現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > さすがにメルセデスも看過できない!? エンブレムの「使用差し止め」まであった4座ガルウイングの魔改造車「ボシャート B300」の衝撃

ここから本文です

さすがにメルセデスも看過できない!? エンブレムの「使用差し止め」まであった4座ガルウイングの魔改造車「ボシャート B300」の衝撃

掲載 更新 1
さすがにメルセデスも看過できない!? エンブレムの「使用差し止め」まであった4座ガルウイングの魔改造車「ボシャート B300」の衝撃

 この記事をまとめると

■メルセデスのEクラスをベースにした「ボシャート B300」というカスタムカーがあった

【独占試乗】一発の速さは驚異的!! 富士スピードウェイで全開走行した「AMG C 63」はまるでF1だった!

■ガルウィングドアが特徴となっているほか、ヒンジ式ドアのモデルも用意されていた

■300台限定で4000万円弱の価格設定だったが、ガルウイング仕様は1台しか売れなかった

 メルセデス・ベンツファンの間で論争が起きた1台

 1980年代のドイツはカスタムカーやスペシャルチューニングモデルの天国だったこと、ご承知のとおり。AMGやケーニッヒ、シュトロゼックにDP、シュニッツァーなど枚挙にいとまがないとはまさにこのこと。クルマの出来ばえについてもバリエーション豊富で、玉石混交を通りこして百鬼夜行の体をなしているかと。現代に語り継がれるモデルもあれば、歴史のあだ花としてひっそりと姿を消していくモデルまで、スペシャルカーの世界はドラマチックとさえいえるでしょう。

 そんなドラマに登場したボシャートB300は、ちょい役だったことは否めませんが、我々に与えてくれたインパクトは主役級! なにしろ、300SLガルウィングを本気で凌駕しようと生まれた意欲的モデルなのです。

 やはりメルセデス・ベンツ300SLは永遠のアイドルなようで、1980年代のドイツでそれを復活させようとしたのが当初のモチベーションだったようです。

 この壮大な夢を実行に移していった勇者の名はヘルトムート・ボシャート。彼の名は、B300とともに語られることがほとんどですが、どうやらスタイリング・ガレージ(これまたドイツの夢のようなスペシャルカーメーカーで、代表作はなんといっても300SLガルウィングの精巧なレプリカ)と深い関係があった模様。

 で、ヘルトムートとしては、「いまの時代にガルウィングがないなら、作っちまおうぜ」てなノリで、ベースに選んだのはW124のクーペでした。素人考えとしてはSLをベースにして、ハードトップ化、その後にガルウィングドアを装備ってのがスムースな気もしますが、ヘルトムートはちょっと変わっているのかもしれません(笑)。

 バウハウスに代表されるように構築デザインに関してドイツ人の右に出るものはいません。クーペがベースでもさぞかし、すごいカスタムモデルが出来上がるかと思いきや、なんだかパースがおかしなケーブルカーのようなプロポーション。

 前から見ればR129のSLで、リヤスタイルはW124クーペっぽい、横から見たら山高帽みたいなシルエットですから、新鮮を通り過ぎて斬新、アバンギャルドな領域かと。

 ガルウイング仕様は世界に1台だけ!?

 このセンスを理解しなかったのか、メルセデス・ベンツはフロントノーズにあったスリーポインテッドスターの使用を差し止めています(プロトタイプでは使っていたものの、市販仕様ではボシャートのマークに変更)。

 それでも、やっぱりヘルトムートのコンセプトはしっかりしたもので、Cピラーを25センチ前進させることで前後重量バランスを最適化。また、リヤオーバーハングも同じく25センチ詰められたことでハンドリングが飛躍的に向上したとのこと。おまけに、3リッターストレート6をツインターボ化、市販モデルは283馬力を発生させることに成功しています。

 この時代のことですから、KKK製ターボチャージャーにベアーのインタークーラーという鉄板コンビだったのではないでしょうか。

 ちなみに、マニュアル5速という仕様もベンツのクーペといえばATしか思い浮かばない我々日本人にとってはかえって目新しいですよね。

 キモとなるガルウィングですが、クーペをベースにしただけあって後部座席へのアクセスも容易にする幅広いものとなっています。それゆえ、ウインドウガラスには苦労したようで、プロトタイプでは途中で分割されたスプリットタイプを採用。生産型では一枚ガラスになったようですが、ウインドウは下まで下がりきらないはず。

 また、インテリアにもこだわりまくるという当時のトレンドにしたがって、すべて特注のレザーでくるまれ、ガルウィング化にともなって太くなったサイドシルまでレザー張り。フロントシートは、よりスポーティになるようR129のものへと交換されていますが、ここらへんは顧客のオーダー次第でいかようにもカスタマイズできたのかと。

 ヘルトムートは完成したB300をフランクフルトショー(IAA)に出品し、限定台数300台と打ち出しました。それなりに反響はあった模様ですが、顧客のほとんどはガルウィングでなく一般的なヒンジドアを持ったクーペのほうに興味があったようで、市販されたガルウィングモデルはなんと1台のみ! 価格は16万5000マルクで、当時のレートでいえばおよそ4000万円弱。

 オリジナルの300SLが買えそうな金額だったためか、300台という数字にははるかに届かなかったとのこと。もっとも、1台だけの市販ガルウィングはオークションの予想落札価格が4500万円とされていますから、価値としては十分に評価されているといえなくもありません。

 夢があふれるような時代に咲いた、ちょっと変わった大輪の花、ボシャートB300を見ているとそんな感慨にふけるばかりです。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

