2023 AUTOBACS SUPER GT第4戦『FUJI GT 450km RACE』の決勝(4563m/周×100周)が8月6日(日)に静岡県の富士スピードウェイで行われた。
決勝レース当日の朝は晴れていたものの、レーススタート前のウォームアップ走行前には一時的に豪雨となる雲行きの怪しいコンディションとなった。また、スタート30分前に降った雨で、コースは一気にウエットとなり、ドライタイヤ、ウエットタイヤどちらでスタートするか難しい選択を迫られるが、レース開始の頃に雨は止み、セーフティーカーが2周先導した後、待ちに待ったレースが始まった。
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GT500クラス1周目は上位に順位の変動は無かったが、その後ウエットコンディションを得意とするミシュランタイヤ装着の4位スター#3 Niterra MOTUL Zが他を圧倒するペースでトップに迫り4周目にトップに浮上、快調に後続との差を広げていく。
その後、徐々にドライ路面へと変わっていき、順位が大きく変動する。16周目が終了するまでに全車が続々ピットインしてドライタイヤに交換する中でトップが#16 ARTA MUGEN NSX-GT。2番手は11位スタートの#14 ENEOS X PRIME GR Supra、3番手に10位スタートの#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra、4番手に#3 Niterra MOTUL Z となり、各車ペースが上がるとともに激しいバトルが繰り広げられる。そして、24周目の1コーナーで#14 ENEOS X PRIME GR Supraが#16 ARTA MUGEN NSX-GTをオーバーテイクしトップに浮上する。
35周目に#244 HACHI-ICHI GR Supra GTがトラブルにより白煙を上げてストップするとセーフティカーが出され、これにより各車の間隔がなくなって、上位のチームには不運な展開となった。
長いセーフティーカーランが終わって41周目にレースは再開となる。42周目には3位の#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra関口が、前を走る#16 ARTA MUGEN NSX-GTをオーバーテイクして2位に上がる。
折り返しの50周前後で、各チーム2回目のピットストップを行う。この時点でトップは#14 ENEOSX PRIME GR Supra、2番手に#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra、3番手には#37 Deloitte TOM'S GR Supraが浮上し、トヨタ勢が上位を独占する形となる。
そして終盤を迎えようかという65周目にアクシデントが発生する。なんとGT300の#25 HOPPY Schatz GR Supra GTの車両が炎上し、セーフティカーが出される。火がなかなか消えず、安全確保を要するとの判断で赤旗が出され約50分間レースが中断する。
今度はレース中断中に突然スコールのような雨が降り、路面がウェットになったため、レインタイヤへの交換が認められる。そして、バリア等の安全が確保された頃には雨も小康状態となり、72周目にレースが再開すると、4番手を走っていた#3 Niterra MOTUL Zが圧倒的な速さで75周目に再びトップに浮上。後続を引き離すことに成功。そのままトップをキープして2位に45秒の差をつけてチェッカーを受けた。
2位は#16 ARTA NSX、3位には奮闘した#100 STANLEY NSX-GTとなった。ところが、その2台にピット作業時の違反が判明し40秒加算ペナルティが科される。その結果、2位に#64 Modulo NSX-GT伊沢 拓也/太田格之進が繰り上がり、#16 ARTA NSXが3位となった。
GT300も波乱の展開
GT300クラスはポールスタートの#4 グッドスマイル 初音ミク AMG。2番手は#61 SUBARU BRZ R&D SPORT。3番手は#11 GAINER TANAX GT-R、そして#88 JLOC ランボルギーニ GT3となった。
上位勢は序盤より激しいバトルが勃発。ポールスタートの#4 グッドスマイル初音ミク AMGはスタート直後に順位を下げてしまうが、しぶとい走りで7周目にはトップを奪い返す。
10周目前後で各チームピットインを済ませ、その時点でトップが#4 グッドスマイル 初音ミク AMG、2番手は#88 JLOC、3番手に#11GAINER TANAX GTRとなった。
35周目のアクシデントのあと、41周目にレースが再開された際には、トップ3の順位変動はなく折り返しの50周を迎える。各車が続々とピットインする中#4グッドスマイル初音ミク AMGはトップをキープ。2番手に#10 PONOS GAINER GT-Rが浮上。3番手には#11 GAINER GTR。4番手に#88 JLOCランボルギーニ GT3となった。
