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【比較試乗】「日産スカイライン400R vs BMW M340ixDrive vs アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ」和製スポーツセダンが欧州の列強に挑む

掲載 更新 31
【比較試乗】「日産スカイライン400R vs BMW M340ixDrive vs アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ」和製スポーツセダンが欧州の列強に挑む

昨年のビッグマイナーチェンジで「NISSAN」のエンブレムが復活し、“スカイラインが帰ってきた!”と安堵した信者は少なくないはずだ。しかも、トップモデルには400psオーバーの400Rがラインナップ。自らスポーツセダンと名乗るからには、その実力を確かめずにはいられない。欧州を代表する2台の猛者を携えて、勇躍オープンロードに繰り出してみた。

405psで560万円はバーゲンプライス!?

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1957年の初代から数えて13代目となる現行のスカイラインが登場したのは2014年。海外ではインフィニティの基幹車種「Q50」として販売されているという背景から、日本でもインフィニティのエンブレムを背負いながらもスカイラインを名乗るかたちになったのはご存知の通りだ。当時の日産において、国内販売がいかにおざなりにされていたかが伝わってくるエピソードである。

そのスカイラインがVモーショングリルや丸く灯るテールランプなどを纏った、出自明確な日産銘柄として日本市場に打って出たのは昨年のこと。ビッグマイナーチェンジに相当するこのモデルの一番のウリは、ハイブリッドに標準装備されたプロパイロット2.0、高速道路上でのハンズオフドライブを可能にしたADASだ。

が、クルマ好きが注目したのはパフォーマンス側のトップグレードとして設定された400Rではないだろうか。搭載されるエンジンはVR30DDTT。日産にとっては最新世代の3L V6だが、400Rはタービン回転センサーを用いたブースト管理の厳密化による過給圧の大幅な向上や、水冷式インタークーラーの採用により、405ps/475Nmというハイスペックを得ている。

まず、そのパワーをFRで抑え込むという図式に心揺さぶられる大人も少なからずいらっしゃることだろう。加えていえば、標準グレードに対しては一見、黒いミラーとリアのエンブレム、そしてバネ下回りくらいしか識別点がないというあたりも、往年のスカGの羊の皮を被った~的なイメージと重ならなくもない。そして何より、560万円余という価格は、同等のパワーを持つ同格の輸入車勢からみればバーゲンプライスだ。同等モデルがレッドスポーツ400として販売されている米国での価格をみても、日本の値付けは相当頑張ったものといえるだろう。果たしてスカイライン400Rは、比較対象たるライバルと相まみえるとどんな魅力が際立ってくるのか。

日常と非日常を巧みに両立してみせる

まず試乗したのはBMWのM340ixドライブだ。搭載するエンジンはGRスープラなどにも採用されているB58系3L 直6直噴ツインスクロールターボだが、Mパフォーマンス銘柄であることを387ps/500Nmというエンジンスペックで示している。4WDは駆動配分をリア寄りとしイニシャルでも旋回性を重視、そこにMスポーツディファレンシャルを組み合わせることで後輪左右の差動を緻密にコントロールし、コーナリング性能とスタビリティを両立させている。

Mスポーツ以上でM未満というMパフォーマンスの立ち位置は、座って握る小径で太芯なステアリングからして、はっきりと伝わってくる。試乗車は走り込みが進んだこともあってか、登場当初感じられた硬さは角が取れた感はあったが、それでも大きな凹凸や目地段差では跳ね返しははっきりと強めだ。ただしボディの剛性は強烈で、大きな突き上げなどもガッチリと受け止めては残響すら響かせず一発で減衰させる。どえらく精緻で硬質なものに乗っているという感触は、このクルマの性格を重厚にさえ思い込ませる。

それだけに、曲がった際のシャープな動きには驚かされるはずだ。ロールは定常的ながらその量は小さく、駆動配分も活かしながらパワーをしっかり旋回力に振り向けてスキッと向きを変えていく、その限界の高さと精緻なフィードバックは先代とは一線を画した、新しい3シリーズがみせる新しいBMWの世界観かもしれない。

次いで試乗したのはアルファ・ロメオのジュリア・クアドリフォリオだ。先日発表された500台の限定車、ジュリアGTAのベースともなるこのモデルは、フェラーリ出身のエンジニアが開発を主導したという2.9L V6直噴ツインターボを搭載、その出力は510ps/600Nmにも達する。それを後輪駆動で受け止めるべく、電子制御LSDを搭載。M340iと同じく、左右輪の差動を積極的にコントロールする。

走れど曲がれどクアドリフォリオのキャラクターはとにかく刺激的だ。運転好きのドライバーは常に踏みたい誘惑と戦うことになるだろう。エンジンは7000rpmのレッドゾーンまで一気呵成に回りきり、直前まで二次曲線的に加速感も高まっていく。エンジンサウンドはM340iのような緻密さはなくむしろ粗野な印象で、好みが分かれるだろうが好戦的であることは間違いない。

