookには高額で落札された車両がそれぞれ紹介されていますが、オークション終了から16時間経過した現在、300SLはコメント26/シェア136/いいね!700。マクラーレンP1は、同じく27/133/800でした。
これに対して477番のスープラは、コメント1500/シェア1万以上/いいね!8573と、数字だけ見てもまさに桁違いの人気です。
アメリカだけではなく全世界のスープラファンからアツいコメントが多数入っており、別格の出品車両であったことがわかります。
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みんなのコメント
スープラすら知らない模様・・