そして65周目の#25 HOPPY Schatz GR Supra GTの火災により一時中断となり72周目からレースのリスタート後、#11 GAINER TANAX GT-Rと#10 PONOS GAINER GT-R2台が#4 グッドスマイル初音ミク AMGを立て続けにパスし、ちょい濡れに定評のあるダンロップタイヤを履くGAINERのワンツー体制となる。
その後、徐々に路面が乾いてくると再びヨコハマタイヤを履く#4 グッドスマイルが勢いを取り戻しトップに浮上した。その後、GAINERの2台を含め、ピットインすることでのタイムロスを考慮してでも、乾き出す路面に合わせてタイムアップが見込めるドライタイヤに交換するチームが続出する。
そして残り10周となった90周目にトップの#4 グッドスマイル初音ミク AMGもドライタイヤに交換し勝負に出る。しかしなんと名手の谷口がスリップしてしまい優勝争いから姿を消して12位でレースを終えることとなった。
この時点でトップは2回目の赤旗中断時からピットインをせずレインタイヤを履き続けた#61 SUBARU BRZ R&D SPORT、2位に#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTだったが、#11 GAINER TANAX GT-Rが残り2周でその2台をオーバーテイクしトップに浮上する。
そして、#11 GAINER TANAX GT-Rが後続を突き離してトップチェッカーを受け、今期初勝利を飾った。2位、3位はレインタイヤを履き続けた#61 SUBARU BRZ R&D SPORT、#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTが続くと誰もが思ったが、最終周の最終コーナーで#61 SUBARU BRZ R&D SPORTがスピンアウト。#60 Syntium LMcorsa GR Supra GTに接触されるというまさかの展開となり、後続の#7 Studie BMW M4が2位、3位に#6 DOBOT Audi R8 LMSとなりレースは幕を閉じた。最後の最後でドライタイヤに交換した3台が上位独占することとなった。
GT500ポイント圏内リザルト 1位 #3 Niterra MOTUL Z3 千代 勝正 / 高星 明誠 2位#64 Modulo NSX-GT 伊沢 拓也 / 太田 格之進 3位 #16 ARTA MUGEN NSX-GT 福住 仁嶺 / 大津 弘樹 4位 #36 au TOM'S GR Supra 坪井翔 / 宮田莉朋 5位 #38 ZENT CERUMO GR Supra 立川 祐路 / 石浦 宏明 6位 #100 STANLEY NSX-GT 山本 尚貴 / 牧野 任祐 7位 #17 Astemo NSX-GT 塚越広大/松下信治 8位 #37 Deloitte TOM'S GR Supra 笹原 右京 / ジュリアーノアレジ 9位 #39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 関口雄飛/中山雄一 10位#24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木 大樹 / 平手 晃平
GT300ポイント圏内リザルト 1位 #11 GAINER TANAX GT-R 富田 竜一郎 / 石川 京侍 / 塩津 佑介 2位 #7 Studie BMW M4 荒 聖治 / 柳田 真孝 3位 #6 DOBOT Audi R8 LMS 片山 義章 / R.メリ・ムンタン / 神 晴也 4位 #56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R J.P.デ・オリベイラ / 名取 鉄平 5位 #31 apr LC500h GT LEXUS LC500h 嵯峨 宏紀 / 小高 一斗/ 根本 悠生 6位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT 井口 卓人 / 山内 英輝 7位 #10 PONOS GAINER GT-R 安田 裕信 / 大草 りき 8位 #88 JLOC ランボルギーニ GT3 小暮 卓史 / 元嶋 佑弥 9位 #52 埼玉トヨペット GB GR Supra GT 吉田広樹/川合孝汰 10位 #60 Syntium LMcorsa GR Supra GT 吉本 大樹 / 河野 駿佑
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次戦のSUPER GT第5戦は8/26-27に三重県の鈴鹿サーキットにて450kmレースとして開催される。是非とも生でこの壮絶なバトルを観て欲しい。
Photo/Text:Hisao Sakakibara
【筆者の紹介】Hisao sakakibaraモータスポーツフォトグラファー。レーシングカー好きが高じて、サーキット通いに明け暮れる。モータスポーツの撮影取材を始めて25年のベテランフォトグラファー。
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