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フォルクスワーゲン 「e-GOLF」試乗レポート クラスを超えた堂々とした上質な走り

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フォルクスワーゲン 「e-GOLF」試乗レポート クラスを超えた堂々とした上質な走り

ようやくフォルクスワーゲン・ゴルフの電気自動車「e-GOLF」が10月19日から発売になった。

■今回のe-GOLFはバージョン2

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「ようやく」というのは、じつはe-GOLFは、2013年9月のフランクフルトショーでワールドプレミアを行ない、日本では2014年10月に発表した。この時点では2015年夏に発売予定としていたが、発売は中止されたのだ。欧州では2014年に約1400台、アメリカでは100台余りが販売はされたが、いずれにせよ航続距離が190km(JC08モードで215km)で、製造コスト的にも厳しく、再検討が行なわれている。

今回登場したe-GOLFは、2014年に登場したe-GOLFと同様に、ゴルフ7をベースとしているものの、再設計されバージョン2に進化したモデルなのだ。ニューバージョンは、モーターの出力を115ps(85kW)から136ps(100kW)にアップし、サムスン製のリチウムイオン・バッテリーの容量も24.2kWhから35.8kWhに増大されている。これはバッテリーパックを増量したのではなく、バッテリーセルの性能向上により実現しているため、バッテリースペースは従来通りだ。

その結果、JC08モードでの航続距離は301kmとなり、充電も200V普通充電と日本の急速充電(CHAdeMO規格)に対応させている。さらに、普通充電も3kW(200V/15A)規格と、6kW(200V/30A)規格の倍速充電器にも対応している。この倍速充電器は、高容量駆動用バッテリーを搭載する次世代EV用に開発が進められているものだ。

新型リーフのバッテリー容量は40kWh、JC08モードでの航続距離は400kmだから、e-GOLFの航続距離はそれを少し下回るが、実用性能としては納得できるレベルに仕上がっている。

■試乗レポート

試乗車はベースのe-GOLFにオプションのテクノロジーパッケージ(アクティブインフォ・ディスプレイ、ダイナミック・コーナリングライト、ダイナミックライトアシスト、ダークテールランプ、LEDテールランプ)を装備したモデルで、ボディカラーはピュアホワイトだった。じつはeーGOLFのボディカラーはこの1色のみという設定になっているのだ。

エクステリアは、GTEと共通で「e-Mobility」ファミリーを示すバンパー左右にC字型のLEDランプを装着し、グリルにはブルーのラインが使用されている。インテリアもステアリングやシフトセレクターのステッチにブルーカラーを使用しているのが特長だ。

アクセルを踏み込むとモーターの鋭い加速が始まり、十分に速いと感じる。しかしけっこうアクセルペダに敏感に反応する。そこで、ドライビングモード(ドライビング・プロファイル)をノーマルからエコに変更してみると、加減速の多い市街地ではぴったりくる。ドライビングモード(ドライビング・プロファイル)はノーマル、エコ、エコ+という3種類のモードがあるが、エコ+は、エアコンも停止されるなどバッテリーの電力に不安を感じ始めた時に、航続距離を伸ばすモードだ。

なので、通常はエコでも加速力は十分だと思う。しかも、いざという時にアクセルを深く踏み込むと仮想キックダウン・スイッチが作動して、ノーマルモードの強力な加速力を引き出すことができるのだ。

なお公表データでは0−100km/h加速は9.6秒、最高速は150km/h。ただし、ドライビングモードの切り替えでエコ・モードで110km/h、エコ+モードでは90km/hに最高速が抑えられる。実用的な航続距離は200~250kmと見られ、自宅充電ができる人にとっては日常で十分使用できるレベルだ。

■コースティングもし、減速回生もする

走りで気になる減速回生は、Dモードではアクセルオフでの減速回生を行なわず、コースティング状態になる点が特長だ。回生ブレーキが欲しい場合は、セレクターを左に倒しD1、連続操作するとD2、D3と切り替わり、D3が最も減速回生ブレーキが効く状態だが、それでも思ったほどの減速ではない。

