トヨタの新型「クラウン」に設定されるエステートについて、小川フミオが考えた!
3列シート仕様が用意されるかも
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トヨタ自動車が、新型クラウンを2022年7月15日に発表した。驚いたのは、4つの車型が同時にお披露目された点だ。話題の中心は2022年秋に発売が予定されているクロスオーバーだけれど、エステートという魅力的なモデルもラインアップされている。これは見逃せない。
エステートは、セダンの荷室を大きくしたステーションワゴンの別名。じっさい、今回のクラウン・エステートもルーフの前後長が長くとられている。
トヨタ自動車は、「大人の雰囲気で余裕のある走りを持つ機能的なSUV」と説明。同社が掲げる「開発目標値」によると、全長は4930mmと長めだ。ホイールベースも2850mmあり、ハッチゲートをそなえたボディの全幅は1880mmで、全高は1620mm。
電動パワートレイン搭載というだけあって、いわゆるグリルレスグリル(従来のガソリン車とは異なり大きな開口部を目立たなせないデザイン)を採用。それが斬新な印象を与えるが、ボディのプロポーションは、レクサス「RX」などで試みてきたクロスオーバータイプに近そう。
フロントマスクとボディ色によって新しいイメージを与えつつ、パッケージはトヨタにとって長い間の経験を活かせるものだろう。ロング・ホイールベースを活かして、3列シート仕様が用意されるのも想像に難くない。
思い出のクラウン・ステーションワゴン
クラウンにはかつてステーションワゴンモデルが存在した。1962年に2代目クラウンをベースに開発されたのが初代で、以降、1999年から2007年まで生産された8代目まで作り続けられた。
私が特に好きだったのは、1987年に登場した8代目ベースだ。ふわっとした乗り心地にこだわったトヨタがあえて採用していたセパレートフレームのよさがあって、印象のいいモデルだった。
このころ、トヨタにとってクラウンは看板車種。大きな荷室があっても、クラウンのステーションワゴンとはいかなるモデルであるべきか? と、理想主義的に追求した感がビンビンと感じられたものだ。
エンジンには、160psと当時はけっこうパワフルな印象の2.0リッター直列6気筒スーパーチャージャー仕様もあったし、いっぽうでディーゼルターボも意外なほど気持ちのいいものだった。
格納式3列シートがあるいっぽうで、フロントシートはいわゆるベンチタイプも選べて、快適なセダン/ステーションワゴンというある種のクルマ文化の総決算のようなクルマだった。
保守的といえば保守的だけれど、「月の光とラブソングはけっして流行遅れにならない」とは、かつてフランク・シナトラも歌った「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」の有名な歌詞の一節。そんなことを想起させるクルマだった。いまでも乗ってみたいと思う。
これからどんなふうに“成長”していくのか?
新世代のクラウン・エステートは、印象はまったく違う。ほかの例を探すと、キャデラックが2022年に発売したピュアEV「リリック」が思いつく。全長4996mmで、全高1623mmのクロスオーバータイプの車型。これがキャデラックにとって「将来のラグジュアリーモデルの頭出し」とされている。
電気モーター搭載のメリットを活かして、ホイールベースは3mを超えるリリック。プレミアムマーケットを狙うクルマだからって、デザインでもメカニズムでも保守的である必要はない、と考えているようだ。
むしろブランドの顔になれるような上級車種だからこそ、新しいセグメントを開拓していく気概を示すことが必要ではないか。欧米のメーカーによく見られる考えだ。
その意味でも、大胆ともいえるスタイリング・コンセプトを持つ新クラウン・エステートへの期待が高まる。
できれば、あとは演出に期待したい。フロントマスクにも室内にもLEDを多用してライトショーのように楽しませてくれるキャデラック・リリック。
同様に、クラウン・エステートのデザインにも、ある種のエンターテインメント性が欲しいと私は思う。それも楽しみにしているのだ。
「発売は2023年以降」と、現時点ではまだまだ不確定要素が多いクラウン・エステートだが、さて、これからどんなふうに“成長”していくかのか? 開発陣の奮闘に期待する。
文・小川フミオ
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もっと美的センスの優れたデザイナーを起用すべき。