半導体の不足、そして新型コロナウイルスによる影響で、納期の長期化が起きている。各メーカーとも、対策を講じているが、この問題が解決するまでにあと約1~2年はかかるのではないだろうか。
そんななかで、トヨタ現行型ハリアーのオーダーキャンセルがさまざまなメディアで、報道された。部品供給不足等の影響のほかに、2022年9月の一部改良も控えているという背景もある。
在庫枯渇で値上がり必至!? 現行型&先代型ハリアー中古車市場の変化とは?
そこで、本稿では、コロナ禍で大きな影響を受けた現行型ハリアーの中古車市場の最新情報を解説。そして、流通台数が多い先代ハリアーの中古車情報についてもお届け。また、ハリアーのオススメ中古車を紹介する。
文/萩原文博、写真/奥隅圭之、ベストカー編集部
プレミアム価格の中古車も登場!? トヨタ現行型ハリアー 中古車市場はいかに
一部受注済みの注文を取り消すという前代未聞の事態となっているハリアー。新車が納車されないため、現行型、旧型の高品質なハリアーの中古車が減少している
ベストカーWebをはじめ、さまざまなメディアで取り上げてられているトヨタハリアーの納車キャンセル。半導体不足に加えて、中国で起きたコロナウイルス感染症拡大によるロックダウンによって部品の供給がストップしたことによって起こった。
納車キャンセルとなったのは、Z/Zレザーパッケージで標準装備、G/Gレザーパッケージでオプション設定されている12.3インチのディスプレイを採用したT-Connect SDSナビゲーションシステム+JBLプレミアムサウンドシステムが原因といわれている。
2020年6月に登場した現行型ハリアーは、2022年9月に法規対応を含めた一部改良が行われる予定で、変更前の生産枠を超えたところに12.3インチディスプレイの供給不足が拍車を掛けて納車キャンセルに至ったのだ。
新車が納車されないということであれば、ハリアーの中古車相場はどのようになっているのか、というのは非常に気になるところ。そこで、ここでは新車の納車遅延が発生している現行型に加えて、流通台数がシリーズ最多の旧型ハリアーの最新中古車事情に迫る。
まず、ハリアーの中古車の中古車相場の推移を見てみる。現在ハリアーの全中古車は約2900台流通していて、平均価格は約276.2万円だ。3カ月前の2022年5月時点では流通台数は約3700台あり、平均価格は約280万円だった。
この動きが何を示しているのかというと、高額な中古車が市場から少なくなり、値落ち傾向となっているということ。それは現行型、旧型の高品質なハリアーの中古車が減少しているということを表しているのだ。
それでは、まず現行型ハリアーの中古車事情から見てみる。現在、現行型ハリアーの中古車は約760台流通していて、平均価格は約453.2万円。中古車の価格帯は約310万~約638.7万円となっている。
いわゆる、“おろしたて中古車”といわれる低走行距離、高年式車は走行距離500km未満、2022年式で検索すると約199台ヒットする。こういった中古車の価格帯は約319.7万~約638万円とかなり幅広く、新車価格を超えるプレミアム価格の中古車も存在している。
現行型ハリアーの中古車のグレード構成を見てみると、最も多いのが納車キャンセルの対象となっている2Lガソリンエンジンを搭載した2.0Zの2WD車で約195台。続いて、こちらも納車キャンセルの対象となる2.0Zレザーパッケージの2WD車で約156台。この2グレードで現行型ハリアーの中古車の約46.1%を占めており、人気の高さがわかる。
2Lガソリンエンジン車が続いて約134台で2.0G。ようやく2.5ハイブリッドを搭載した2.5ハイブリッドZ レザーパッケージが約66台。そして、2Lエンジンのエントリーグレード2.0Sが約61台となっている。流通している中古車のグレード構成を見ても、ハリアーは上級グレードに人気が集中していることがわかる。
最も流通台数の多い2.0Zの 2WDの中古車の価格帯は、約369.9万~約542.3万円。2.0Zレザーパッケージの2WD車の価格帯は約359.9万~約549万円とグレードによる価格差はなくなっている。いっぽうの2.5ハイブリッドZ レザーパッケージは、約406.8万~約638.7万円となっている。
一見、新車価格に比べて高くなっていないように見えるが、そこがマジックなのだ。多くのユーザーはローンなどを利用して購入するはず。新車ディーラーに加えて、中古車販売店はローンの金利が高くなるのが一般的。したがって総支払額は新車と比べると、かなり高額になってしまうこともあるので注意したい。
流通台数が多い先代ハリアーの中古車市場はどうなっている?