新型[ハリアー]は大変身!? 新開発エンジンでボンネットが超低く!! 1.5Lターボ搭載のハイブリッドで登場なるか
新型[ハリアー]は大変身!? 新開発エンジンでボンネットが超低く!! 1.5Lターボ搭載のハイブリッドで登場なるか
ベストカーWeb
地球の自転を感じながら南へまっすぐ1000キロ走破! 赤土のアウトバックを時速120キロで爆走…受付閉鎖3分前にギリギリセーフ!!【豪州釣りキャンの旅_14】
地球の自転を感じながら南へまっすぐ1000キロ走破! 赤土のアウトバックを時速120キロで爆走…受付閉鎖3分前にギリギリセーフ!!【豪州釣りキャンの旅_14】
Auto Messe Web
ハジャルの起用は“育成プログラムのコンセプトの証明”。RB代表は「アイザックと裕毅は素晴らしいチームになる」と期待
ハジャルの起用は“育成プログラムのコンセプトの証明”。RB代表は「アイザックと裕毅は素晴らしいチームになる」と期待
AUTOSPORT web
アイザック・ハジャルがF1昇格。RBが2025年の起用を発表「チームのためにベストを尽くす準備はできている」
アイザック・ハジャルがF1昇格。RBが2025年の起用を発表「チームのためにベストを尽くす準備はできている」
AUTOSPORT web
計29サイズ! ブリヂストンが新型タイヤ「REGNO GR-X III TYPE RV」を発売へ! ミニバン・コンパクトSUV向けに深みを増したタイヤとは!?
計29サイズ! ブリヂストンが新型タイヤ「REGNO GR-X III TYPE RV」を発売へ! ミニバン・コンパクトSUV向けに深みを増したタイヤとは!?
くるまのニュース
ヤリス・クロスの韓製ライバルの実力は? ヒョンデ・バイヨンに試乗 6速MTで軽快な走り!
ヤリス・クロスの韓製ライバルの実力は? ヒョンデ・バイヨンに試乗 6速MTで軽快な走り!
AUTOCAR JAPAN
メルセデスAMG本社へはドイツ版新幹線「ICE」の1等車で! 優雅な旅を堪能できるかと思いきや、元気なオバサマたちに邪魔をされ…【みどり独乙通信】
メルセデスAMG本社へはドイツ版新幹線「ICE」の1等車で! 優雅な旅を堪能できるかと思いきや、元気なオバサマたちに邪魔をされ…【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
ホンダ「0シリーズ」SUVが来月初公開へ 米CES 2025でプロトタイプ2車種を出展
ホンダ「0シリーズ」SUVが来月初公開へ 米CES 2025でプロトタイプ2車種を出展
AUTOCAR JAPAN
大人好みに進化したアウトランダーPHEV【九島辰也】
大人好みに進化したアウトランダーPHEV【九島辰也】
グーネット
“トヨタのなかでトップレベルで戦えるドライバー”平川亮のF1テストは「コースをはみ出すことすらなかった」と中嶋TGR-E副会長が評価
“トヨタのなかでトップレベルで戦えるドライバー”平川亮のF1テストは「コースをはみ出すことすらなかった」と中嶋TGR-E副会長が評価
AUTOSPORT web
2025年始動、世界初の水素燃料ワンメイク競技『エクストリームH』がFIAのワールドカップ格式を取得へ
2025年始動、世界初の水素燃料ワンメイク競技『エクストリームH』がFIAのワールドカップ格式を取得へ
AUTOSPORT web
【ドイツ】プリウス顔な新型「ハイパークーペ」がスゴイ! 5リッター「V8」搭載のナラン・オートモーティブの新モデルとは
【ドイツ】プリウス顔な新型「ハイパークーペ」がスゴイ! 5リッター「V8」搭載のナラン・オートモーティブの新モデルとは
くるまのニュース
上海汽車傘下のMG、「半固体電池」搭載EVを2025年発売 コスパ強調
上海汽車傘下のMG、「半固体電池」搭載EVを2025年発売 コスパ強調
AUTOCAR JAPAN
国産最高級ミニバン『アルファード』『ヴェルファイア』に初のPHEVが登場。1065万円から
国産最高級ミニバン『アルファード』『ヴェルファイア』に初のPHEVが登場。1065万円から
AUTOSPORT web
新SUV時代に挑むトヨタ、ミツビシ、シボレーの全15チームに対し異例の“ドラフト制”で布陣が確定/SCB
新SUV時代に挑むトヨタ、ミツビシ、シボレーの全15チームに対し異例の“ドラフト制”で布陣が確定/SCB
AUTOSPORT web
日本の道路事情にピッタンコ!? 旧型「ミニ」生産終了から四半世紀 なぜ高値安定なのか?
日本の道路事情にピッタンコ!? 旧型「ミニ」生産終了から四半世紀 なぜ高値安定なのか?
乗りものニュース
【メキシコ】日産の新型「キックス」が人気スギ!? 8年ぶり全面刷新で“大胆顔”に!全長4.3m級ボディ&「クラス超え上質内装」の「小さな高級車」が売れてる
【メキシコ】日産の新型「キックス」が人気スギ!? 8年ぶり全面刷新で“大胆顔”に!全長4.3m級ボディ&「クラス超え上質内装」の「小さな高級車」が売れてる
くるまのニュース
ホンダが大型スクーターの「X-ADV」をアップデート! 新型ヘッドライトや先進装備の採用で「カッコよさ&快適性」が大幅アップ
ホンダが大型スクーターの「X-ADV」をアップデート! 新型ヘッドライトや先進装備の採用で「カッコよさ&快適性」が大幅アップ
VAGUE

みんなのコメント

1件
  • kmq********
    NHK「魔改造の夜」に出演したウサちゃんに似ている
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

952.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

52.0838.0万円

中古車を検索
Eクラス クーペの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

952.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

52.0838.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村