BMW M5 × Mercedes-AMG E63 S 4MATIC+ × BMW ALPINA B5 BITURBO
BMW M5 × メルセデスAMG E 63 S 4マティック+ × BMWアルピナ B5 ビターボ
絶版を迎えたロータス3兄弟を今こそ語ろう。エリーゼ/エキシージ/エヴォーラの偉大なる功績:前編
好事家を唸らす味わい
サーキット編では優劣つけがたい好勝負を繰り広げたM5とAMG E 63 S。では、ストリートではどのような走りを披露してくれるのであろうか? 快適性とラグジュアリー性を両立させる稀代のメーカーが放つ、アルピナ B5 ビターボを加え、3台で箱根の山を思う存分に駆け抜けた。
「安易な気持ちでのDSCカットは危険。サーキットでその制御を解き放て!」
特別な機能がついていれば試してみたいのが人情というものだ。例え春の嵐のせいで山道が濡れそぼっていても、新型M5に2WDモードが備わると聞けば、ほんのちょっとだけでも使ってみたいと思うのは私たちの職業病みたいなものである。だが、既に路面がしっかり濡れているようなコンディションでは、4WDモードでも600psと750Nmを決して侮ってはいけない。普段は使いこなせているように思えても、それはクルマ側の優れたシステムがコントロールしてくれているからであって、ドライバーの腕のせいではない。ちょっと深くスロットルペダルを踏むと、コーナー立ち上がりでズルリとリヤタイヤが滑り、十分すぎるほどのスリルを味わえる。
そこでやめればいいものを怖いもの見たさも手伝って“禁断”のDSCスイッチを長押しする。短く押すとダイナミックモードに変わるが、長押しすれば完全オフになるのは他のBMW同様。その状態ではスタンダードの4WDモードより“戦闘的”な4WDスポーツ、そして2WDモードの3種の中から選択できる。だが軽い気持ちで2輪駆動を選択してはいけない。2WDは「DSCオフ」とセットだから、当然、素手でロッククライミングに挑むような覚悟が要るのだ。
「クローズドコースでなければ思い切り踏めないほどの戦闘モードを備えている」
果たして、勢いよくスタートしようとしても後輪はジャーッとその場でホイールスピンするだけでまったく前に進まない。ちょっとだけコーナリングを試してみてもターンインがより敏捷になったかな、と感じる暇もあらばこそ、慎重に踏んだつもりだったが瞬間的に横を向く。これは手強いというより、公道ではリスキーだ。
M5のような硬派スポーツモデルは、モデルチェンジするたびにピューリタンなファンからやれ軟弱化したとか、ピュアなスポーツカーらしさを失ったなどという批判を受けるのが宿命だが、これならばストイックなエンスーたちも文句を言えないだろう。何しろクローズドコースでなければ思い切り踏めないほどの戦闘モードを備えているのだ。
ご存知の通り、M5はもう30年以上の歴史を持つ高性能セダンの代名詞である。昨年発表された新型M5は、現行G30型5シリーズセダンをベースとしたフラッグシップで、数えて6代目に当たる。今ではライバルのメルセデスAMG同様、SUVまで幅広くMモデルを揃えるBMWだが、その真髄がセダンのM5とM3であることに異議を唱える人はいないはずだ。その新型M5の最大の特徴は初めて4WDとなったこと。AMG E 63 Sもアルピナ B5 ビターボも同様、今や4WDでなければ600ps以上の強大なパワーを受け止めきれないということだろう。
「これはもう完全にスーパースポーツカーレベルである」
M5のエンジンは先代同様4.4リッターV8ツインターボ、ただしより強化されて600psと750Nmを生み出すうえに、トランスミッションもこれまでの7速DCTから8速ATに変更されている。さらに5シリーズ同様の先進的安全支援システムが備わることもM5としては新しい。こんな洗練度アップの一方で、最高速度はMドライバーズパッケージを装着すれば250km/hの紳士協定リミッターが外れて305km/hに達するという。これはもう完全にスーパースポーツカーレベルである。
オーナー自らステアリングを握る高性能ドライバーズセダンとしては実質的にM5とそのライバル、すなわちAMG E 63 Sとアルピナ B5 ビターボは最高峰クラスだろう。車両本体価格もM5が1703万円、E 63 Sは1805万円、B5 ビターボは1886万円という具合だ。さらに3台のメカニズム構成も似通っている。エンジンは3車ともV8ツインターボ。メルセデスが「ホットインサイドV」と称するVバンクの間に2基のターボチャージャーを詰め込んだタイプである。
「E 63 Sは腕っぷしの強さと豪快さを打ち出した男前セダンである」
近頃のAMGはドロドロ迫力剥き出しのエキゾースト音をはじめ、腕っぷしの強いことをアピールしているが、E 63 Sもまさしくそんな豪快さを打ち出した男前セダンである。新世代V8ユニットである4.0リッターV8ツインターボのM177型は、世間一般の見方ではダウンサイジングターボだが、もちろん出力も向上しており、E 63 Sでは612psと850Nmに達している。
