現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 4代目へ進化 アウディS8に試乗 571ps 新次元と呼べる走り 快適性も向上

ここから本文です

4代目へ進化 アウディS8に試乗 571ps 新次元と呼べる走り 快適性も向上

掲載 更新
4代目へ進化 アウディS8に試乗 571ps 新次元と呼べる走り 快適性も向上

2230kgのボディに571psのV8ツインターボ

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)

【画像】アウディS8、A8とSクラス 全56枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


アウディS8が挑戦する舞台は、自動車ビジネスでも最も戦いの厳しい場所。自動車メーカーのプライドを掛けて、最上級のリムジンを提供する必要がある。圧倒するほどの贅沢さに快適な乗り心地と、気持ちが安らぐ上品さ。目の肥えた顧客の要求は低くはない。

アウディが掲げるフラッグシップのスポーツ仕様の場合、それに加えてスーパーカー級の高性能も求められている。プレミアム・ブランドのライバルモデルを凌駕する、ドライバーが積極的に操る喜びも期待されてくる。

これらのすべてを全長5m以上、車重2230kgのボディに収める必要がある。従来までのS8でも達成を目指した内容ではあったが、ハイエンドモデルの競争で高い成功を収めることはできなかった。

新しくなったS8は、驚くほどの仕上りを得てきた。エンジンは改良を受けた4.0LのV8ツインターボ・ガソリンで、マイルド・ハイブリッドを搭載。アウディ最新のサスペンションが足元を支えている。

ただし最高出力は571psで、第3世代のS8と比べると、エンジンは基本的に同じものながら34psほど目減り。そのかわり最大1.8barに高まるターボブーストの力を借りて、最大トルクは5.1kg-m向上。2000~4500rpmで81.4kg-mを発生する。

プレミアムライバルで比較してみると、マイナーチェンジを受けたBMW M750i xドライブが搭載するのは4.4LのV8ツインターボで、最高出力530ps、最大トルク76.3kg-m。メルセデスAMGのS63は、4.0LのV8ツインターボで、最高出力611ps、最大トルク91.6kg-mとなる。

マイルドハイブリッドと新サスペンション採用

S8の増強されたパワーは、マニュアル変速もできるティプトロニック機能付き8速ATへ伝達。4輪駆動システム、クワトロには、後輪左右へ伝達されるトルクを必要に応じて変化させる、スポーツ・ディファレンシャルも装備する。

リアタイヤには最大で85%のトルクが伝えられる。一方で、必要に応じて最大70%のトルクをフロントタイヤへ送ることも可能だ。

アウディが新しいS8で強調するのがエネルギー効率の高さ。都市部など軽負荷時には、V8エンジンの片側4気筒を休止させる、シリンダー・オンデマンドと呼ばれるシステムを採用した。

0.47kWhと容量は小さいがリチウムイオンバッテリーも搭載し、電圧48Vのスターター・ジェネレーターによって最大で8kWのエネルギーを回生するマイルド・ハイブリッドも組み合わされる。これらによって燃費は最大で0.07km/L伸ばせるとしている。

技術的には思慮されているものの、結果は伸びていない。先代の燃費は10.4km/Lだったのに対し、新しいS8は8.7km/Lに留まる。二酸化炭素の排出量も、260g/kmと少なくない。

快適性とスポーティさを両立させているのが、新しいサスペンション。プレディクティブ(予測型)アクティブ・サスペンションと呼ばれるもので、カメラを用いて路面をスキャニングし、アクチュエータによって車高を常に調整するもの。

路面状態によって4輪を個別に、負荷を与えたり逃したり、といった制御が可能になる。コンフォート+モードでは、コーナリング時に車体を傾けて横方向の遠心力を弱める。ダイナミックモードでは、標準的なスプリング製のサスペンションの半分にまでボディロールを減らすことができるという。

インテリアの秀逸さはクラスを問わず

ダイナミック4輪ステアリング・システムは、前輪の切れ角を条件に応じて変化させるだけでなく、後輪にも舵角を与える。低速では前輪と逆に後輪が向きを変え、小回りを有利にし、高速域では前輪と同じ向きに角度がつけられ、安定性を高めてくれる。

アウディのハイパフォーマンス・サルーンは、これまでも控えめな見た目を持っていたが、今回も同様。4代目となったS8も、標準のA8と比べるとわずかにボディは筋肉質になっているものの、その差は僅かで、これ見よがしなところはない。

