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アストン マーティン・ヴィラージュ 6.3(1) V8エンジンは「グループCカー」 未来を背負ったクーペ

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アストン マーティン・ヴィラージュ 6.3(1) V8エンジンは「グループCカー」 未来を背負ったクーペ

ブランドの未来を背負ったヴィラージュ

「お客様の1人には、返金すら考えました。操縦性に関しては、多くの苦情が寄せられましたよ。在庫していたクルマはダブつき、ドイツのアウトバーンを走ったオーナーからは、246km/hしか出ないというご指摘のお電話もいただきました」

【画像】好調のトリガー アストン マーティン・ヴィラージュ 最新DB12とヴァンテージ 同時期のスーパーカーも! 全173枚

アストン マーティンのディーラーへ在籍していた人物が、30年ほど前を振り返る。1988年の英国バーミンガム・モーターショーで公開されたヴィラージュには、ブランドの威信がかけられていた。巨額の投資を行った、フォードからの視線も熱かった。

プロジェクトの発表は1984年。それまでに50件以上の申し込みがあり、数万ポンド単位の手付け金が集められていた。

グレートブリテン島南中部、ニューポート・パグネルに拠点を置いたアストン マーティン・ラゴンダ社は、年間200台を提供した時期もあった。しかし、V8ヴァンテージやラゴンダは生産が終了。ブランドの未来は、ヴィラージュが背負っていた。

従業員の半分はリストラされ、数100人が残る程度。1990年代に向けては、ジャガーとの共同で新しいDB7の計画も進められていた。とはいえディーラーの現場では、これに大きな期待を抱いていなかった。

ヴィラージュで大きな課題となったのが、先代のアストン マーティンV8の技術を流用しつつ、いかに新世代を構築するか。スーパーチャージャーの採用や、モータースポーツへの挑戦も視野に含まれていた。

プロトタイプ・レーサーのエンジンを公道仕様へ

アストン マーティンの前会長、ビクター・ガントレット氏は、1987年に自社株の75%をフォードへ売却する前に、レーシングチームのリチャード・スチュワート・ウィリアムズと連携。グループCカテゴリーに準じた、ワークスマシンの製作を依頼していた。

1989年に完成したプロトタイプ・レーサー、AMR1は、世界スポーツプロトタイプ選手権へ参戦。ル・マン24時間レースも戦い、1台が完走を果たしている。6.3L V8エンジンは、アメリカのキャラウェイ・カーズが仕上げていた。

ところが、アストン マーティンと同じ傘下へ同年に収まったジャガーとの直接対決へ、フォードは難色を示す。最終的に、1年限りの活躍に終わった。

他方、ニューポート・パグネルのカスタマーサービス部門は、レース仕様のエンジンを以前から欲していた。資金力のあるオーナーには、アップデート版のサスペンションやブレーキを提供しており、当然、強力なエンジンを欲する人も少なくなかった。

そこで目が付けられたのが、AMR1用の6.3L V8ユニットだった。カスタマーサービス部門のデビッド・イールズ氏は、1台のヴィラージュを開発ベースとして準備。名門コスワースの協力を得ながら、公道仕様としての調整が進められた。

ヘッドはダブル・オーバーヘッドカムの32バルブで、圧縮比は9.5:1。シーケンシャル・インジェクションにガスフロー・ヘッド、専用設計の排気触媒が与えられ、6週間に及ぶランニングテストが実施された。

かくして得られた最高出力は、471ps。通常のヴィラージュは5.3L V8で334psだったから、40%も向上していた。

不足していた冷却能力とシャシー剛性

ヴィラージュ 6.3は、残りのパッケージングへ開発フェイズが進められた。J402 MNKのナンバーで登録され、「ミンキー」というニックネームも与えられた。

ABS付きのブレーキは、AMR1譲りとなるAPレーシング社製。ディスクの直径は14インチで、4ポッドキャリパーが挟んだ。285/45 R18というワイドなタイヤは、グッドイヤーが供給した。

解決すべき課題も多かった。そもそも、通常のヴィラージュでも冷却能力は不足気味。パワーアップしたことで、設計の古いシャシーには一層の剛性も必要になった。

見た目を差別化するため、空気抵抗を意識した専用ボディキットも用意。アストン マーティンの工場で、職人が手作業で成形した。特徴となったのが、拡大されたフロントやサイドのスカートだろう。

フロントフェンダーには、冷却用のエアアウトレットも開けられた。スカットル部分にも、熱を逃がすための穴が設けられた。

リアアクスルは、全力加速に耐えるよう強化。ラバーブッシュはボールジョイントへ置き換えられたが、まだ充分ではなかった。スーパーチャージャーを積んだ、後のアップデート版となるヴァンテージでは、4リンクのドディオン・アクスルへ変更されている。

ステアリングラックも補強。サスペンションのスプリングとダンパー、ジオメトリも見直された。トランスミッションは、6速マニュアルも試された。マフラーも、複数の仕様が検討されたという。

この続きは、アストン マーティン・ヴィラージュ 6.3(2)にて。

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みんなのコメント

2件
  • xtr********
    この頃もひどいデザインだったなー、

    この前のもムスタング?(まあフォードがパクったんだろうけど) ばりで残念な外見で

    ヴァンキッシュやDB7からだな。
    ブルドッグなんて斬新な例外はあったが。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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