さらに回生ブレーキを強めたい場合は、セレクターを手前に引いてBポジションにするとe-GOLFとして最大の回生ブレーキとなる。最終的には停止するというが、このBポジションでは交差点で思い通りに停止できるほどの減速とはならず、ブレーキペダルをきちんと踏む必要がある。

つまりe-GOLFはワンペダル・ドライブにはならない。また、回生ブレーキの強さを調整するD1~D3という横方向のセレクターの操作も一般的には使用しない動きなので煩雑だ。これがステアリング部のパドルなら操作しやすくもっと積極的に使用できるはずだ。

ということで、市街地ではアクセルオフの回生ブレーキが強いBポジション、郊外路や高速道路ではDモードを使用すれば運転も楽で、これだけで事足りる気がする。

■優れた乗り心地と静粛さ

e-GOLFの車重は、ベースのゴルフ TSI ハイラインに比べ270kg重い1590kg(フロント:880kg、リヤ:710kg)。この増大分のほとんどはバッテリーの重量であることは言うまでもない。当然、ボディやシャシーは重量の増加に合わせてチューニングされているが、乗ってみるとその重量感、ゆったり感はやっぱりベースのゴルフとは一味違う。

乗り心地もかなりマイルドに感じられる。装着タイヤは205/55R16のブリヂストン・トゥランザT001で、タイヤの選択も乗り心地優先といえるだろう。

e-GOLFは電気自動車だが、モーターやインバーターの作動音もかなり入念に抑えられ、走行中のキャビン内の静粛性は、1クラス上といったレベルにある。

ゆったりとした快適な乗り心地、静かな室内はクラスを超え、電気自動車ならではのツボをしっかり押さえており、ステアリングの動きに対しては正確に応答する走りも含めてバランスのよさはゴルフファミリーでもトップレベルといえる。

もちろん、渋滞対応追従支援システム、ACCを含めて運転支援システムもフル装備され、インフォテイメントも、EV専用の9.2インチ・ディスプレイを持つディスカバーProが装備され「e マネージャー」により充電予約、航続距離などが表示できる。

スマートフォンを接続するモバイルオンライン・サービスより、最新の充電ステーションが検索でき、専用アプリを使用すれば、後席などからもインフォテイメントシステムの操作が可能など、装備的にも満足できるレベルにある。

■e-GOLFはフォルクスワーゲンの電動化戦略の先駆け

フォルクスワーゲンは、2025年までに電動化モビリティのリーダーになること、グループ全体で80車種のEV(50車種)、PHEV(30車種)を投入することを発表し、電動化のための新たなモジュラー・プラットフォーム「MEB」を開発することも明らかにしている。もちろんMEBの本当のターゲットは中国市場だろう。

MEBを採用した新世代EVは2020年に登場し、2025年にはEV販売で100万台を目指すとしている。つまりフォルクスワーゲンの電動化の本格化はMEB採用以後で、MQBを使用するe-GOLFはそのための先導モデルという位置付けだ。

2013年に発表されたe-GOLF前期モデルは本社工場のウォルフスブルグで少量生産されたが、今回のe-GOLF後期モデルはドレスデン工場で生産される。フォルクスワーゲンはドレスデン市と工場を新たに電動化の拠点とするすることを発表しており、e-GOLFはまさにその先陣に立つモデルとなる。

また今回のe-GOLFは、ヨーロッパ、アメリカ、日本などに展開されるが特にアメリカでのZEV規制に対応したモデルととしてアピールする役割も担っている。

日本でのe-GOLFは499万円で、PHEVのゴルフGTEが469万円という価格だが、クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金が得られるので、実質価格はe-GOLFは469万円、ゴルフGTEは449万円になる。もちろんゴルフGTIより50~70万円高いこと、特にe-GOLFは自宅での充電ができる人でなければ買いにくいなど、電動化モデル特有の制約があるが、フォルクスワーゲンが目指す電気自動車の姿を体現した興味深いモデルと考えることができる。

このニューモデルの販売はユニークで、インターネット専用サイトからの申込み(2017年12月25日まで)という方式だが、2018年以降は通常の販売方式になるはずだ。

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フォルクスワーゲン公式サイト

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