2013年12月~2020年5月まで販売された旧型ハリアー。写真は2017年6月のマイナーチェンジ後
続いては、約1780台とハリアーの歴代モデルで最も中古車の流通台数が多い旧型の中古車事情に迫る。2013年12月~2020年5月まで販売された旧型ハリアーは、2L直列4気筒ガソリンエンジン+CVT、そして2.5Lガソリンエンジン+モーターのハイブリッドシステムの2種類は現行モデルと同じ。しかし駆動方式は4WDを中心にガソリン車のみ2WD車を設定していた。
2017年6月にハリアーはマイナーチェンジを実施。新しいパワートレインとして、最高出力231ps、最大トルク350Nmを発生する2L直列4気筒ターボ+6速ATを追加した。そして、衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンスP」を全車に標準装備し、安全性を向上させている。
内外装の変更は小さめだが、右左折時に16個のLEDランプが内側から外側へ流れるように光るシーケンシャルターンランプを採用。また、ナビゲーションシステムのディスプレイを9.2インチに拡大するなど操作性を向上。さらに、フロントとリアにパフォーマンスダンパーを搭載し、車両の剛性を向上させ、高速走行時における直進安定性や操縦安定性を高めている。
旧型ハリアーの中古車は約1780台流通していて、平均価格は約260万円。中古車の価格帯は約159.5万~約529.9万円と価格レンジは広くなっているのが特徴だ。
年式別の中古車の流通台数を見てみると、非常に特徴的。最も多いのがマイナーチェンジを行った2017年式の約510台。続いて、2015年の約379台。そして2014年の約319台となっている。2013年~2017年5月までの前期型が約1180台。2017年6月~2020年の生産終了までの後期型は600台と圧倒的に前期型が多くなっている。
グレード構成は前期型では2.0プレミアム2WDが約345台と最も多く、2.0エレガンス2WDが約274台。そして2.0プレミアム アドバンズドパッケージ2WDの約111台と2Lガソリンエンジンの2WD車が上位を独占。
いっぽうの後期型でも最多グレードは2.0プレミアム2WDが約251台で、2.0プレミアム2WDが約68台。そして2.0プログレス2WDの約52台と前期型と大きく変わらないうえ、現行型と同様に上級グレードが多くなっている。
現行型・旧型ハリアーの中古車情報はこちら!
現行型ハリアー納期長期化による中古車市場の影響は? オススメ中古モデルも紹介!
最も気になるのは、現行型の新車の納車キャンセルの影響が中古車市場に出ているかどうかだ。ズバリ、この影響は出ている。全中古車の平均価格は3カ月前からは下がっているのだが、実は底値は2022年7月で、この時点は270万円を切っていた。その後流通台数は横這いなのだが、わずか1カ月で約7万円の値上がりを記録しているからだ。
新車の納車遅延に加えて半導体不足など、さまざまな要因で中古車への注目が高まっており、この納期遅延が解消されないのであれば、今後もハリアーの中古車は現行型を中心に値上がり傾向を示す可能性は大だ。
そんな状況下でオススメの中古ハリアーを挙げるとすれば、旧型ハリアーのマイナーチェンジ後に設定された2Lターボエンジン搭載車だ。中古車の流通台数は約87台と少なく、中古車の価格帯は約242万~約445.9万円と高値をキープしている。
なぜ、オススメとした理由はハリアーという人気車種の中でも、ターボ車はこの時期だけしか設定されていない。中古車のターボ車は異常人気になる傾向がある。もちろんハイパワーのターボエンジンに合わせて、シャシーにも手を加えているのでハリアーの中でもスポーティさは抜群だ。
なかでも、最上級グレードのプレミアムメタルアンドレザーパッケージは今後も値落ちはそれほどしないはずだ。そして、新車が納車されないと中古車が枯渇していくので、さらなる値上がりも覚悟しないとならなくなるだろう。
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