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新生ジャガーは“過去”も大切にする──Eタイプ・リボーン試乗記

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新生ジャガーは“過去”も大切にする──Eタイプ・リボーン試乗記

ジャガー・ランドローバー・クラシックワークスが手がけた「Eタイプ・リボーン」は、クラシックカーとは思えぬ完成度だった! イギリスで試乗した小川フミオがリポートする。

記憶にあったEタイプとはまったく別物

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ジャガー・ランドローバー・クラシックワークスが面白い。メーカーが育てたエキスパートが、往年の名車をレストアしたり部品を売ったりするビジネスで、世界中のクルマ好きから注目されている。そのなかの1台、Eタイプ・リボーンに試乗した。もうビックリの素晴らしさだ。

“リボーン”というのは、古い車両に徹底的に手を入れて、現代でも通用するスポーツカーに仕立て直した車両のこと。要するにレストア済み車両。作業は、イギリス・コベントリーにある、ジャガー・ランドローバー・クラシックワークスが持つ専門の工場で行う。

Eタイプは、1961年にジャガーカーズが発表したスポーツカーだ。それまでジャガーはCタイプとかD タイプというレーシングモデルを手がけていたが、北米で拡大するスポーツカー・ニーズを視野に市販を拡大する施策から生まれたモデルがEタイプだ。

私も以前、何度かEタイプに日本で試乗したことがある。そのときの印象をもって、今回、英国での試乗に臨んだ。そうしたら、びっくり! 記憶にあったEタイプとはまったく別物なのだ。

オリジナルのEタイプは、ある種のゆるさというか、足まわりの設定がソフトで、ボディがゆるゆるっと動く。「これで当時は250km/hになんなんとする最高速が出せたのか!?」と、心底驚いたものだ。今回のEタイプは、だとしたら、こちらは350km/hまでいきそうなぐらい、ビシッとしている。

Eタイプ・リボーンで驚いたのは、まずギヤボックスだ。4段でなくて5段ではないか。しかもフィールがしっかりしていて、カチカチッと気持ちよくシフトできる。しかも(しかもが多い)すっと1速に入る。2速をいちど経由してから1速に入れる必要もない。

担当の英国人に確認すると、かつての1速はノンシクロの4段ギアボックスの代わりに、使いやすさを考えてフルシンクロメッシュの5段ギヤボックスに載せ替えたんだそう。

走り出すと、足まわりもビシっとしている。4235ccの直列6気筒エンジンは軽やかに上の回転まで回り、速度が上がっていくと、車体は路面に張り付くように安定した走行性を示す。

足まわりも、現代的に手を入れているんだそうだ。私は自分が操縦したあとで、別の人が走らせる姿を外から眺める機会があった。確かに素晴らしいスタイルだ。

ニューヨーク近代美術館も(ロードスター仕様を)1996年に購入。「ほっそりとして弾丸のようなシェイプは、スポーツカーデザインに大きな影響を与えている」などと評価されている。

エンツォ・フェラーリも「これまで作られたなかでもっとも美しいクルマ」と、言ったとか。ただし引用元が分からないので不確実などとウィキペディアには書かれているけれど、ジャガークラシックはホームページで堂々と紹介しているので、まぁ、事実なのだろう。

このクルマが1961年でなくて2024年に登場しても、案外、フェラーリ「ローマ」にしようかアストンマーティン「ヴァンテージ」にしようか、それともジャガーEタイプにしようか。なんて迷うかもしれない、と、思ったほどだ。

ジャガー・ランドローバー・クラシックワークスのホームページには、アプルーブドカーのコーナーがあって、これが楽しい。楽しいが価格は張る。1962年の3.8リッター6気筒搭載のフィクストヘッドクーペで27万4950英ポンド(1英ポンド=190円として5450万円超!)とある。

ジャガーはさきごろ「マイアミ・デザインウィーク」で「タイプ00」なる次世代のバッテリー駆動EVのデザインビジョンを発表した。

Eタイプ・リボーンは対極にあるような車両だけれど、ジャガーでは「当時(60年代)Eタイプが産業界のみならず社会に与えたのと同様の衝撃を与えるだろう」と、2026年に発表を予定しているBEVを紹介している。この連続性こそがブランド力なのだろう。

文・小川フミオ 編集・稲垣邦康(GQ)

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