フォルクスワーゲンの新型「ゴルフ」に追加されたディーゼル・エンジン搭載モデル「TDI」に今尾直樹が試乗した。印象はいかに?
目も覚める滑らかさ
V8を得た世界最高峰セダン──新型メルセデス・ベンツS580 4マティック ロング試乗記
新型ゴルフTDIの試乗会は、静岡県の東名高速・御殿場IC近くにあるホテルをベースに開かれた。TDIには新たに「Active Advance(アクティブ・アドヴァンス)」という装備充実グレードが設けられていて、われわれの試乗車は、VGJ(フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン)推しのそれだった。ボディ色は「ムーンストーングレー」、内装もグレーのファブリック、というシックな仕立てである。
乗り込んで、センター・コンソールにある長方形のエンジン・スタート/ストップのボタンを押すと、新世代の2リッター・ディーゼル・ターボ・エンジンが、控えめながら、ディーゼル特有の“ガラガラ音”を発し始める。
ブレーキから足を離し、軽くアクセルを踏み込むと、自動的にパーキング・ブレーキが解除されて走り始める。回転がちょっと上がると、アイドリング時のガラガラ音がウソのように消えてなくなる。
タイヤは新型ゴルフの1.5リッター・ガソリンとおなじ225/45R17を履いている。銘柄はブリヂストンの欧州向けのトランザで、メイド・イン・ポーランドとある。45という低い扁平率もあって乗り心地は硬めだけれど、あくまでビシッとしていて、低速でも不快ではぜんぜんないのは、ガソリン仕様とおなじだ。
ホテルを出て一般道を数百m走り、すぐに高速道路に入ると、ビックリしたなぁ、もう。ビックリ、ビックリである。新型ゴルフTDIの目玉にしてキモの2.0リッター直列4気筒ディーゼル・ターボ、社内呼称「EA288evo」が目も覚める滑らかさでもって回転を積み上げる。
先代のゴルフTDIの「EA288」もいいディーゼル・エンジンだと思ったけれど、evoはもっといい。トルクの出方にケチャップがドバッと出るようなターボっぽさがなくて、ガソリン・エンジン自然吸気の、ものすごくデキのいいヤツみたい、と書いてみたけれど、う~む、それよりは最近のよくできたガソリンのターボ・エンジンみたい、と、表現したほうが近い。ターボといえばターボなのである。ターボだからね。ドバッと出ないのは、イメージでいうと、中身のケチャップ・ソースが若干薄いから、ということもある。
ディーゼルをあきらめていないフォルクスワーゲン
数値的には、最高出力150ps/3000~4200rpm、最大トルク360Nm/1600~2750rpmで、先代ゴルフTDIと較べると、同じ150psを500rpm低い回転数で生み出し、200rpm高い回転数まで持続する。トルクにいたっては20Nmプラスして、150rpm低い回転数で引き出す。
ピーク・パワーはおなじでトルクは増えているのに、先代より薄まった感があるのは、発生回転数が広がっているからだろう。その代わり、じつにスムーズで、天井知らずの伸び感がある。
もちろんガソリン・エンジンより許容回転数はグッと低く、全開にしても4500rpmあたりでシフトアップする。それなのに頭打ち感がまるでない。アイドリング時のガラガラ音さえなければ、ディーゼルであることを忘れるスムーズネスと静粛性を備えている。
もうひとつ、新型TDIといえば、ツイン・ドージング・システムである。ヨーロッパの排ガス規制をクリアすべくフォルクスワーゲンが開発したこの最新テクノロジーは、尿素噴射システムを2個、直列に並べ、2段構えでアドブルー(尿素水)を排ガスに注入して、ディーゼル・エンジンの欠点とされる有害物質の窒素酸化物(NOx)を、窒素と水に分解して除去する。
エンジンから離れたところに触媒コンバーターも備えているし、エンジン本体の改良もある。燃費もWLTCで18.9km/Lから20.0km/Lに向上している。これらによって、大気を汚染するNOxの排出量は先代モデル比、最大80%削減しているという。VWはどっこい、ディーゼルをあきらめていなかった。
100km/h巡航は7速DSGのトップで1500rpm弱。そこからガバチョと全開にすると、グオオオオオオンッとディーゼルらしからぬ快音を控えめに発する。スタビリティはほれぼれするほど高い。フロントが100kgほど重いことが幸いしてか、ガソリンのゴルフeTSIより優れているかもしれない。
遠くにいきたい
これは、じつに洗練された高速ロング・ツアラーである。先代のゴルフを磨きに磨いた、という感じ。100年に一度の大変革期のなか、歴史と伝統を守り続けるディーゼル・ゴルフの最終形態にふさわしい。もしも頻繁に長距離移動をするライフスタイルであれば、オススメである。いや、新型ゴルフTDIがあると、ライフスタイルにかかわらず、遠くにいきたい、と思うのではあるまいか。
ゴルフ3だったよなぁ、下北半島の先っちょまで行ったのは。ゴルフ2で、島根の出雲大社までドライブしたこともあった。もちろん、歴代ゴルフだって、そのときどきの高速ロング・ツアラーだったわけである。
長尾峠も走ってみた。TDIでは、エコ、コンフォート、スポーツと走行モードを変えるドライビング・プロファイルを全車標準装備していて、スポーツにすると、液晶のメーターが真っ赤に輝き、アクセル・レスポンスが鋭くなる。一方で、トルクの出方に唐突感があるようにも思ったけれど、それはのぼりで、いきなりアクセルを開けたせいかもしれない。
ややノーズ・ヘビーの感はあるにせよ、225/45タイヤのおかげもあって、よく曲がる。ブレーキは強力で、さすがゴルフだ。
なにより、“この新型ゴルフTDI”、と心のなかで結論づけようとしたら、「スポーティだよ」という徳大寺(有恒)さんの声が聞こえてきた。もちろんそれは気のせい、というか、筆者が勝手にそう思っただけですけれど、私はなんだか、ちょっと幸せな気分になった。
なお、TDI Active Advanceの価格は398万9000円で、Active Basicより54万5000円高い。その代わり、LEDマトリックス・ヘッドライトやヘッドアップ・ディスプレイ、ナビゲーションを含む純正インフォテインメント・システムといった、通常はオプションの装備がもれなく付いてくる。もしも、これらをオプション・リストから選ぶとなると、37万4000円が必要になる。
Active Basicとの差は54万5000円だから、計算が合わんではないか? と、思っちゃうけれど、オプション設定があるのは、Active Advanceよりお値段のはる、Style、R-Lineに限られている。つまり、Active Basicの344万4000円こそ、あれやこれやを削ぎ落とすことによって実現した戦略価格なのである。たぶん。
ちょっと内装がスポーティになるStyleは403万8000円、足まわりもスポーティになるR-Lineは408万8000円。だけど、Active Advance並みの装備にしようとすると、37万4000円です、とディーラーでいわれることになる。もちろん財布の重いひとなら、どんとこいである。
筆者なら、もちろんVGJ推しに従いTDI Active Advanceを選ぶだろう。
文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)
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みんなのコメント
お前だけはディーゼル出すな、お前のせいで極端なEVシフトさせられたんだ少しはおとなしくしてろ
としか思えん