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【最先端のテクノロジー】新型メルセデス・ベンツSクラス、欧州で発売 価格は?

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【最先端のテクノロジー】新型メルセデス・ベンツSクラス、欧州で発売 価格は?

大幅刷新 新開発のPHEVも

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)

【画像】Sクラス/アウディA8/BMW 7シリーズ【比べる】 全137枚

translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

メルセデス・ベンツは、同社がこれまでに製造した中で最も先進的なモデルとされる新型Sクラス・セダンの英国での販売価格を発表した。

現在販売中のSクラスには、エントリーモデルのAMGラインから最上位のAMGライン・プレミアム・プラス・エグゼクティブモデルまで、5つのグレードが用意されている。価格も7万8705ポンド(1063万円)から9万9490ポンド(1344万円)までと幅広い。

この間には、AMGライン・プレミアム、プレミアム・エグゼクティブ、プレミアム・プラスがあり、それぞれ8万5200ポンド(1151万円)、9万2995ポンド(1256万円)、9万5695ポンド(1292万円)からとなっている。

プレミアム・エグゼクティブ、プレミアム・プラス、プレミアム・プラス・エグゼクティブは、ロングホイールベースにのみ設定されている。

2021年初頭に英国での納車を目指しているSクラスは、先代よりも剛性の向上と60kgの軽量化を実現したというボディ構造を採用。全体的に再設計され、さらに洗練されている。

アウディA8やBMW 7シリーズのライバルとなるSクラスの改良点は、新開発のプラグイン・ハイブリッドシステムである。新型S 580eは、電気のみで最大100kmの航続距離(WLTPサイクル)を実現。これは先代モデルであるS 560eの2倍以上に相当する。

電動化に焦点を当てているにもかかわらず、メルセデスは1992年に始まった伝統を守り、6.0L V12気筒ツインターボエンジンを搭載したモデルの販売継続をAUTOCARに明かしている。

このエンジンは、フラッグシップモデルであるマイバッハS 650に代わる、まだ明らかにされていない新モデルに搭載される。

最先端のテクノロジー

2種類の後輪ステアリングシステムが用意されている。極端なものでは最大10度の操舵角を持ち、先代よりも最小旋回半径が1.9m小さい10.9mを実現。Aクラスよりも小さくなっている。

また、低速域の操縦性だけでなく、高速走行時の安定性も向上させた。

開発コードコード「W223」と呼ばれる新型Sクラスは、最高時速60kmでレベル3の自動運転を可能とするメルセデス初のモデルとなる。ライダーを使用するこの「ドライブ・パイロット」は2021年下半期に導入される予定だ。

メルセデスによると、交通量の多い「高速道路の一部区間」で長時間ハンズオフ状態で走行することができるが、必要に応じてステアリングホイールに組み込まれたLEDライトがドライバーに操作を促すという。

ドライブ・パイロットシステムは、インテリジェント・パーク・パイロットと呼ばれる新機能を組み合わせることができる。

法律で認められている一部の国や地域で導入されるこのシステムは、レベル4の自動運転技術を採用しており、スマートフォンのアプリを介して車外からリモートで駐車することができる。また、使用可能なスペースを自動で探し出して駐車することも可能だ。

最先端のヘッドライト技術に定評のあるSクラスだが、今回はオプションの「デジタルライト」機能が搭載されている。3つのLEDで構成され、屈折率によりヘッドライト1灯あたり130万画素以上の解像度を実現し、安全性を高めている。

さらに、Sクラスでは初となる無線アップデート機能を搭載し、ディーラーへの訪問回数を減らすことができる。

これら新型Sクラスの新機能の多くは、テスラ・モデルSや間もなく登場するBMW i7との競合を目指した新型EV、EQSにも搭載される予定だ。

既存のSクラス・クーペとカブリオレは改良される予定はなく、ショートホイールベースとロングホイールベースのセダンが唯一のボディスタイルとなっている。現行モデルと同様に、AMG、マイバッハ、プルマンの派生モデルが登場する。

Sクラスは徹底的な刷新を行った。滑らかなボディライン、流れるようなCピラーは先代モデルからのお馴染みであるが、新型ではより大胆な形状のグリル、スリムなヘッドライト、水平基調のテールライトを備えている。

さらに、Sクラスで初めてドアハンドルを選択できるようになった。従来のグリップハンドルが標準装備され、フラッシュ式の電動ポップアウトハンドルがオプションとして用意されている。

