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アウディの旗艦モデル「A8」に設定された“魔法の乗り心地”を生む機能とは

掲載 更新 14
アウディの旗艦モデル「A8」に設定された“魔法の乗り心地”を生む機能とは

■“技術による先進”がアウディのクルマづくりの基本

 アウディは「Vorsprung durch Techinik」(ドイツ語で『技術による先進』)をモットーにしたクルマづくりをしている。

アウディ新型「A4」に乗ってわかった BMW「3シリーズ」やメルセデス「Cクラス」にない魅力とは?

 アウディはフォルクスワーゲン、ポルシェ、ランボルギーニ、ブガッティ、セアト、シュコダというブランドとともにグループを結成しているが、その中で単なる高級車という位置づけではなく、常に最先端技術を取り入れたクルマを提供している。

 quattro(クワトロ)もそのひとつだ。4WDといえばオフロードで走るクルマのもの、というそれまでの概念を打ち破ったのはアウディだ。

 ビッグクワトロと呼ばれたアウディクーペが、約40年前にラリーシーンで活躍した。その後、オンロードで使うクルマの4WD化は進み、いまではアウディはもちろん、他メーカーも当たり前のように4WD化が進んでいる。

 窓のガラスとサッシュの段差をなくすフラッシュサーフェースの採用もアウディが早かった。これはエクステリアがスッキリ見えるだけでなく、風切り音の低減にも貢献した。もちろん空気抵抗も小さくなるから、燃費にも好影響を与えた。ガラスとガイドを別に設けるという手間のかかるつくりなのだが、それをうまくやってのけた。

 マトリックスLEDヘッドライトもアウディは早かった。対向車や先行車がいるところを避けて明るいヘッドライトでなるべく遠くまで照らしてくれる技術は、初めて乗ったときには驚いた。すれ違う対向車はもちろん動いているのだが、その動きに合わせてライトが動くのだ。これにより夜間の安全性は大きく改善された。

 そして今度は「プレディクティブ・アクティブ・サスペンション」である。アウディのフラッグシップサルーン「A8」にオプション(72万円。消費税込)で設定された。今回そのオプションを搭載した「A8 60TFSIクワトロ」に試乗した。

 プレディティブ・アクティブ・サスペンションとは、電動フルアクティブ制御のサスペンションシステムだ。

 その名のとおり、先の予測をしてアクティブ・サスペンションを動かす。車載カメラが前方の路面状況を捉えて予測、4つのホイールに組み込まれた電気モーターを制御して、ダイナミックからコンフォートまで任意でさまざまな乗り心地を設定できるのだ。

 A8には減衰力可変ダンパー、アクティブ・エアサスペンションが装備されているが、スタビライザーに電動モーターを組み合わせてロールを制御するシステムも組み込んだ。

 エアサスペンションを動かすことにより上下動は可能になるのはわかる。前方に段差があれば、衝撃を小さく乗り越えるためには車体を少し持ち上げて通過する。縮む方向のサスペンションストロークをたくさん使えるからだ。前後方向のGの変化によるピッチングも小さくすることができる。つまりフラットな乗り心地になる。

 コーナーでのロールは、マックス1100Nmという強大なトルクを発揮する電動モーターが組み込まれたスタビライザーが効いてくる。コーナーでは、遠心力でクルマの外側のサスペンションは縮み内側は伸びるが、これを強力なスタビライザーによって押さえ込むことができるのだ。つまり、コーナリングでもロールのない走り味を実現する。

■コーナリングでもロールのない走りを実現する

 ダッシュボードのモニター画面で、MENU→車両からアクティブサスを選択し、左上のギアマークをタッチする。そうすると「前方の道路:車高修正」の下に「オフ」「弱」「強」の3つのマスが出てくるので、そこから選ぶ。その下の段には「水平維持」があり、その右側にチェック用のスライドスイッチ(の絵)が出てくる。これを右にすれば、ロールなしでのドライブが可能になる。

 クルマがいつもフラットに走ることができるというのは、ひとつの理想型なのかもしれない。乗り心地に関しても、ハンドリングに関しても良いはず、と思われてきた。それがいま、A8で実現したのだ。

 これは、どんなフィールなのか?

 結果を言ってしまうと、運転する立場か、後席に乗る立場かによって異なるというのが筆者の感想だ。

 これは別名「ショーファーモード」というらしい。後席に乗る人にとっては、いつもフラットな状態で乗れるから快適なのだ。コーナリングでも、その半径の遠心力は感じるものの、クルマが傾いたぶんがないから身体は楽になるからだ。

 一方、ハンドルを握るドライバーはどうかというと、これは運転していてかなりの違和感があった。

 非日常、ということで、ある意味それを楽しむこともできるかもしれないが、ハンドリングは自然な感触ではない。ハンドルの手応え(操舵力)の変化は大きく、カーブに入りロールを抑えるタイミングで、ググッと重くなるのを感じるからだ。

* * * 

 それにしてもその反応の素早さには驚かされる。油圧ではこうはいかない。瞬時に反応するのは電動モーターの威力だ。それも48Vシステムを使っているからできることだ。

 筆者がA8の後席に乗るなら、ぜひ「ショーファーモード」で走ってもらうだろう。でも自分で運転するなら「ショーファーモード」は使わない。

 アウディの技術による先進はこれからも続く。今回のプレディクティブ・アクティブ・サスペンションも、さらなる熟成を重ねてドライビングに違和感がなくなれば、将来はほとんどの高級車に採用されていくはずだ。

Audi A8 60 TFSI quattro

・車両価格(消費税込):1552万円
・オプション込試乗車合計価格:1985万円
・全長:5170mm
・全幅:1945mm
・全高:1470mm
・ホイールベース:3000mm
・車両重量:2110kg
・エンジン形式:V型8気筒DOHCターボ
・排気量:3996cc
・駆動方式:4WD
・変速機:8速ティプトロニック(AT)
・最高出力:460ps/5500rpm
・最大トルク:660Nm/1800-4500rpm
・ブレーキ前/後:Vディスク/Vディスク
・タイヤ前後:265/40R20
・JC08モード燃費:8.7km/L

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みんなのコメント

14件
  • このクラスになると完全にリアシートに乗らされてる方が良いでしょうねぇ・・でも
    運転すると何気に楽しい車なんですよ。

    A8は乗ったことがある人でしか解らないでしょうけど・・・良いっす。

  • 2000万なら
    他の選択肢があるな、、
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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