S8専用仕立てなところは、ルーバーが2重になったフロントグリルと、ワイドになったサイドスカート、アルミ風のミラーハウジングなど。楕円4本出しのマフラーカッターが、S8モデルであることを後ろ姿で物語る。

運転席のドアを開くと、車高が50mm自動で下がり、乗り降りを簡単にしてくれる。ドアを閉めると、エアサスペンションが膨らみもとに戻る。新しいシステムを内包することを示す、さりげない機能だ。

インテリアはエクステリアと同様に、標準のA8から細かな変更を受けている。個人的には、価格帯を問わず最高の仕上がりの1台だと思う。カーボンファイバーとアルミニウムの装飾トリムが加わり、新しいS8の雰囲気を一層引き立てている。

視覚的にも触覚的にも高級感あふれる素材に、シャープなグラフィックを表示するデジタルメーターと10.1インチのインフォテインメント・システムモニター。マルチファンクション・ステアリングホイールに、サポート性の良いスポーツシートが組み合わさり、運転環境としてはファーストクラスだと断言できる。

新しい足回りが叶えるこれまでにない走り

一般的な条件なら、変速も機敏でアウディの加速は極めて鋭い。そこでの主役は571psのV8エンジン。0-100km/h加速3.9秒でこなす、信じられなほどのパフォーマンスを見せつける。

滑らかなトルクコンバーター式の8速ATとクワトロ・システムが、最上級の高速クルージング時だけでなく、瞬発力の面でも重要な役割を果たしている。加えてスピーカーからはリアルな合成サウンドが聞こえてくるから、ドライバーを夢中にさせる雰囲気を作り出してくれる。

安楽至極のコンフォート+モードであっても、細かなアクセル操作での滑らかさは変わらず、スポーツモードで走らせている時とは別の豊かさがある。都市部ではエコモードを選択することで、シリンダー・オンデマンド機能により4気筒エンジンとして走行も可能だ。

新しいS8で最も注目するべきところが、予測型アクティブ・サスペンションと、ダイナミック4輪ステアリング・システムの獲得で得られた機敏な身のこなし。これまでにないドライバーとのコミュニケーション力と、レスポンスを獲得している。

5mを超えるボディにも関わらず、条件を問わず正確性に優れ、S8を自信を持って操ることができる。カーブの続くような区間でも、活気のある自然な振る舞いが味わえ、これまでの大型のアウディには備わっていなかった性格を得た。

サスペンションは毎秒18回の細かさで減衰特性を変化させ、オートバイのようにコーナーでイン側に傾けるような姿勢制御も実現。新しいS8は常に落ち着きのある、滑らかな走りを披露する。直進性の良さも引き上げられ、高速走行時での安定性は秀逸だ。

走りも快適性も新次元のS8

4輪ステアリング・システムのおかげで、低速域での回転半径を抑えることができており、込み入った都市部での運転や駐車時で威力を発揮する。地形に対する乗り心地も改善を受けているが、うねりや鋭い凹凸に対する処理はまだ完璧ではない。

S8が従来から備えてきたのは、所有することへの満足感の高さだった。反面、運転を積極的に楽しみたいドライバーにとって、本当に優れたクルマに匹敵する一体感や操縦性の良さを備えていなかったところが課題だった。

それに対し、これまではアウディも真剣に取り組んでこなかったように思う。アウトバーンでの圧倒的な直線スピードは備えていても、一般道へ降りると今ひとつ、ということが通例だった。

ところが新しいS8は異なる。従来のS8らしい静的な質感に加えて、ダイナミクス性能も新次元と呼べるまでに引き上げてきた。ドライバーとS8とが、新しいレベルでつながることができる。

さらに先進的なサスペンションが、快適性の面でもアウディのフラッグシップとしての新次元を打ち立てている。これほどの説得力を備えた、季節を問わない万能サルーンは、滅多にお目にかかれない。

アウディS8のスペック

価格:未定
全長:5172mm(A8)
全幅:1945mm(A8)
全高:1473mm(A8)
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:3.9秒
燃費:-
CO2排出量:-
乾燥重量:2230kg
パワートレイン:V型8気筒3993ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:571ps/6000rpm
最大トルク:81.4kg-m/2000-4500rpm
ギアボックス:8速オートマティック

【キャンペーン】マイカー・車検月の登録でガソリン・軽油7円/L引きクーポンが全員貰える!