もともとはAMG GT用(こちらはドライサンプ式でM178という)に開発されたもので、ターボラグを低減するために2基のターボチャージャーをVバンクの間に配置し、メルセデスが「ナノスライド」と呼ぶ特殊なシリンダーコーティングを採用して軽量コンパクトと高効率を追求した新世代ユニット。ナノスライドとはカーボンスチールをシリンダーウォールにプラズマ溶射する技術で、スチールライナーなどに比べてごく薄い層でフリクション低減に効果を発揮するという。ただし手間もコストも掛かるため採用例は少なく、ポルシェやメルセデス、日本車では新型NSXやGT-Rに使用されているぐらいだ。
「メルセデスで最もスパルタンなAMG GT Rよりも速い驚異的な加速」
このエンジンには低負荷時にV8のうちの4気筒を休止させる機構も備わり、コンフォートモードではかなり頻繁に8気筒と4気筒を切り替えるが、ドライバーにはそのオン/オフはまったく感じ取れない。一方でこのV8は4WDでなければ受け止めきれないほどの怒涛のパワーを生み出す。実際に思い切り回してみれば硬派もいいところ。回転フィーリングは荒々しく、M5のようにシュワーッと加速するのではなく、力ずくで押し出す感じ。
スポーツ+モード以上を選ぶとベリベリという獰猛な排気音も轟く。E 63 Sの0-100km/h加速はM5と同様の3.4秒、停止からのゼロスタートでは強烈なパワーを余さず路面に伝える4WDが有利であることは確かだが、それにしてもこの数字は、GT3レーシングマシーン譲りの技術を詰め込んだメルセデスで最もスパルタンなAMG GT R(同3.6秒)よりも速いのだ。
ちなみにE 63 Sもレースモードを選んでESPを解除し、両パドルを引くと後輪駆動固定の“ドリフトモード”がスタンバイする。これまた明確な武闘派モードなので、限られたコース専用と捉えるべきである。
「武闘派モードを備えた2台とは一線を画した独自の道を行くアルピナ」
そんな武闘派モードを備えた2台とは一線を画して独自の道を行くのがアルピナだ。B5 ビターボ リムジン アルラッドは、1年前のジュネーブ・ショーでお披露目された現行5シリーズベースの新型B5である。もちろん高性能ながら、控えめなその外観を見てもM5との距離感を巧妙に測っていることが分かる。昔風にエアダムあるいはチンスポイラーと呼んだ方がいいかもしれないが、フロントスポイラーと4本出しの専用エキゾーストぐらいがタダモノではないという手掛かりで、伝統のストライプを装着しなければ、普通の5シリーズと見分けがつかないだろう。
内外装ともに簡潔な「エレガンス」が特徴とするアルピナ B5だが、4.4リッターV8ツインターボエンジンは、608ps/800Nmを発生するアルピナ最強ユニットだ。しかもVバンクの中に収められた2基のツインスクロールターボやピストンをはじめ、インタークーラーなどの吸気系や排気系、冷却系までも専用コンポーネントに変更され、変速機もアルピナ専用のスイッチトロニック付き8速ATである。
「極めてエレガントでラグジュアリーだが巡航最高速度は330km/h」
M5と比べると2500rpm辺りでのターボブースト効果が明確だが、全体としてはより滑らかに一糸乱れず吹け上がる。リニアで癖のないハンドリングといい、滑らかな乗り心地といい、さらには高いスタビリティといい、極めてエレガントでラグジュアリーだが、0-100km/h加速は3.5秒、巡航最高速度は330km/hという超高速グランドツアラーであることを忘れてはいけない。それがアルピナの真髄なのである。
ちなみに、創業者の名前を冠した「アルピナ・ブルクハルト・ボーフェンジーペンKG」の歴史は、BMW 1500用のキャブレターを開発した50余年前に始まり(創立は1965年)、歴代のBMW各車をベースに極めて端正で高品質、そしてもちろん高性能なセダンとクーペを造り続けて来た。今もチューニングショップと誤解している人もいるが、れっきとしたマニュファクチュアラーとして認められているうえに、メルセデスのブランドのひとつとしてグループ企業となっているAMGとは対照的に、現在に至るまでアルピナはBMW本体との資本関係を持たない。それでいながらBMWとの深い協力関係を維持しているという実に珍しいポジションを守り続けているメーカーだ。生産能力は今も年間最大1700台というから、あのフェラーリの半分にも満たない。
「3台とも夢のスーパーセダンであることは間違いない」
3台とも夢のスーパーセダンであることは間違いない。ただその惚れ惚れするような剛速球は各々明確な個性を持つ。たまにはサーキットで“トラックデイ”を楽しむというスポーツドライバーはM5かE 63 Sが相応しいが、後者は最も荒々しいから日常的な快適性も重視したい向きはM5を選ぶべきだろう。
アルピナ B5は一般道から高速道路まで洗練された高性能を求める人向きのグランドツアラーだ。私ぐらいの年齢になると、アルピナの紳士的マナーがしみじみ魅力的に感じるのだ。
REPORT/高平高輝(Koki TAKAHIRA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
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みんなのコメント
e63だとm5で。
M5の勝利で終わりましたが、アリストが大健闘しました。