エクステリア/インテリア

新型は、先代よりやや大型化している。ロングホイールベースモデルの全長は5255mmで、先代より34mm長くなり、ホイールベースは3216mmで51mm増加した。全幅は55mm拡大して1954mm、全高は12mm高くなり1503mmとなっている。

ロングホイールベースモデルでは、後席のレッグスペースが24mm広くなったとされるが、ショルダースペースは32mm減少している。トランク容量は20L増の550L。

メルセデスによれば、フロントマスクの面積が大きくなったにもかかわらず、抗力係数(Cd値)は先代の0.24からクラストップの0.22に低減されており、ブランド史上最も優れたクルマの1つとなっているという。

エクステリアとは対照的に、インテリアは全面的に刷新された。12月に発売予定の第5世代Cクラスを含む将来のメルセデスモデルにも反映される予定だ。

ダッシュボードには、アルミの装飾を施したオープンポアウッドパネルや、4つの長方形のルーバーなど新しいデザイン要素が採用されている。

主な特徴としては、3D機能(オプション)を備えた12.3インチのデジタルメーターや、センターコンソールに設置された11.9インチのタッチスクリーンが挙げられる。エアコンの調整はこのスクリーンに組み込まれている。

アナログ・コントロール(物理ボタン)は先代よりも27個少なくなり、新開発のMBUXによるスワイプ、音声、ジェスチャーによる操作に重点を置いている。

AR(拡張現実)機能と、77インチモニターと同等の表示領域を持つ先進の新型ヘッドアップディスプレイをオプション設定したほか、フロントシートの背もたれにサブウーファーを搭載した30スピーカー1750Wのブルメスター4Dサウンドシステムを新たに採用。

また、リアには、オプションでフロントシート背面に2台の11.6インチタッチスクリーンを装備できる。MBUXを使用して、車内外で使用できるコントロールタブレットもある。その他にも、フロントシート後部から展開する後席エアバッグが新たに用意された。

パワートレイン/パフォーマンス

新型Sクラスは、6代目から受け継いだ直列6気筒エンジンを2基搭載し、4つのモデルをラインナップする。

3.0Lのターボチャージャー付きマイルド・ハイブリッドは、S 450が367ps、S 500が435psを発揮する。2.9L ターボディーゼルのS 350dは286ps、S 400dは330ps (先代より10ps少ない)。

6気筒ガソリンエンジンには電動ブースト機能が搭載されており、スターターモーターにより加速時に21psを発揮するほか、回生ブレーキと惰性運転機能も備えている。トランスミッションは9速ATを採用した。

S 350dには、後輪駆動と4マティック四輪駆動(オプション)の2種類が用意されている。その他のモデルはすべて四輪駆動が標準装備だ。

さらに、S 580に搭載される4.0L V8、507psの48Vマイルド・ハイブリッドに加えて、2021年にはS580eが加わる予定である。このモデルは、3.0L 直6ターボと電気モーターを組み合わせて517psを発揮し、28kWhのリチウムイオンバッテリーで100km以上の航続距離を実現する。

V12エンジンを搭載するフラッグシップモデルのマイバッハは、11月の広州モーターショーで発表される予定だが、630psを発揮するという情報もある。

また、AMGのバッジをつけるS 63e 4マティック+とS 73e 4マティック+も開発中だが、英国では2021年半ばまで納車は予定されていない。

両車の公式な詳細はまだ明らかにされていないが、AUTOCARが確認できるのは、どちらも4.0L V8ツインターボと、400Vで動作するリアアクスルに内蔵された電気モーター、容量約20kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載するということだ。

S 63eでは、電気モーターは135psを発揮するとされ、AMGの関係者は「(合計出力は)700psに近い」としている。

一方、S 73eには208psの電気モーターが搭載されて合計816psとなり、これまでで最もパワフルなSクラスとなる。

新型Sクラスは、第2世代のMRA(モジュラー・リア・アーキテクチャー)プラットフォームと、フロントが36mm、リアが51mm広いトレッド幅を持つシャシーを採用している。

調整可能なダンピングコントロールを持つエアマティック・エアサスペンションや、インパルス・サイド機能を搭載したE-アクティブ・ボディ・コントロールサスペンションが標準装備されている。この機能は、レーダーセンサーが側面衝突を感知すると車体を最大80mm持ち上げ、フロアパンへの衝突エネルギーの吸収を向上させる。

