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【特集:最新の日産GT-Rとポルシェ911は何が楽しいのか? 前編】プレミアムエディションTスペックとカレラT「ありあまるパフォーマンスを御する悦び」

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【特集:最新の日産GT-Rとポルシェ911は何が楽しいのか? 前編】プレミアムエディションTスペックとカレラT「ありあまるパフォーマンスを御する悦び」

日産GT-Rとポルシェ911といえば、日本とドイツを代表するスポーツモデルだ。その最新仕様といえるGT-RプレミアムエディションのTスペック、そして911のカレラT。いま乗ってみたいスポーツモデルの最右翼と考えられるこの両車を一緒に走らせて、果たして「いったい何が楽しいのだろうか」という、2台が備えている真意を感じ取ってみた。(Motor Magazine2023年12月号より)

常に全力で走らせなくてもその凄さは伝わってくる
クルマの性能はその燃費も含めて、時代が進むに連れてかつてとは比較にならないほど驚異的に向上している。日産GT-R プレミアムエディション Tスペック、そしてポルシェ911カレラT。圧倒的な高性能を誇る両モデルが持てる性能を存分に引き出すには、専用のテストコースなどでなければ難しいほどだ。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

しかし、だからといって日常で走らせて退屈なわけではない。優れた能力を備えるからこその輝きを、随所で感じられるからだ。

「強力なエンジン」「サーキット走行をもこなす足まわり」「高速でも路面に吸い付く空力ボディ」などなど、思いつくまま例題を挙げれば人々が「スポーツモデル」に期待するポテンシャルは実にさまざまだ。

そんな高い走りの性能を追い求めたモデルの中でもこれらこそは筋金入り、と躊躇なく納得できるのが、ポルシェ911と日産GT-Rというドイツと日本を代表する2車である。

いずれもがボディシェルからエンジン、トランスミッション、そしてサスペンションなどに至るまで、理想と考える性能獲得のために専用に構築された凝ったメカニズムを採用。

走り追求のモデルと言えども効率や合理性の高さが強く求められ、ともすればハードウェアよりもソフトウェアに重きが置かれかねない、というのが昨今の時代の空気感。

そこからすればこの2車は「そのモデルのためだけに開発された固有のメカニズムを採用」と、もはや異例とも思える理想的で贅沢な内容に満ちていることが明らかである。

変わらない方程式と時代ごとに各部を積極的に変えてきた911
デビューから60年という節目を迎えるポルシェ911が、当初から一貫して水平対向6気筒という特徴的なデザインを持つエンジンを「猫背」型ボディ後端の低い位置に搭載という変わらない方程式を採用し続けることを、ここで語る必要はもちろんないだろう。

しかし、そうしたアイコン的部分には手を加えず長い時間を過ごしてきたゆえに、ともすればクラシカルな存在と言われてしまいそうなところを、過去の名声に留まることなく現在でも一級の最新モデルとして世界中で認知されているという現実が、このモデルの凄さと価値を証明する。

前出のようなアイコンは守る一方、そのために常にユーザー目線に立って変えられる部分は積極的に変えてきたからこそ、実は異例なまでの長寿を記録することができていると表現した方が、911の本質を突いているとも言えそうである。

デビューから16年を経てさらなる熟成と進化を遂げたGT-R
そうしたポルシェ911を意識しながらも「遺産」を持たない自分たちは何のしがらみもなく理想を追求して生まれることが可能だった...と、そんなフレーズとともに誕生した現行GT-Rも気が付けば誕生からすでに16年。

デビュー当初は、よもやこれほど長寿なモデルになることなど誰もが予想だにしなかったに違いないのは、911の場合とも同様であるはず。それどころか、基本的ハードウェアに手を加えることなく時を重ねてきたという点においては、911以上に長い目で眺める必要があるのがこちらだろう。

