独ポルシェは7月13日、イギリスで開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにおいて、新しい電動スポーツカーのコンセプトモデル「ビジョン357スピードスター」をお披露目した。
ビジョン357クーペに対してパワートレーンをEV化
今回ポルシェが製作したビジョン357スピードスターは、その名が示すとおり、今年1月に公開されたコンセプトカー「ビジョン357」(クーペ)のオープントップバージョンだ。ビジョン357はポルシェ初のスポーツカーとして1948年に登場した「356」にオマージュを捧げる2ドアクーペコンセプトで、現行ポルシェの中でも特別スパルタンな「718ケイマンGT4 RS」をベースとしていた。
ポルシェでは、ビジョン357をオープントップ化するあたり、パワートレーンも大胆に換装。ミッドシップレイアウトされた500psを発生する4.0リッター直6ガソリンエンジンは、モーターとバッテリーに置き換えられ、ビジョン357スピードスターは完全なバッテリー電気自動車(BEV)となっている。
詳しいスペックは公開されていないが、モーターとバッテリーのテクノロジーは2021年に公開された電動レーシングカーコンセプト「ミッションR」に、シャシーは「718 GT4クラブスポーツ」に、それぞれ由来するという。参考までミッションRはツインモーターで全輪を駆動し、そのパワーは最大で1,088psに達するモンスターマシンだったから、ビジョン357スピードスターもほぼ同等のスペックを備えている可能性がある。
そして、ポルシェ伝統のスピードスタースタイルを採用したことも、このコンセプトカーの大きなトピック。というのも、低いウインドウシールドに簡素な幌を持つスピードスターは、ポルシェの元祖たる356にも設定されたスポーツカーならではのボディスタイルで、ブランドのルーツを表現するビジョン357としてこれほどふさわしいバリエーションはないからだ。
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ケイマン/ボクスターのEVバージョンを示唆か
また、純粋に1台のスポーツカーとして見ても、ビジョン357スピードスターのスタイリングはかなり魅力的だ。ボディ各所には1948年の356登場から75年になることを表現したペインティングが施されており、フロントフェンダーのダークなメタリック塗装も相まって、いかにも速そうなルックスに仕上げられている。さらに、不格好なルーフ格納部を持たないスピードスターならではのサイドビューや、助手席側をカバーで覆ったレーシーなディテールもスパルタンなムードを高めている。
細かく見ていくと、丸目形状の4点式ヘッドライトシグネット、グリルをイメージしたリアエンドの垂直バー、極太リムのホイール(素材は最先端のマグネシウムとカーボンファイバー)等々、ビジョン357スピードスターの各部には356への言及があふれており、このあたりもマニア垂涎のポイントだろう。
なお、ビジョン357スピードスターは、クーペおよびスピードスターとも市販化のアナウンスはないが、先述したミッションRは「ケイマン/ボクスター」のEVバージョンを示唆しているとの見方もある。ということは、次期ボクスターのスピードスターバージョンが似た姿で限定生産される可能性もゼロではない。ファンとしてはポルシェからのアナウンスを注意深くフォローしていきたいところだ。
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