フットワークもセダンとしては相当に鋭敏な部類に入る。ステアリングギア比は相当クイックでゲインの立ち上がりも強く、それを初期ロールスピードの早い足周りと組み合わせるあたりは至ってアルファロメオ的だ。でもロールが深まるほどに、車体はしっかりと粘りテールブレイクなどの挙動変化も柔らかい。だが電子制御の助けもあるとはいえ、大パワーを扱うに薄氷を踏むような緊張感とは無縁だ。この初期から足がよく動く味付けも手伝ってか、常速域での乗り心地が望外に丸く纏められているのも嬉しい誤算だろう。

アンダーステイトメントな佇まいはどこか往年のスカGを彷彿とさせる

両車のこれらの個性を踏まえてスカイライン400Rに乗ると、全方位的に性格が落ち着いていることが明らかに伝わってくる。

まず乗り心地は良くも悪くも緩い。普通に走っているぶんのライドコンフォートは、19インチのランフラットを履くことを考えれば、相当整っている部類に入るだろう。が、鋭利な凹凸や目地段差にあたるとぐしゃっと鈍い突き上げ音と共に車体には微振動が響く。設計年次の新しい両車に比べれば、部位剛性の低さは否めない。

一方で、一時期は開発の気配も窺えなかった新しいVRユニットのパフォーマンスは想像以上に優れたものだった。今日びのエンジンとしては珍しくボア×ストロークがスクエア設計ということもあり、高回転域の伸びはクアドリフォリオほどではなくとも7000rpm付近まですっきり回り、6000rpm超までしっかりパワーも乗ってくる。低回転域側のトルクもリッチで、2000rpm以下の領域でも押し出しは力強い。サウンドに両車のような官能的刺激が盛れれば、相当魅力的なパワートレインになると思う。

動力性能は両車の間に割って入るくらいの迫力があるが、トラクションは電子制御でなんとか発散を封じ込めているという印象で、全開加速では時折後輪を滑らせるほどの反応をみせることもある。が、速度が乗ってからのグリップには不満はない。ハンドリングも精緻さや刺激はひとつ譲るが、ドライブモードによって癖が掴みにくかったDASは制御が素直になり、遅からず急すぎずの丁度いいゲインを実現していると思う。

確かにそれは特筆すべきエモーションではない。が、400Rには持てるソリューションを最大限に活かして、エンジニアと実験の横連携で綺麗に整えた結果の繋がりの良さ、日々の生活に採り入れての肌なじみの良さが一番強く感じられた。適度なホールド感のシートや下回りも気遣われた遮音など、Dセグメントに求められる上質な快適性をおざなりにせず、その上で腕利きも充分満足できる速さや、ワインディングをしっかり楽しめるハンドリングも備えるも、サーキットでも通用するほどの鋭さやタフさはGT-Rの領域だから——とそういった大人の取捨選択もまた、強力なコストパフォーマンスを実現した秘訣だろう。

【Specification】NISSAN SKYLINE 400R

■全長×全幅×全高=4810×1820×1440mm
■ホイールベース=2850mm
■車両重量=1760kg
■エンジン種類/排気量=V6DOHC24V+ツインターボ/2997cc
■最高出力=405ps(298kW)/6400rpm
■最大トルク=475Nm(48.4kg-m)/1600-5200rpm
■トランスミッション=7速AT
■サスペンション(F:R)=ダブルウイッシュボーン:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=245/40R19:245/40R19
■車両本体価格(税込)=5,625,400円

お問い合わせ
日産自動車 0120-315-232

【Specification】BMW M340i xDrive

■全長×全幅×全高=4720×1825×1445mm
■ホイールベース=2850mm
■車両重量=1730kg
■エンジン種類/排気量=直6DOHC24V+ターボ/299cc
■最高出力=387ps(285kW)/5800rpm
■最大トルク=500Nm(51.0kg-m)/1800-5000rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:5リンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=225/40R19:255/35R19
■車両本体価格(税込)=9,800,000円

お問い合わせ
BMWジャパン 0120-269-437

【Specification】ALFA ROMEO GIULIA QUADRIFOGLIO

■全長×全幅×全高=4635×1865×1435mm
■ホイールベース=2820mm
■車両重量=1710kg
■エンジン種類/排気量=V6DOHC24V+ツインターボ/2891cc
■最高出力=510ps(375kW)/6500rpm
■最大トルク=600Nm(61.2kg-m)/2550rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=245/35ZR19:285/30ZR19
■車両本体価格(税込)=11,530,000円

お問い合わせ
FCAジャパン 0120-779-159

【BREAK THROUGH POINT】NISSAN SKYLINE 400R

欧州勢への牽制力も充分/低回転域の扱いやすさと高回転域の気持ちよさを両立したVR30DDTTは、スカイラインを再びスポーツセダンの第一線へと押し上げた。6気筒モデルがプレミアムとして高額化している欧州勢に対する牽制力も充分にある。

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みんなのコメント

31件
  • ベタ褒めじゃない、貶している訳じゃないけど肯定もしていない、でも400Rが日常に溶け込む感じが凄く伝わり400Rが欲しくなる記事ですね笑
  • 悪い記事とは思わないが、同じ価格帯のグレードで比較してもらえると助かるな。
    ジュリアならヴェローチェ辺りでね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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