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スーパーフォーミュラの外国人ドライバー&参戦チーム増加の鍵は、“第3のエンジン”?:英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記

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スーパーフォーミュラの外国人ドライバー&参戦チーム増加の鍵は、“第3のエンジン”?:英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記

 スーパーフォーミュラ参戦中のリアム・ローソンがアルファタウリからF1デビューを果たし、早くもポイントを獲得したことが話題となりましたが、コロナ禍による制限もひと段落した今、ローソンの活躍に触発されてスーパーフォーミュラをキャリアの選択肢として考える外国人ドライバーも再び増え始めているのではないでしょうか。

 しかしながら、現在のスーパーフォーミュラはいわゆる“ホンダ系”、“トヨタ系”のドライバーが多くを占めているため、外国人ドライバーが参戦するチャンスは少ないのが実情です。

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 メーカー系のドライバーがグリッドに多いことは必ずしも悪いことだとは思いません。ただ、コロナ禍以降で外国人ドライバーの数が減ったことは確かです。ジュリアーノ・アレジがシーズン途中でシートを失ったことで、2023年シーズンにおけるスーパーフォーミュラの外国人ドライバー数は3人となりました。2024年に向けても、その数が大幅に増えることはなさそうです。

 しかし、スーパーフォーミュラを運営するJRPの近藤真彦会長は今年初め、次のように語っていました。

「才能のある外国人ドライバーを、どんどん迎え入れたいと思っています。それはホンダさんやトヨタさんにもお願いしなきゃいけないことだと思いますけどね」

「スーパーフォーミュラを、各メーカーの育成の場、未来のための場にするんじゃなくて、今のスーパーフォーミュラをもっと盛り上げようという形にできればと思っているんです。あの外国人ドライバーを呼んだらいいんじゃないか? そう言えるような環境を作りたいですね」

 ただそうなった場合、チームにとっては新たに外国人ドライバーやスポンサーを探す必要性が出てくるため、安定性や利便性を失うとも言えます。また、エンジンサプライヤーとの関係にも影響が出るかもしれない、というリスクもあります。一説には、かつてTeam LeMansがトヨタ陣営からの参戦を終了することとなったのは、トヨタ系ドライバーだけのラインアップとするか否か、海外からドライバーを獲得するか否かで意見が合わなかったことが理由のひとつなのではないか、という話もあります。

 しかもスーパーフォーミュラ自体がホンダとトヨタから大きなサポートを受けて成立しているシリーズであるため、メーカーの意向にかかわらず外国人ドライバーやその受け皿となる新規参入チームを増やしていくことが難しいのは確かでしょう。しかし、新規チームを誘致するためにシリーズ側ができることもあると考えます。

 そのための最良の方法は、“第3のエンジン”ではないでしょうか。しかもそれは、新たに自動車メーカーが参入して製造、供給するエンジンというよりも、かつて1960年代から1970年代のF1で隆盛を誇ったフォード・コスワースDFVエンジンのような、低コストで誰もが入手できるようなエンジンが理想でしょう。

 そういった路線をとった選手権の最近の例としては、イギリスのBTCC(イギリス・ツーリングカー選手権)が挙げられます。2010年、同選手権はスウィンドン・パワートレインと契約し、『TOCAエンジン』(TOCAはBTCCプロモーターの略称)を生み出しました。これによって参戦チームには、高価なファクトリーエンジンの代わりに低コストのエンジンを使用するという選択肢が生まれました。

 しかもTOCAエンジンは1年目から2勝を挙げ、2012年には早くもグリッドの半数がTOCAエンジンユーザーになっていました。2020年、2021年には、TOCAエンジンを積んだインフィニティQ50を駆るアシュリー・サットンが2年連続でチャンピオンに輝いています。2022年には提携先がスウィンドンから、WRCでのフォードとの協業でもお馴染みのMスポーツに切り替わりましたが、今も半数弱がTOCAエンジンを使っています。

 スーパーフォーミュラでも、ホンダやトヨタとは無関係なエンジン専門の企業と手を組んで、“JRPエンジン”を製造したりと、BTCCと似たようなことができるのではないでしょうか? もちろん、シリーズがそのエンジンのネーミングライツを販売すれば(かつてのF1でのペトロナスエンジンやプレイライフエンジン、タグ・ホイヤーPUのように)、追加の収入源にもなります。

 実際、こういったケースは日本のレース界でも珍しいことではありません。スーパーGTにはシャシー、エンジンなどの主要部品が共通のGT300MCという車両規定が存在しますが、そこでは日産のV8エンジンが搭載されており、そのエンジンはプロモーターであるGTAの名を冠して“GTA V8”と呼称されています。

 今年の初め、JRPの上野禎久社長と話をしました。その時彼は、日本人ドライバーの数を減らして外国人ドライバーを増やすというよりは、例えばグリッドを30台まで拡大し、その内10名が外国人ドライバーとなるのが理想だとしていました。しかし、ホンダ、トヨタに代わる新しいエンジンが供給されない限り、これが現実になるとは考えにくいです。

 また上野社長は、将来的に第3のエンジンメーカーを迎え入れる可能性を排除するつもりはないとしていましたが、今こそBTCCを見習って“JRPエンジン”の構想を練ってみるべきではないでしょうか。

 これは新規参入チームの誘致に役立つというだけでなく、既存チームがエンジンサプライヤーを変更できるという点も魅力的かもしれません。例えばB-Max RacingやTGM Grand Prixといったチームが低コストのエンジンに興味を示すことは想像に難くありません。

 ただ、そういった新参のエンジンには性能面で疑問符がつくかもしれません。しかしそこはシリーズの運営側がレギュレーションを調整することができます。例えばJRPエンジンユーザーの年間で使用可能なエンジン数を増やしたり、もしくはOTS(オーバーテイクシステム)の使用時間などでハンデを設けたりすることができるでしょう。もちろん理想はそういったルール調整をせずとも、ホンダやトヨタと同様のエンジンが供給されることですが……。

 そしてJRPエンジンを供給すべきだと考える最大の根拠は、もしホンダかトヨタ、もしくはその両方がスーパーフォーミュラへの関心を失ってしまった場合にも、シリーズを存続させることができるということです。

 現状、ホンダかトヨタのどちらかがスーパーフォーミュラから撤退してしまった場合、もう片方のメーカーがシリーズに参戦する全車にエンジンを供給することは考えにくいです。しかしJRPエンジンがあれば、そのような不測の事態が起きた時にも対処できるはずです。

 もちろん、JRPエンジンのような構想を立ち上げるには時間とコストが少なからずかかってくるでしょう。しかしその見返りとして、スーパーフォーミュラはより活気のある、持続可能な選手権になるでしょう。

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みんなのコメント

1件
  • mat********
    日産系のドライバーだって参戦しているんだから、トヨタかホンダに乗れば良いだけ。外国人ドライバーだって、ホンダ、トヨタと関係を構築できないわけではない。別にワークスドライバーになる必要ないし実力があれば乗れると思う。
    それをいうならシボレーとホンダがPU供給しているインディカーはどうなのよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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