それでも陳腐化を余儀なくされるのではなく、すでに入手した人に対しても改めて最新モデルへの乗り換えを考えさせる商品として成り立っている点においては、911同様の価値感を備える商品へと昇華された存在と言っても過言ではなさそうだ。もちろん、ローンチ後も改良の手が加えられ、新しいニュースが上書きされ続けているのが、その大きな理由である。

GT-Rの2024年モデルは空力性能のリファインを徹底的に実施
そうした中で、時に理不尽と思えるほどに厳しさと項目を増やし続けるさまざまな規制や規則への対応もあり「さすがにそろそろ打ち止めではないか?」という大方の予想と覚悟(?)を覆し「2024年モデル」へと再々度の進化を遂げたのが最新のGT-Rだ。

日産車の記号と言えるVモーションを捨てて横長の水平基調が強まったフロントグリルは、開口面積が小さくなりながらもこれまでと同等のインテーク流量を確保。

最新モデルであることをわかりやすく示す位置と形状を変更したリアウイングは、新たな翼断面形状と後方に移動したセット位置により、ウイング下面で発生した負圧がトランクリッドに上向き揚力を発生させてダウンフォースを相殺させることを防止するという、デビュー後に劇的な進化を遂げたシミュレーション技術を活かしたスーパーGTレース譲りの手法を採用した結果という。

これを筆頭に、空力面でのさまざまなリファインが実施されるのも2024年モデルの特徴だ。空気抵抗や冷却性能を悪化させず車両トータルでのダウンフォースを改善し、ライントレース性は直前の2022年モデル比で12%の向上を果たしている。

基本のボディシェルにこそ手を加えていないが、デビュー以来の長い時間で得られたさまざまな知見やテクノロジーの進化を踏まえ、最大限の空力リファインが加えられたことが最新モデルの見どころだ。

GT-Rとしては驚くほどの快適性が実現された走行感覚
その最新モデル、プレミアムエディションTスペックで走り始めると「なるほど」と実感させられたのはまず、そうした空力も功を奏しているであろう快適な乗り味に代表される、これまでのGT-Rでは得られなかった穏やかで平和な印象。

そう感じられる大きな要素は何か? と考えてみると、それはまずDCTのマナーの良さにあることに気が付いた。

思い返せばデビュー当初のGT-Rで強く印象に残ったのは、何とも自己主張の強いDCTの存在感だった。ギアやアクチュエーターの作動音は、まるで試作品ではないかと思えるほどに盛大で、トルクの伝達感は濃厚である一方でシフトショックも“シームレス”という言葉の反対を行くように明白だった。

それが最新GT-Rに乗ると、まさに「今は昔」。ショックアブソーバの設定モードでコンフォートを選択すると、ボディ上屋の動きがやや大きい印象こそあるものの、フラット感が高いクルージング時のテイストにも前述のような「新しいGT-Rの世界」が感じられたのである

洗練された走行性能の実現という価値観を実現した911カレラT
ところが、そんなGT-Rから911ファミリーに加えられた最新バージョンであるカレラTへと乗り換えると、最初に思わず口をついて出てしまったのが「なんて洗練されたクルマなんだろう」というひと言であった。

GT-Rに対して、カレラTがそう感じさせる主たる要因は何なのかとこちらも冷静に考えてみると、それはクリアで「ノイズ」が徹底的に排除された操舵フィールに代表されることに気が付いた。

低速域からスッキリと軽いことが印象に残る電動式パワーステアリングシステムを備える911カレラTの操舵感については、テストドライブを行った個体に微低速走行時の操舵力を軽減させる「パワーステアリングプラス」がオプション装備されていたことも影響していそう。

一方、わずかなわだち路面でも敏感にワンダリング現象を示したGT-Rに対し、911ではそうした「雑音」が一切認められなかったのは大きな相違点。GT-Rが、油圧式のパワーステアリングシステムを使い続けていることも、もちろん大きく影響を及ぼしているに違いない。

