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優雅で洗練されたマセラティのスーパースポーツ「グラントゥーリズモ トロフェオ」が魅せる世界

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優雅で洗練されたマセラティのスーパースポーツ「グラントゥーリズモ トロフェオ」が魅せる世界

 初代「グラントゥーリズモ」がデビューしたのが2007年3月。ピニンファリーナが担当したボディーデザインは、ロングノーズ、ショートデッキの2ドアクーペ。全長5m、ホイールベース3mに近い大柄なボディーを、古典的なスポーツカープロポーションでまとめあげていた。

 マセラティは、この美しいボディーのプロポーションを崩すことなく、2019年まで12年間造り続けた。ホイールベースが長いことから、室内は大人4人が快適に過ごせる広さを確保していた。文字どおり、ヨーロッパ大陸を大人4名がラゲージと共にラクに移動できるGTカーであった。

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 2019年でいったん、生産を停止した「グラントゥーリズモ」が2023年4月に、日本でのオーダー受付を開始した。新型のパワーユニットには、フル電動の「グラントゥーリズモ」があるのだが、今回受付けたのは、マセラティが新開発したV6、3.0Lガソリンツインターボを搭載した「モデナ」と、そのエンジンをベースに60PSもパワーアップして載せた「トロフェオ」だった。

スーパーカーとは思えないほどの扱いやすいさ



 新型のスタイリングは、先代からのキャリーオーバーのように見えるが、ピニンファリーナではなく、マセラティ・イノベーション・ラボで手がけたモデルは、先代より全長55mm、全幅40mm、全高30mmも大きくなっている。ただし、ホイールベースだけ10mm短いというプロポーションが特徴だ。



 前後のサスペンションも前はダブルウィッシュボーン、後ろはマルチリンクで、エアサスペンションと電子制御ダンパーを組み合わせている。ブレーキも強化された。後輪駆動形式は生地と同じだが、ミッションは6速から8速に進化している。

 新型「グランツーリズモ」のトピックはこれだけではない。実は、V6ツインターボ以外のパワーユニットに、電気モーターが搭載されたのだ。もちろん、マセラティ初のフルEV。しかも、V6モデルとシャーシなどは共通のものを採用しているらしい。情報の段階だが、フレームの空間などを利用して、電池を搭載することで、車体前後の重量配分も前50、後50の理想に近い配分を実現。その操縦性はガソリンの「グランツーリズモ」と同じレベルだという。

 EVのネーミングも決定している。「フォルゴーレ」。イタリア語で雷を意味する。その実力は、まだ試乗できていないので想像の域を出ないが、マセラティがフォーミュラEに出場し、蓄えたノウハウが生かされていることは間違いない。フォーミュラEで開発された800V技術をベースに300kWの磁石モーターを3基搭載している。電池容量は92.5kWh、約760PSのパワーを発生すると伝えられている。

 早く、フルEVの「グランツーリズモ」に乗ってみたい!という気持ちを抑えながら、V6、3.0Lツインターボ「トルフェオ」のハンドルを握った。ハンドルスポーク左下に不随するスターターボタンを押し、センターコンソール上部の変速スイッチでDモードを選ぶ。スイッチは左からP/R/N/D・Mの4つが並んでいる。

 さらに、ハンドルスポークの右下にあるドライブモードダイヤルで、ドライブモードも選択する。ダイヤルを回すと、コンフォート/GT/スポーツ/コルサの4モードが選べる。スタートはノーマルモードに相当するGTモードをチョイス。やや重めのハンドルを操りながら、街中の乗り出した。V6、3.0lLツインターボと8速ATの組み合わせは実にスムーズだ。

 低い回転数でシフトを重ねていく。60km/hでの走行はDレンジで6速1400回転で、流すように走行する。その姿は、優雅で、美しい。とても0→100km/hが3秒台、最高速320km/hという動力性能を秘めているスーパーカーとは思えないほどに扱いやすい。



リアシートも大人2名が長時間座るのに耐えられる広さを確保

 高速道路に入り、高速巡航に移る。グランツーリズモが、車名どおり、長距離、高速移動=グランドツーリングの体勢に入る。100km/hの巡航は、Dレンジ8速1500回転、7速1900回転。エンジン音も風切り音も低く抑えられている。乗り心地も路面からの振動も上下動もコントロールされている。ドライビングモードを「GT」から「スポーツ」に切り替えると、上下動がややキツメになり、乗り心地は硬くなる。「GT」から「コンフォート」にすると、路面のうねりに対しての上下動がやや大きくなる。

 新しくなったサスペンションと電子制御ダンパーが常に安心感のあるハンドリングをキープしてくれる。今回の試乗中はドライ路面だったが、ウェットになれば、4輪駆動の安定感も体感できるはずだ。ブレーキもベンチレーテッドディスクの径は前380mm、後350mm。ワインディングでの働きは絶大だ。

 そのワインディングに入り、Mモードに切り替え、「スポーツ」モードを選択する。目の前のエンジン回転計は6500回転からレッドゾーンだが、パドルレバーで1速5000回転まで回しても40、2速70、3速105km/hに達してしまう。V6エンジンは4000回転をオーバーすると、それまでの軽いハミングから、爆音に近いボリュームになる。この加速なら0→100km/h、3秒台も十分に可能に違いない。

 このようなスーパースポーツでありながら、グランドツーリングは、リアシートも大人2名が長時間座るのに耐えられる広さを確保している。足元も狭くはないし、頭上はリアゲートのウインドが拡がっているので、陽射しは辛いかもしれないが、身長165cm以下ならロングドライブも苦にならないだろう。



 美しい容姿、上品で高品質の内装、ジキルとハイド的なパワーユニット。「トロフェオ」の車両価格は2998万円。標準グレードのモデルは2444万円と発表されている。しかし、新型「グランツーリズモ」の本命は100%EVの「フォルゴーレ」。その走りがどこまで”GT”しているのかを早く確かめたい。

■関連情報
https://www.maserati.com/jp/ja/models/granturismo/granturismo-trofeo

文/石川真禧照 撮影/萩原文博

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