新型Sクラスは、ドイツのジンデルフィンゲンにある第56工場の新ラインで生産される。

開発者インタビュー ―Sクラスの先進性―

AUTOCARの英国編集部は、研究開発と調達、サプライヤー品質を取りまとめるマーカス・シェーファーへインタビューを行った。

Sクラスを「今までに作った中で最も先進的なクルマ」と表現されていますね。しかし、最近は小型車にもテクノロジーは溢れています。高級セダン市場が縮小していく中で、どうやってSクラスを差別化し、存在感を維持していくのでしょうか?

Sクラスは、モデル末期まで非常に強力な存在でしたが、小型車にも搭載されているMBUXがありませんでした。しかし、Sクラスには非常に忠実な顧客基盤があります。

わたし達は非常に自信を持っています。このクルマにはたくさんのイノベーションがある。Sクラスといえば「インテリジェントな高級車」というベンチマークを定義しています。

直感的に使えるようにあらゆる角度から取り組んでいます。クルマがあなた(ドライバー)を認識して、あなたに合わせて調整してくれるようにしたいと考えています。

クルマに近づくとドアハンドルが飛び出し、以前のログイン記録から、クルマはあなたを認識します。車内のジェスチャーセンサーとカメラは、あなたが何をしようとしているかを事前に予測することができます。

また、UIや画面だけでなく、車載システムもOTAに対応しています。車内のコンピューティング容量も十分にあるので、今後のアップデートにも対応しています。

これは最先端の技術であり、正直に言うと規制当局と手を取り合って取り組んでいます。わたし達は、国によっては認証するための規制がない場合もあるほど、先進的な技術を持っています。

デジタルライトを例にとると、このライトは260万ピクセルの性能を発揮します。ガレージで映画を再生することもできます。

そのため、一部の国の当局と協力して、これを機能させるために活動しています。ドイツは非常に先進的なアプローチをとっていますので、ドイツでは合法ですが、他の国では違います。

レベル3の自動運転についても同様で、来年後半にはドイツでも実用化される予定です。1台のクルマに複数の機能を搭載しているメーカーもありますが、このクルマはすべての機能を1か所に搭載しているという点がユニークです。

開発者インタビュー ―クーペ廃止の理由―

ガソリン・プラグインのSクラスは、クラストップレベルの航続距離を実現することがわかっています。ディーゼル・プラグインは予定されていますか?

Sクラスにはディーゼル・プラグインは予定されていません。ただ、GLEやEクラスには搭載されています。Sクラスの主要市場は中国、韓国、米国で、欧州が主流というわけではありません。これらの国では、ディーゼルが一番の選択肢とはなっていません。

すでに発表しているように、SクラスとしてEQSが登場する予定です。それはわたし達が取り組んでいる次のドライブトレインです。わたし達は複雑さをある程度制御し、選択をしなければなりません。

Sクラス・クーペとカブリオレが継承されない理由を詳しく教えてください。

さかのぼること15年前、わたし達は拡大戦略を取っていて、毎年300万台を作ろうとしていました。中国などの異なる市場を征服したかったのです。

その後、パワートレインの変革に直面してプラグインを追加し、今ではEVパワートレインを作っています。ある時点で複雑さを軽減する必要がありますので、少しずつ「淘汰」していくつもりです。

クーペとカブリオレは素晴らしいクルマですが、いずれにせよ、それに取って代わるものが出てくると思います。新しいSLを見れば、Sクラス・カブリオレの顧客の多くが興味を持つと思います。

カブリオレは中国向けのものではなく、アメリカではもうそれほど強くないので、選択をしなければなりません。Sクラスはショート、ロング(ホイールベース)、マイバッハがあり、ロングバージョンとの差別化が図られるでしょう。しかし、SLのようにしばらく注目していなかったアイコンもあります。

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みんなのコメント

9件
  • 個人的にはこのエクステリアは好きになれないです
    高級感が若干薄れた感じがあるし、Sクラスは特別な存在感やオーラ、一目でSクラスだと分かるように差別化して欲しかったなぁ
    インテリアも全てタッチパネルって逆に操作性悪くない?
    おそらく音声だけでほぼ操作できるのだろうが、個人的には好きになれない
  • S63狙い。早く出ないかなあ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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