このあたりが、一般道や高速道路上でのリラックスした走りのシーンに対しては、想像以上の印象の差をもたらしていたのである。<後編に続く>(文:河村康彦/写真:永元秀和)

日産 GT-R プレミアムエディション Tスペック 取材車両データ
ボディカラー:ミレニアムジェイドメタリック
シート地・カラー:本革パールスエードコンビ・プレミアムエディションTスペック専用色
装着オプション
SRSサイドエアバッグ(運転席・助手席)&SRSカーテンエアバッグ 7万7000円、プライバシーガラス(リアクォーター、リア) 3万3000円、ボディカラー(ミレニアムジェイドメタリック、スクラッチシールド) 16万5000円、日産オリジナルドライブレコーダー(フロント+リア) 8万9557円、ウインドウ撥水12ヶ月(フロントウインドウ1面+フロントドアガラス2面) 1万1935円、GT-R専用フロアカーペット(プレミアムスポーツ/消臭機能付) 13万2000円
車両価格 1896万0700円+オプション価格 50万8492円=合計 1946万9192円

ポルシェ 911 カレラT 取材車両データ
ボディカラー:パイソングリーン
インテリア・カラー:カレラTインテリアパッケージ/スレートグレー
装着オプション(ここに記載されたオプション価格のデータは登場時のものです。モデルイヤーにより、現在の設定価格とは異なります。あくまでも参照用としてご覧下さい)
ボディカラー(パイソングリーン) 45万2000円、カレラTインテリアパッケージ 98万8000円、リアアクスルステアリング 37万5000円、パワーステアリングプラス 4万4000円、スポーツデザインパッケージ 67万2000円、フロントアクスルリフトシステム 40万2000円、イオナイザー 4万8000円、フューエルフィラーキャップ(アルミルック) 2万2000円、Race-Texのベルトアウトレットトリム(ISO-FIXとの組合わせ) 6万4000円、20/21インチRSスパイダーデザインホイール(ハイグロスチタニウムグレー) 38万9000円、Race-Texのルーフライニング 19万4000円、レーンチェンジアシスト 13万7000円、LEDヘッドライト(PDLS Plus[ポルシェダイナミックライトシステムプラス]含む) 16万5000円、フロアマット(レザーのエッジ付き) 8万8000円、レザーインテリアパッケージ(エクステンデッド) 19万2000円、シートベルト(コントラストカラー) 0円、ストレージパッケージ 0円、ライトデザインパッケージ 8万4000円、LEDドアカーテシーライト(「PORSCHE」ロゴ) 2万4000円、スポーツデザインサイドスカート 17万7000円
車両価格 1757万円+オプション価格 451万7000円=合計 2208万7000円

日産 GT-R プレミアムエディション Tスペック 主要諸元
●全長×全幅×全高:4710×1895×1370mm
●ホイールベース:2780mm
●車両重量:1760kg
●エンジン:V6DOHCツインターボ
●総排気量:3799cc
●最高出力:419kW(570ps)/6800rpm
●最大トルク:637Nm(65.0kgm)/3300-5800rpm
●トランスミッション:6速DCT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・74L
●WLTCモード燃費:7.8km/L
●タイヤサイズ:前255/45R20、後285/35R20
●車両価格(税込):1896万0700円

ポルシェ 911 カレラT 主要諸元
●全長×全幅×全高:4530×1852×1293mm
●ホイールベース:2450mm
●車両重量:1545kg(EU準拠値)
●エンジン:対6DOHCツインターボ
●総排気量:2981cc
●最高出力:283kW(385ps)/6500rpm
●最大トルク:450Nm/2000-4500rpm
●トランスミッション:8速DCT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・85L
●WLTPモード燃費:7.6km/L
●タイヤサイズ:285/40R22
●車両価格(税込):3162万5000円

[ アルバム : 日産 GT-R プレミアムエディション Tスペック と ポルシェ 911 カレラT はオリジナルサイトでご覧ください ]

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