こんな記事も読まれています

小松礼雄ハースF1代表がヒュルケンベルグ後任のドライバー選定に言及。「最終決定権はジーンにあります」
小松礼雄ハースF1代表がヒュルケンベルグ後任のドライバー選定に言及。「最終決定権はジーンにあります」
AUTOSPORT web
「ム、ムシだぁぁ!」 車内に「虫」侵入! どう対処すべき? “潰す”のは絶対ダメ! 最も「効果的かつ安全」な方法は
「ム、ムシだぁぁ!」 車内に「虫」侵入! どう対処すべき? “潰す”のは絶対ダメ! 最も「効果的かつ安全」な方法は
くるまのニュース
生まれ変わったプリウスが売れている!! やはりクルマに必要なのは「愛」…なの…か?
生まれ変わったプリウスが売れている!! やはりクルマに必要なのは「愛」…なの…か?
ベストカーWeb
警察官とて人の子……なんて言い訳は通用しない! 警察の「道交法違反」を警察が取り締まるなんて事態が実際にあった!!
警察官とて人の子……なんて言い訳は通用しない! 警察の「道交法違反」を警察が取り締まるなんて事態が実際にあった!!
WEB CARTOP
EVシフト一服の中、日産の最新EVに試乗 エンジン好きが感じたEVの魅力と難しさ
EVシフト一服の中、日産の最新EVに試乗 エンジン好きが感じたEVの魅力と難しさ
日刊自動車新聞
大人のスタイリングを楽しむレイズ ホムラのデザインに注目~2024 RAYS FAN MEETING~
大人のスタイリングを楽しむレイズ ホムラのデザインに注目~2024 RAYS FAN MEETING~
レスポンス
【4月期の新車販売は4カ月連続マイナス】 新モデルや出荷停止解除も予断を許さない状況か
【4月期の新車販売は4カ月連続マイナス】 新モデルや出荷停止解除も予断を許さない状況か
AUTOCAR JAPAN
小山美姫が新たな挑戦。ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアにアイアン・リンクスから参戦へ
小山美姫が新たな挑戦。ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアにアイアン・リンクスから参戦へ
motorsport.com 日本版
ホンダ「シティ」復活か? 新型「小型ハッチ」が大ヒットの予感!? 日本に適した“小さいEV”が求められるワケ
ホンダ「シティ」復活か? 新型「小型ハッチ」が大ヒットの予感!? 日本に適した“小さいEV”が求められるワケ
くるまのニュース
従わないと違反になる? 商業施設でたびたび見かける「右折入庫禁止」の看板
従わないと違反になる? 商業施設でたびたび見かける「右折入庫禁止」の看板
バイクのニュース
V12ツインターボで835馬力 英アストン マーティン「ヴァンキッシュ」年内復活へ 少量生産モデルか
V12ツインターボで835馬力 英アストン マーティン「ヴァンキッシュ」年内復活へ 少量生産モデルか
AUTOCAR JAPAN
彼女のダッジ「チャージャー」は国産セダンからの乗り換え!「インテリアはDIYでアルカンターラに張り替え中です」
彼女のダッジ「チャージャー」は国産セダンからの乗り換え!「インテリアはDIYでアルカンターラに張り替え中です」
Auto Messe Web
カーユーザーの半数以上が連続で運転できる時間は「3時間未満」と回答
カーユーザーの半数以上が連続で運転できる時間は「3時間未満」と回答
@DIME
総合商社恐るべし!? 伊藤忠がビッグモーター新会社へ社長・幹部ら50人超派遣[新聞ウォッチ]
総合商社恐るべし!? 伊藤忠がビッグモーター新会社へ社長・幹部ら50人超派遣[新聞ウォッチ]
レスポンス
ヤマハ「大きく変更したシャシーをテスト」。ホンダ「進むべき方向性がわかった」/MotoGPヘレス公式テスト
ヤマハ「大きく変更したシャシーをテスト」。ホンダ「進むべき方向性がわかった」/MotoGPヘレス公式テスト
AUTOSPORT web
バイク好き必見!バイクの博物館とは?
バイク好き必見!バイクの博物館とは?
バイクのニュース
大型トラックにある「謎の小部屋」 室内はどんな感じ? 実は“快適”な空間!?  どんな使い方が出来るのか
大型トラックにある「謎の小部屋」 室内はどんな感じ? 実は“快適”な空間!? どんな使い方が出来るのか
くるまのニュース
写真でチェック! 注目モデルの気になるグレード【ホンダ ヴェゼル e:HEV X HuNTパッケージ】
写真でチェック! 注目モデルの気になるグレード【ホンダ ヴェゼル e:HEV X HuNTパッケージ】
月刊自家用車WEB

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2091.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

178.01720.0万円

中古車を検索
S8の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2091.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

178.01720.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村